開発や加工提案につなげる 三菱日立ツール(東京都墨田区、03・6890・5101)は、金型についての知見を深めようと、社内で初めて金型を製作した。4月に東京ビッグサイトで開かれた「インターモールド2019」で披露した。…
植田機械 専務取締役営業本部長
世古秀人氏に聞く−金型業界の未来−
更なる価値に活路
超微細や新素材金型+成形
日本の金型産業は今、かつてない変化の時代を迎えているのではないでしょうか。金型の需要はここ数年、自動車や電子機器業界の好転により堅調に回復してきました。しかし、その水準はまだリーマン・ショック以前には戻っていません。その背景には、ものづくり企業のグローバル化があり、この動きは今後も進むと思われます。
とはいえ、こうした向かい風の経営環境でも、日本の金型産業は勝ち残るでしょう。戦後復興、高度成長を経て経済大国となった日本のものづくりを支え、世界をリードする高度な技術を構築してきました。そして、その高い技術を次代へと継承し、優れた技術者を育ててきました。これまでに培った技術力や経験を活かすことで、時代が求める新たな金型や製品を生み出すことができるはずです。
そこで大切なのは、ものづくり企業の志向の変化を柔軟に対応することだと思います。ものづくり企業の多くは、需要を求め、また為替リスクを回避するため、世界で地産地消を進めています。海外で現地向けの生産を、日本で国内向けの生産や製品開発をする傾向が強まっています。そして、品質が高く価格競争力のある製品を短期間で開発し、国内外で拡販していく。
最先端の生産財で後方支援
そうした中で、ものづくり企業が金型産業に求めていることは何か。それは、最先端技術を活用する製品の開発や、安定した品質で製品を量産する技術の確立、高品質で低コストの部品調達などを「金型」という立場からサポートして欲しいということではないでしょうか。
ですから、▽微細・精密、新素材などの製品の金型開発にチャレンジする▽ものづくり企業の生産技術にも参画する▽部品量産も手掛け、金型+成形によるトータルメリットを打ち出す―といったことに取り組むことが、未来を拓くカギになるのだと思います。
実際に、このところの金型業界を俯瞰してみると、微細・精密な加工技術や、新たな素材の塑性に関する知識が必要なレンズや電子部品、自動車部品、医療機器などの金型は注目され、需要も増えています。その一方で、部品の量産もしたり、生産技術にも参画したりする金型メーカーは、ものづくり企業にとって無くてはならない存在になっています。
ただ、新たな事業に挑戦するには、技術力や経験に加え、最新の加工技術が必要です。生産財は常に進化し、日進月歩で新たな技術が登場しています。これまで金型産業とともに歩んできた当社は今後も、「商社」という立場から、挑戦する金型メーカーの方々を応援し続けます。
金型新聞 平成29年(2017年)1月20日号
関連記事
鉄の板を金型でプレスすると起こる想定外の歪みや割れ。その原因を見極め、溶接と研磨で補正し、目指す品質に導いていく。解析が進化した今も、自動車のドアや骨格部品の金型は人による玉成がカギを握る。その技能を次代に教えている。 …
型でおむすび作り 自動車のプレス金型を手掛ける明星金属工業(大阪府大東市、072・877・1661)は旅行専門誌じゃらんと、金型工場を見学したり型でおむすびを作って食べたりできる体験イベントを始めた。 上田幸司社長の案内…
付加価値高める高機能な金型 金型展2024では、付加価値を高める高機能な金型を展示する企業が随所に見られた。 キヤノンモールドは、中空体を作る樹脂接合金型を展示した。同社が製作した小型射出装置「BOX INJECTOR」…
干渉防ぎ深部まで加工 倉敷機械(新潟県長岡市、0258-35-3040)はこのほど、5軸マシニングセンタ(MC)に横中ぐり盤の機能を搭載した新型工作機械「KTR‐1200」を発売した。航空機のエンジンケースや金型など複合…


