2020年11月26日(木)

己が戦力知り戦略
日本金型工業会学術顧問 /日本工業大学客員教授
横田 悦二郎氏に聞く

〜世界の需要どう取り込む〜

 世界の金型需要を取り込むには何が必要か—。世界各地の金型工業会の設立に関わり、世界中の金型業界をよく知る日本金型工業会学術顧問の横田悦二郎氏は「コロナで世界の金型需要は高まるが、需要を確保するには、型種や業種を超えて連携し、総合的な力を高めるべきだ」と指摘する。金型メーカーに必要なことや、考え方などを聞いた。

型種や業種超える連携も

まず、世界の金型の動向をどう見るか。

 一括りでみるのは難しい。地域で状況や特徴が異なるからだ。例えば、欧州はドイツやポルトガルをけん引役に機械や治具、ITなど金型に必要な要素が全てそろっている。北米はアメリカ、カナダ、メキシコそれぞれに役割があって、地産地消できる力がある。中国は世界一の生産国となったが、人件費が高騰し、かつて日本で地方に生産拠点が移ったのと同じことが起きるかもしれない。アジアは経済成長が続くので金型需要は増える。このように地域で状況は異なるが、間違いなく起きる変化はいくつかあり、金型への影響が出る。

どんな変化か。

 人口の減少が進み、国内の金型需要は減る。量が売れない上、製品が多様化するので、多品種少量向けの金型が求められることは確実だ。また、コロナでサプライチェーンが分断されたので、各国が国内で部品を作ろうとする。そうなると、金型が必要になるので、海外での金型製造のニーズは高まる。ただ、量産工場は作れても、様々なノウハウが必要な金型はすぐに作れないため、短期的には新興国を中心に金型を求める動きが強くなる。アジアで金型供給力があるのは、日本、中国、韓国、台湾に加え、タイ、マレーシアぐらい。そうした国々との競争は激しくなる。

どう戦うべきか。

 勝負の前に、日本の金型メーカーは強み、弱みを明確にすべきだ。強みは海外での顧客も日系企業が中心ということ。弱みは、他国と比べ価格が高く納期が長いこと。日本と海外で価格や納期の認識が異なるので再定義が必要だが、いずれにせよ、個別企業の努力に加え、連携や再編などを進め、業界を挙げて生産性を高めることは必要だ。

総合的なサポート力必要

ほかには。

 営業力やPR不足も弱みだ。ただ、業界単独でのこれまでのやり方ではダメだと思う。ほかの素形材業界と連携し、総合商社のように、日本はトータルで生産を支援できることをアピールしたほうがいい。金型を求める国は、樹脂、プレス、鋳造など総合的なサポートを求めているからだ。

今後の金型メーカーに必要なことは。

 まず足元を見つめ直すことが必要だと思う。登山靴を履いて100m走に出る人はいない。自分が履いている靴、つまり自社の設備や人材などを考慮し、どう戦うのかを決めること。戦略は各社で異なるが、自らを理解せずに海外との競争はできない。

 また、コロナによって、営業やサプライチェーンのあり方など多くのことが変わる。アフターコロナの時代にあって、自社はどこに向かい、そのために何をすべきなのか。ゼロではないが、創業時と同じように原点に戻って考え直す必要があると思う。

金型新聞 2020年7月1日

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