サイベックコーポレーション 顧問 平林 健吾氏 1944年生まれ、長野県出身。工作機械メーカー、プレス部品メーカーを経て、73年に信友工業(現サイベックコーポレーション)を設立。2009年顧問。18年旭日単光章を受賞。…
この人に聞く2015
製造業コンサルティング
O2(オーツー)松本 晋一社長

プラスチック金型メーカーの安田製作所は今春、社名を「IBUKI」に変更した。昨年9月、同社を傘下に収めた、製造業向けのコンサルティング会社O2(東京都港区)の松本晋一社長は「製造業とサービス業の強みを生かした、新たなビジネスモデル構築をめざす」という。社名通り、業界に新たな息吹を吹き込めるか。狙いなどを聞いた。
―これまでの貴社の取り組みを教えて下さい。
「当社は設計を中核にした製造業向けにコンサルしてきました。設計に絞ったのは、アナログな部分が多く、特化できれば強みになると考えたからです。現在は技術だけでなく経営までコンサルの領域を広げています」。
―なぜ製造業への経営参画だったのですか。
「今の産業界には『製造業のサービス業化』と『サービス業の製造業化』の流れがある。前者の好例はアップルで、後者はグーグル。アップルはipodなど製造から入り、iTuneなどのサービスをセットで提供し時代を創った。一方グーグルは検索サービスから入り、グーグルカーなど製造に参入しています。つまり製造とサービスの両方の交点がそろって高い価値を生み出せると思う」。
「当社にはコンサルや設計と言うサービスの強みがありますし、製造業と密に協業し、ユニークな価値を創造できると考えたのです。コンサルとしても仮説提案力も増します」。
―金型に参入して感じたことはありますか。
「過度なコモディティ化ですね。電機業界がアジア勢に苦戦した動揺の現象が金型でも起きていると思う。脱コモディティ化のために売り込み先を変えました。購買担当者にいくら提案しても認めてくれない。加飾などに強みをもつIBUKIは製品のデザイナーに提案できれば価値を認めてもらえる。慣習上難しいのも分かりますが、そうした流れを変えていきたい。当社のネットワークを活かせばできるし、結果も伴いつつある」。
―他にはありますか。
「ブランド力の重要性ですね。金型は産業の足腰と言われながら、ブランド力が弱い。まず金型に刻印を付け、誰が見てもIBUKIの金型だとわかるようにします。コストの提示方法も工夫していきます。イニシャルが高くとも壊れにくければ、ライフサイクルで考えれば安くなります。現場からのIBUKIの型は壊れないと評判がブランドになる感じです」。
―中長期的な方向性を教えて下さい。
「金型は受注の負荷変動が業績に直結します。生産高に依存しない事業モデルの構築や常識にとらわれない新しいモノづくり基盤を目指したいですね。金型業界そのものの成長戦略を描ければ、日本の金型ひいては製造業の地位向上にもつながる」。
▽住所=東京都港区港南1―6―34
▽代表者=松本晋一社長
▽設立=2004年
▽資本金=2800万円
▽社員数=90人(グループ含む)
▽事業内容=製造業向けコンサルティング、金型製造
金型新聞 平成27年(2015年)6月4日号
関連記事
「六角パンチやピンの研削加工では多少寸法のズレが発生するため、補正するのが常ですが、狙い通りに寸法がハマッた瞬間はヨシッとガッツポーズします」と笑顔を見せるのは堀江亜衣奈さん(22)。精密鍛造金型や部品を手掛ける阪村エン…
プラスチック金型を手掛ける名古屋精密金型(愛知県知多郡東浦町、0562-84-7600)は7月、坂元正孝氏が社長に就任した。同社の工場は本社、熊本、宮崎とベトナム、インドネシアの5工場で金型を製作している。金型業界を取り…
三菱重工工作機械が金型加工向け販売を強化している。小型機から5面加工機までラインアップを揃え、より高精度を求められている金型をターゲットに、最適ソリューションを提案する。その背景、今後の展開を佐郷昭博取締役トータルソリュ…
三井精機工業(埼玉県川島町、049-297-5555)が、金型分野に注力している。今春、新型の微細加工機と、ジグ研削盤を発売。今後需要の拡大が期待される電気自動車(EV)や電子部品関連の金型加工向けを中心に売り込んでいく…