金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

27

新聞購読のお申込み

金型メーカー座談会<どうなる2014年 どうする今後の展開>

経営者が語る
視野広げ新規開拓

1月10日号のつづき

樫山 どんな方法で新規開拓しているんですか?
鈴木 インターネットで調べたり、展示会等に行き情報を集めたりします。ただ、プレス金型の納入先ですと顧客の幅が狭くなるので新規への挑戦が必要になってくると思います。
樫山 少し目線を変える必要があると思います。例えばデジタルシボ加工の「D3テクスチャ」というものを手掛けていますが、全く関係がなかった企業とつながるなど、横の連携が広がっていますし、視点を広げることで、会社としては良い方向に進めるのかなと考えています。基本的に金型メーカーが新規顧客を見つけることはそんなに簡単なことじゃないんですね。6年ほど前、展示会に出展した時「出すものがない」ということになりまして。これだけ良い機械があって、良い金型を作りますって言っても、お客さんに全く響かない。それがデザイン系の展示会にでると、メーカーさんでもこれまで縁が無かったデザイン部門とか開発部門と繋がりができたりします。
司会 ある意味で新しいチャネルですね。
樫山 今生き残っている金型メーカーは技術やコストなど、何かしら特長を持っています。同じ土俵で競争すると結局値段でしか入れないということになってしまいます。だから、違うアプローチを考えないとダメだと思います。値段以外のところでどうやって顧客とつながりを持つか、お客さまの目線に入る機会をどうやって増やしていくかを考えないといけないと思います。普通のアプローチで金型をPRしても、共感はされますがひっかかりは少ないと思いますね。
司会 ネットワークはどのように広げるのですか。
樫山 それこそ、天青会の勉強会や交流会なども一つの機会ではないでしょうか。
司会 金型メーカーの事業所数は、2011年の工業統計では7588社で、事業所数の減少も顕著です。
樫山 確かに外注先でもやれるところ減っている気がします。
鈴木 小規模な会社は年齢の高齢化が進み、跡継ぎがいないため廃業しているケースも多いです。今はまだ日本には金型メーカーが多数あるため、金型部品や製作用ツールが短納期で安く仕入れることができますが、金型メーカーが少なくなれば、スケールメリットがなくなり、簡単にツールが入手できなくなる危険があります。
渡辺 確かにそうですね。知らない間にかなり仕入れ先が変わっているんですよ。調べてみると、廃業したとか、縮小してできないとか、外注先がかなり変わっているんです。日本で金型を作れるところが無くなっちゃう危険もありますよ。
司会 自動車業界の変化も金型メーカーにとっては気になるところです。自動車の軽量化が進んでいますが鋳物部品は減っていませんか。
渡辺 減っていると思いますよ。昔の車の部品は全て鋳鋼で、それが鋳鉄になり、アルミになり、マグネシウムになりという流れになっています。昔やっていた、インテークマニホールドなども樹脂になっています。それが内燃機関をやっているメーカーとしては目下の課題ですね。でもまだ20~30年は無くならないと思います。10年のうちにどこに軸足を置くのかは決めておいた方が良いでしょうね。
司会 自動車の軽量化に伴い、ハイテン材も増えています。
鈴木 塑性変形が難しい材料が増えており、そのノウハウを高めているところです。ただ、難しい材料が増えれば増えるほど、日本企業が優位に立てる部分も大きくなると思います。海外では高ハイテンの金型はあまりできないですからね。
司会 CFRPもやっているんですよね。
鈴木 グループ企業内でCFRP成形用の金型を製作しています。自動車や住宅設備などユーザー・用途は色々ありますね。ただ、材料メーカーも試行錯誤しているので開発型のものが多いですね。言えない部分が多いです。

座談会出席者

小原社長_R
小原彫刻工業
代表取締役
小原基雄氏

樫山社長_R
樫山金型工業
代表取締役社長
樫山剛士氏

牧野会長 (1)_R
長津製作所
代表取締役会長
牧野俊清氏

渡辺社長_R
日型工業
代表取締役
渡辺隆範氏

鈴木常務_R
マルスン
常務取締役
鈴木將生氏

金型新聞 平成26年(2014年)2月10日号

関連記事

共立精機(大連) ギガキャストで進む大型化【特集:進む設備の大型化】

12000tの金型に対応 大型のダイカストマシンで、アルミ部品を一体鋳造する「ギガキャスト」。トヨタ自動車やリョービが参入を表明し、注目を集めている。ただ、国内でギガの量産金型を手掛けた企業はほとんどない。 三重県の共立…

米谷製作所 メガキャスト向け超大物金型に挑む【特集:自動車金型の未来】

企業連携で金型技術確立へ EVシフトによって、需要減少が見込まれる内燃機関(ICE)部品の金型。シリンダヘッドやシリンダブロックなどのダイカスト金型を手掛ける米谷製作所はその影響を受ける1社だ。米谷強社長は「今後、内燃機…

スコープ3の対応進む【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)」の実現を目指す動きが加速している。欧州の規制強化などに伴い、サプライチェーン(供給網)全体でのCO2排出量を示す「スコープ3」への対応を進める…

中辻金型工業 切削工具を自社開発

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

自動化で変わる金型メーカー 背景に従業員、事業所の減少【自動化で変わる金型メーカー】

生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるた…

関連サイト