金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

19

新聞購読のお申込み

【金型の底力】日本精機 金属3Dプリンタの技術や知見を蓄積

ダイカスト金型メーカーの日本精機は金属3Dプリンタを活用した金型づくりに本格的に乗り出す。7月に金属3Dプリンタ2台を導入した。きっかけはSKD61相当材で造形が可能になり、金型への適用領域の可能性が広がってきたこと。まずはインサート部品から始め、知見や技術を高める。将来は自らが金属3Dプリンタ技術の情報発信源となり、金型づくりを変える考えだ。

松原  雅人常務

製造子会社で貿易や金型のコンサルティングなどを手掛ける、ツーリングイノベーション(愛知県守山区)に、GEアディティブ傘下のコンセプト・レーザー社の金属3Dプリンタ「M2 cusing SL Series4」を2台導入した。金属粉末にレーザーを照射し造形していくレーザービーム方式のプリンタで、ほかにも後加工用に5軸マシニングセンタ(MC)や3軸MC、熱処理炉などと合わせて3億円以上投資した。

金属3Dプリンタで造形したワーク
3Dプリンタを導入した子会社のショールーム

これまでも一部の顧客から金属3Dプリンタを使ったインサート部品の製作を依頼されることがあったという。しかし、社内に設備を持たないため、協力先に依頼してきた。「金属3Dプリンタを使ったインサート部品のニーズは増えつつあり、いずれ必要とは感じていた」(松原雅人常務取締役)。

本格参入の契機となったのは、SKD61相当材で造形が可能になったこと。松原常務は「これまでマルエージング鋼が一般的だったが、SKD61相当だとインサート部品だけでなく、金型づくりでの適用領域は広がると感じた」という。

2月中旬にSKD61相当材の話を聞いて、4月には設備の導入を決断。「いずれ金型づくりに金属3Dプリンタが必要になるのは間違いない。その時に、後発になるのは面白くない。他社に先んじてノウハウを蓄積する必要がある」と即決の理由を話す。

2台導入した金属3Dプリンタ

今回導入した金属3Dプリンタは、SKD61相当材の造形に特化させる考えで、まずはインサート部品の造形から始める。その理由は「(複数の素材を扱うと)パウダーの入れ替えに手間がかかりすぎるのと、マルエージング鋼からSKD61相当材への置き換えを提案していくため」という。

導入の狙いは部品を作ることそのものではなく、設計領域への提案強化と、業界の構造変化につなげることにある。松原常務は「今の金型づくりで最も重要なのは設計の領域。金属3Dプリンタで作った部品の採用が広がれば、金型全体の設計から見直す必要がある。造形に関する知見と、当社が持つ金型技術と融合できれば、設計領域に提案できる」と話す。さらに「設計だけでなく、加工、熱処理、解析までトータルで手掛ける必要がある」とし、熱処理や5軸MCなども合わせて導入した。

「これまでの金型づくりでは顧客ニーズありきで、金型メーカー発信の技術開発は難しかった。金属3Dプリンタの技術や知見を蓄積し、自らが発信源となることで、金型のつくり方や業界の慣行など色んなものを変えていきたい」とし、金属3Dプリンタの技術をベースに、業界のゲームチェンジャーを目指す。

会社概要

  • 本社  :  愛知県名古屋市守山区中志段味2799
  • 電話  :  052・736・0611
  • 代表者 : 辻村 正稔社長
  • 創業  :  1920年
  • 従業員 :  60人
  • 事業内容:  ダイカスト金型の設計製作及びメンテナンス、金型部品製作、金型コンサルティング、航空機部品製作。

会社の自己評価シート

自社のどんな「力」に強みを感じ、どんな「力」をウィークポイントと感じているのか。10種類の「力」をそれぞれ10点満点で自己評価してもらいました。

金型新聞 2021年8月10日

関連記事

コアコンセプトテクノロジー CTO 田口紀成氏に聞く
〜DXがなぜ必要か〜

 あらゆる業界で叫ばれているDX(デジタルトランスフォーメーション)。各企業には、デジタル技術を使い、ビジネスモデルや組織、働き方など会社そのものの構造を大きく変えていくことが求められている。金型業界も例外ではない。次代…

芝浦機械 工作機械カンパニー
工作機械技術部第一開発課 シニアエキスパート 天野 啓氏
〜鳥瞰蟻瞰〜

目指すは「恒・高精度化」 それを見極められる人の育成が、より重要に  超精密金型の世界で目指すべきは「加工工程の『恒・高精度化』」だと考えています。どこで成形しても高い水準で同じ品質が得られること。つまり、高いレベルでの…

学生教育でCAEを活用 岩手大学【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

CAEを活用しているのは企業だけではない。岩手大学では、樹脂流動解析ソフト「3DTimon」(東レエンジニアリングDソリューションズ)を学生の教育で利用している。樹脂を流す際、最適なゲート位置などを自らの勘や経験から教え…

田口型範社長・田口 脩一郎さん 70年以上続く鋳造用金型メーカーを継いだ

埼玉県川口市で70年以上続く老舗鋳造用金型メーカーに生まれた。幼い頃から創業者の祖父に「3代目はお前だ」と言われて育ってきた。 高校に上がる頃には自然と会社を継ぐことを意識した。大学は理工学部に入り、機械工学を学んだ。後…

難しい金型<br>日本へUターン

難しい金型
日本へUターン

日本工業大学大学院教授 横田 悦二郎氏に聞く 「ユニット」や「軽量化」がカギ  日本金型工業会で学術顧問を務める、日本工業大学大学院の横田悦二郎教授は「国内に戻る金型は出て行った時と内容は異なり、高度化して回帰している」…

トピックス

関連サイト