日本でのプレス加工の歴史が始まって約150年。日本の製造業の発展とともに、プレス加工は進化を続けてきた。近年では最大の需要先である自動車産業でEVシフトが活発化していることから、新しい需要獲得に向けた開発や事業に取り組む…
がんばれ!日本の金型産業特集
山崎工業 山﨑 徹 専務取締役

「他社で断られた図面を持ってきてほしい」―。
そんな無理難題を全国から集め、解決方法を提案しているのが、順送プレス金型の設計製作からプレス加工まで行う山崎工業だ。得意とするのはワークサイズで1㎜以下のシャーペンの芯ほどの超微細なものから、手のひらサイズまでの小型部品。現在は自動車関連部品が多いが、これまでOA機器、電子機器、医療機器など様々な実績を持つ。
「課題解決型企業」を志向する同社の強みは金型から量産まで一貫生産できること。金型づくりにもそれは反映されている。山﨑徹専務も「金型だけで考えることはない。メンテナンス性や耐久性などの量産性を常に意識する」と言う。その姿勢や実績があるから、顧客から無理難題を言われる関係であり続けられるのだろう。またその難題には全力で応える。
多くの課題解決の事例を持つが、特長的な一例が切削加工からの順送プレスへの工法転換だ。写真のワークもその一つ。切削加工していたワークをプレス加工に置き換えコストダウンに成功した。 板厚1.2mmのコイル材を使用しながら製品の最大高さを2.0mmまで押し上げ、歩留まりを向上させている。
このほかにも数多くの改善提案や工法転換の実績を持つが、「物理的に不可能でなければ仕事は断らない」「使い勝手を理解して、プレス加工を考慮した形状提案をしながら、最適な方法を探す」(山﨑専務)姿勢も、多くの課題を集め、事例を生む源泉になっている。

柏崎市の製造業は「大物加工が多い土地柄で、微細加工を得意とするところはあまりない」(山﨑専務)という。この同業者がいない状況が、多様な人材を採用し、じっくり育成するという同社の下地となっているのかもしれない。例えば採用。産業集積地では経験者を求める企業が多いが、同社は、ものづくり初心者も多く、多様な人材に門戸を開く。「社員の大半が柏崎市民で定着率が非常に高い」のも育成には必要な条件だ。さらに「基礎知識は外部講座なども活用するが、コア技術はOJT」という自ら育成する方針が根底にある。
そうした考えをベースに、現在進めているのが多能工化だ。そのやり方も同社ならでは。金型部門でワイヤ放電に最も長けた技術者であれば、近い加工の形彫り放電や研磨加工などの関連技術の習得を最低3つ以上推奨している。プレス加工の現場でも同じだ。プレス技術者は金型のメンテナンスを自分で行うし、自ら加工したワークの測定作業も当然のように行う。多能工化を進める目的の一つとして、山﨑専務は「加工技術が日々進歩しているなかで、人もその進化についていく必要がある。それには常に挑戦し続けなければダメだから」という。
今後について「機械加工をプレス加工に置き替えるコストダウン効果は計り知れない」と順送プレスの将来性をみる。だからこそ「これからも工法の見直しや、ユーザーの課題解決を通じて、順送プレスでできる領域を広げていく」とプレス技術を極めていく考えだ。

代表者=山﨑敏明社長
資本金=1,000万円
売上高=16億7,600万円(グループ企業含む)
創 業=1962年
従業員数=152人(グループ企業含む)
本 社=〒945-1351 新潟県柏崎市上田尻35691
安田工場=〒945-1352 新潟県柏崎市安田田尻
工業団地7578-4
電 話=0257・21・3311
Fax=0257・24・6768
H P=http://www.yamazakikogyo.co.jp/
E-mail=office@yamazakikogyo.co.jp
主な業務内容=精密順送プレス金型設計、製作、プレス量産加工
設備機械=サーボプレスなどプレス機59台(アマダ「SDE2025」など)、ワイヤカット放電加工機10台(ソディック「AP650L」など)、形彫り放電加工機4台(ソディック「AP3L」など)、マシニングセンタ3台(牧野フライス製作所「V77」など)、CAD/CAM15台(C&Gシステムズ「EXCESS-HYBRID」)など。
経営方針=「お客様に満足していただける製品造り」、「世界No.1の加工技術への挑戦」、「社員が安全で楽しく働けて豊かに成れる企業づくり」
金型新聞 平成27年(2015年)11月14日号
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