日本の金型の未来を担う人材。それは今、危機的状況を迎えています。少子化が進み、就職する学生の数が減り続けている。当社のある大阪府でも特に公立工業高校で定員割れが相次ぎ、数年後にも数校が廃校します。もの作りに興味を持つ高卒…
この人に聞く2015
製造業コンサルティング
O2(オーツー)松本 晋一社長

プラスチック金型メーカーの安田製作所は今春、社名を「IBUKI」に変更した。昨年9月、同社を傘下に収めた、製造業向けのコンサルティング会社O2(東京都港区)の松本晋一社長は「製造業とサービス業の強みを生かした、新たなビジネスモデル構築をめざす」という。社名通り、業界に新たな息吹を吹き込めるか。狙いなどを聞いた。
―これまでの貴社の取り組みを教えて下さい。
「当社は設計を中核にした製造業向けにコンサルしてきました。設計に絞ったのは、アナログな部分が多く、特化できれば強みになると考えたからです。現在は技術だけでなく経営までコンサルの領域を広げています」。
―なぜ製造業への経営参画だったのですか。
「今の産業界には『製造業のサービス業化』と『サービス業の製造業化』の流れがある。前者の好例はアップルで、後者はグーグル。アップルはipodなど製造から入り、iTuneなどのサービスをセットで提供し時代を創った。一方グーグルは検索サービスから入り、グーグルカーなど製造に参入しています。つまり製造とサービスの両方の交点がそろって高い価値を生み出せると思う」。
「当社にはコンサルや設計と言うサービスの強みがありますし、製造業と密に協業し、ユニークな価値を創造できると考えたのです。コンサルとしても仮説提案力も増します」。
―金型に参入して感じたことはありますか。
「過度なコモディティ化ですね。電機業界がアジア勢に苦戦した動揺の現象が金型でも起きていると思う。脱コモディティ化のために売り込み先を変えました。購買担当者にいくら提案しても認めてくれない。加飾などに強みをもつIBUKIは製品のデザイナーに提案できれば価値を認めてもらえる。慣習上難しいのも分かりますが、そうした流れを変えていきたい。当社のネットワークを活かせばできるし、結果も伴いつつある」。
―他にはありますか。
「ブランド力の重要性ですね。金型は産業の足腰と言われながら、ブランド力が弱い。まず金型に刻印を付け、誰が見てもIBUKIの金型だとわかるようにします。コストの提示方法も工夫していきます。イニシャルが高くとも壊れにくければ、ライフサイクルで考えれば安くなります。現場からのIBUKIの型は壊れないと評判がブランドになる感じです」。
―中長期的な方向性を教えて下さい。
「金型は受注の負荷変動が業績に直結します。生産高に依存しない事業モデルの構築や常識にとらわれない新しいモノづくり基盤を目指したいですね。金型業界そのものの成長戦略を描ければ、日本の金型ひいては製造業の地位向上にもつながる」。
▽住所=東京都港区港南1―6―34
▽代表者=松本晋一社長
▽設立=2004年
▽資本金=2800万円
▽社員数=90人(グループ含む)
▽事業内容=製造業向けコンサルティング、金型製造
金型新聞 平成27年(2015年)6月4日号
関連記事
ウェブを最大限活用 令和2年の総会がウェブ会議システムになるとは想像もしていませんでしたが、コロナ禍(新型コロナウイルス感染拡大が招いた危機的、災厄的な状況)の総会であることを正会員並び賛助会員の皆様にはご理解を頂き、…
特集 次世代車で変わる駆動部品の金型鋳造に独自の新工法 次世代自動車の技術は電動化に限らない。注目されるのがエンジンの進化だ。燃費性能を追求する新型エンジン「スカイアクティブ」。多くの自動車メーカーが電動化に力を入れる…
日本工業大学大学院教授 横田 悦二郎氏に聞く 「ユニット」や「軽量化」がカギ 日本金型工業会で学術顧問を務める、日本工業大学大学院の横田悦二郎教授は「国内に戻る金型は出て行った時と内容は異なり、高度化して回帰している」…
経済産業省は3月28日、金型を始めとした日本の素形材産業が今後進むべき方向性についてまとめた「素形材産業ビジョン」を12年ぶりに公表した。3代目となる2025年版ビジョンでは、日本の素形材産業の現状や課題をまとめ、204…
