金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

08

新聞購読のお申込み

金型の寿命、1.5~5倍に<オカノブラスト>

WPCと鏡面

ハイスなどの微粒子を高速衝突させて金属を鍛錬するショットピーニング(WPC処理)と、鏡面に磨いて耐摩耗性を高めるラッピング。オカノブラスト(堺市中区、072・234・0999)は、この2つの加工を複合させて金型の寿命を飛躍的に伸ばす独自の技術を持つ。もともとある部品メーカーのために開発したが、今では冷間鍛造やプレスの金型に広く採用されている。
同社が「タフラット」と呼ぶこの技術は、WPC処理をした後でラッピングをする。WPCは微粒子の衝突による鍛錬と熱処理の効果で硬度や疲労強度が高まるが、微粒子の打撃痕で微細な凹凸ができ、クラックの原因になる。ラッピングするのはこの凹凸をなくすため。つまりタフラットは鍛錬をした表面をさらに磨き、強度も耐摩耗性も高める技術。金型に使えば、寿命が1・5~5倍に伸びるという。

ショットピーニング(上)
ラッピング(下)

8年前にある輸送機部品メーカーから冷間鍛造金型の耐久性を高める方法について相談を受けたのがきっかけ。試行錯誤の末に自社の2つの加工を組み合わせてみたら金型の寿命は驚くほど伸びた。WPCとラッピングを一貫するため別々に加工(1日、3~5万円)するのと比べて費用は5分の1~10分の1に。加工時間も30分~1時間ほどしか掛からない。
金型に使えると分かり、昨年11月には輸送機部品メーカーとこの処理技術で共同特許を取得。国の補助事業にも選ばれ、加工後の疲労強度を検査する装置も導入した。金型メーカーからの受託(WPC・φ100~150㎜長さ2mまで、鏡面・φ400㎜まで厚さ100㎜まで)も始め、今では冷間鍛造やプレスの金型での採用が増えているという。
オカノブラストはショットブラストを基盤技術とするWPCやラッピング、二硫化モリブデンショット、ブラスト処理を手掛ける。岡野俊之専務は「ブラストの技術は今なお、未知数。これからも加工精度を高めたり、組み合わせたりして、金型などに役立つ技術を見つけたい」。

オカノブラスト
▽大阪府堺市中区東山644、072・234・0999
▽設立1982年▽代表取締役・岡野俊博氏▽社員数24人
▽事業内容・ブラスト処理、WPC処理、二硫化モリブデンショット、ラッピングの受託加工。

金型新聞 平成26年(2014年)5月14日号

関連記事

インターモールド2018大阪 総集編<br>止まらない技術革新

インターモールド2018大阪 総集編
止まらない技術革新

 インターモールドでは、金型加工における新提案が多数出展。工作機械メーカーはこれまで3軸加工がメインだった金型加工を、5軸加工に変えることの強みをより具体化させ、加工実演やセミナーを通じて来場者にアピール。さらに、5軸加…

光洋メタルテック 新鍛造ラインを確立

リードタイム短縮、工数低減 ジェイテクトのグループ会社、光洋メタルテック(三重県伊賀市)は、従来の縦型熱間プレス工法で実現できない複雑な形状を全自動の鍛造プレスローリング工法でAT車用多段変速機に使用される遊星ギヤリング…

インターモールド2022 4月20~23日にインテックス大阪で開催

最新の金型加工技術 第33回金型加工技術展「インターモールド2022」(主催:日本金型工業会)が4月20~23日、インテックス大阪(大阪市住之江区)で開催される。 インターモールドは国内最大の金型加工技術の総合展示会。一…

日本コーティングセンター 水素フリーDLC被膜

高い密着力と表面粗さ実現 日本コーティングセンター(神奈川県座間市、046・266・5800)はこのほど、水素フリーダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)コーティング「TETRAスリック」を発表した。高い密着力と表面粗…

シンクビジョン<br>管理システムの新バージョン

シンクビジョン
管理システムの新バージョン

 シンクビジョン(静岡県浜松市、053・437・5691)はこのほど、生産管理システム「cycleon(サイクロン)」の新バージョンを発売した。見やすい画面配置や操作性の強化など、現場の作業者の使いやすさを追求した。  …

トピックス

関連サイト