機械や工具の最新情報など金型業界の今をお届けする「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

25

新聞購読のお申込み

「世界のオギハラ」再建
-長谷川 和夫社長に聞くー

米に工場、生産力強化

オギハラ 長谷川  和夫社長 自動車ボディ向けプレス金型を手掛けるオギハラの社長が今年1月に交代した。新社長はアメリカ現地法人副社長の長谷川和夫氏。製造部門を経験し、長く海外畑を歩み、海外自動車メーカーの金型調達や開発にも携わるなど、「世界の金型を知り尽くした」人物。生産体制の改革やグローバル化、アルミ材向けの金型技術力の向上など同社の強みを最大限に高め、付加価値の高い金型づくりを目指す。

アルミやカーボン 新部材用の金型に挑む

 オギハラは、自動車ボディ向けでは世界有数のプレス金型メーカー。2009年に自動車部品メーカーのタイサミット社(タイ)の傘下に入り、11年には自動車メーカーの比亜迪汽車(中国)に館林工場を譲渡した。ピーク時は900人弱だった従業員数も現在は400人に、生産額も約半分(100億円)に減少したが、技術力や生産性向上を図るなど、再建を進める。長谷川社長は「親会社も同じメーカーだから、ものづくりの大変さをよく知っている。技術者の交流も盛んで、対等で良好な関係を築いている」と強調する。

 そんな親会社が社長に指名したのが長谷川和夫氏。指名された理由について長谷川社長は「金型を熟知していたから」という。オギハラに入社後、設計、加工、金型調達までを経験し、欧州やアジアの自動車メーカーの金型開発に携わるなど、30年以上に渡り金型に関わってきた。だからこそ、長谷川社長に求められているのは「より付加価値の高い金型づくりができる仕組みを構築すること」だ。

 そのひとつが、昨年から始めているすべての金型製造工程をシミュレーションする「フルサイクルシミュレーション」という取り組み。機械加工が始まる前に全工程の検証を完了し、納期短縮と生産コストの削減で生産効率の向上を目指す。

 現在、オギハラが手掛ける金型の約9割が輸出向け。そのため、海外で多く採用されているアルミ材向けの金型技術に強みを持つ。アルミ材はハイテン材と同様に成形性が悪く、プレスでは難しい材料とされる。長谷川社長は「アルミ材向けのプレス金型技術では世界一」と自負する。省エネや電気自動車の普及など、軽量なうえに強度の高いアルミ材のニーズは増えるとみられ、「今後もアルミ材向けの金型を伸ばしていく」と話す。

 グローバル展開も加速させる。現在、拠点は日本、タイ、中国、アメリカの4つ。アメリカ以外は金型工場を持つが、年内には中国との合弁金型工場を増設するほか、アメリカの量産工場も増設する予定だ。

 グローバル化は人材面にも及ぶ。語学力の向上のためにインセンティブを設け、社員の語学習得へのやる気を促す。「いくら機械化が進んでも何をどう削るかは人が考える。グローバルで同じ品質の金型をつくるために、世界中に派遣できる人材を育成していく」。

 長谷川社長は、「日本と海外での住み分けができつつある」とし、「日本に求められるのは、納期、難度、品質などレベルの高い金型」。そうした金型づくりを実現するため「特長を極めることが不可欠」、生産体制の改革、アルミ材向けの金型技術、グローバル化とオギハラにしかできないものを追求。

 「今後カーボンやアルミ、ハイテン材など素材も進化し、求められる金型は変わっていく。そうした変化に対応できなければならない」と技術、人材、海外展開などあらゆる面で挑戦を続ける。その上で、「すべての従業員に喜んでもらえる会社にしたい」という目標を掲げる。


プロフィール

 1954年生まれ、静岡県出身。77年日本大学卒業後、オギハラ入社、86年オギハラ・アメリカ・コーポレーション(現タイサミット・アメリカ・コーポレーション)、2013年同副社長、16年1月オギハラ社長に就任。


金型新聞 平成28年(2016年)5月14日号

関連記事

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –中国–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…

【我ら金型応援隊】トクピ製作所 超高圧で自動化促進

産業用高圧ポンプや高圧クーラントユニットの製造、販売を手掛けるトクピ製作所は、超高圧クーラントユニットの製造に注力している。 「HIPRECO」は、最大30Mpaの水圧で刃先からクーラント液を噴射。切屑を細かく分断、排出…

【鳥瞰蟻瞰】由紀ホールディングス 代表取締役社長・大坪正人 氏「中小製造業をグループ化、優れた技術守り次代につなげる」

中小製造業のグループ化事業に集中できる環境を整備優れた技術守り次代につなぐ 2006年に金型ベンチャー企業から父が経営するねじメーカーの由紀精密に入社しました。そこで感じたのは企業規模が小さすぎて、あらゆる機能が無さすぎ…

この人に聞く2015 <br>型技術協会 会長 田岡 秀樹氏

この人に聞く2015
型技術協会 会長 田岡 秀樹氏

出会い生み出せる場に 来年30周年、記念事業 全社参加の展示会  金型技術者、経営者らが集まる型技術協会は来年30周年を迎える。来年9月には、大田区産業プラザPiOで記念イベントを開く予定だ。「全会員参加で出会いの場を創…

―スペシャリスト―〈ヘラ絞り〉山村製作所〈ヘラ型〉田中鉄工<br>ものづくり支える匠の技

―スペシャリスト―〈ヘラ絞り〉山村製作所〈ヘラ型〉田中鉄工
ものづくり支える匠の技

ヘラ棒と呼ばれる工具を回転する金属の板に押しあてて、滑らかな曲面や艶やかな平面に加工するヘラ絞り。品質の良い製品をつくるには、ヘラ棒を操る卓越した技術もさることながら、匠の技を受け止めることができる金型が必要だ。ヘラ絞り…

トピックス

関連サイト