金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

22

新聞購読のお申込み

この人に聞く2017
安田工業 安田 拓人社長

微細加工の大型化に対応

 工作機械の「マザーマシン」として世界で高い評価を得ている安田工業。近年、金型業界でもニーズが高まる微細加工向けとしてJIMTOF2016で「YMC650」を発表し微細加工分野の開拓に努めている。安田拓人社長に微細加工分野における戦略を聞いた。

ニーズに応える技術

安田 拓人社長

 1969年3月生まれ。94年安田工業入社、99年に常務取締役、2009年代表取締役に就任。

 ―「YMC650」の開発背景と特長は。
 09年に微細加工向けの「YMC430」を発売しました。主軸4万回転・全軸リニアモータ仕様で、1ミクロン以下の加工精度が出せると評判になり販売も好調です。自社製ロータリーテーブルを搭載した5軸仕様も徐々に伸びており、微細加工市場の拡大を実感していました。そこで製品のバリエーションを広げようと、より大きなワークを想定した「YMC650」を開発しました。移動量X軸600㎜、Y軸500㎜とストロークを大きくしつつ、当社独自の機体温度制御システムによりスピンドル内部まで冷却液を循環させることで、長時間安定して高精度加工できることが大きな特長になります。

―想定する市場は。
 カメラレンズやコネクターなど電子部品が拡大していると見ています。「YMC650」の想定市場はまだはっきりとしていませんが、燃料電池のセパレーターの金型や自動車用ヘッドランプのレンズ金型などがあると思います。

YMC650

YMC650


―今後の販売戦略は。
 微細加工では機械のみならず、加工技術、プログラミング、治具、工具測定などあらゆる要素が必要ですが、特にお客様に提案できる加工技術を持たなくてはいけません。そこで微細加工の加工研究に力を入れていきます。お客様からのテスト加工はもちろん、独自の加工研究で面粗度を上げる方法(加工条件)や超硬など新素材のテスト加工などで技術の蓄積を図っていきます。現在、本社工場のテスト加工現場を刷新中で、二重の恒温室(22℃±0・2℃)を作り上げ、そこに「YMC650」などを設置し、徹底した温度管理の下でテスト加工が行えるようにしていきます。

―今後強化していくことはどんな所ですか。
 強化しているのはソフト面です。5軸の芯出しや測定など高精度加工を簡単にする「新OpeNe」というインターフェースやYASDAコネクトというIoTに関連する機能で、温度管理や加工誤差など機械の見える化を図り、お客様に機械能力を100%使ってもらうための機能を充実させていきます。

金型新聞 平成29年(2017年)3月10日号

関連記事

デジタル技術駆使し、金型製作期間半減目指す【ササヤマ challenge!Next50】

ササヤマが今期スタートした新中期経営計画「SAIMS247」。その中核事業となるのが金型製作期間の半減だ。デジタル技術や経験を駆使し金型づくりの大改革が進む。 全ての部品をQRで管理 材料に書かれたシリアルナンバー。入力…

短時間でプレス解析 南工【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

トライ後の改修減らし生産性アップ 自動車の骨格部品などのプレス金型を手掛ける南工は昨年、解析速度の速いプレスシミュレーションソフトを導入した。短期間で高精度の塑性変形予測を割り出し、設計品質を高め、トライ後の改修時間も短…

日進工具が展示会

後藤社長に聞く 見どころと狙い  12年ぶりに日進工具が精密微細加工に特化したプライベートショー「NSTOOLプライベートショー2020精密・微細加工技術展」。小径エンドミルはもとより、微細加工機、治具、そして切削加工ユ…

この人に聞く
トヨタ自動車 大竹 知之部長

100年に一度の変革期 どうする金型づくり  エンジン、トランスミッション、カムシャフト、最近では電池やモータなど、自動車を動かすほぼ全ての内蔵部品の金型を手掛けるトヨタ自動車のパワートレーン工機部。豊田章男社長が「自動…

明輝 岩手・一関工場で挑む金型加工の効率化、高精度化【Innovation〜革新に挑む〜vol.2】

バンパーやグリルなどの自動車部品を中心に、家電製品、一般産業用品といった幅広い産業分野のプラスチック射出成形用金型を手掛ける明輝(神奈川県厚木市、046-224-2251)。同社は20年以上に渡ってMOLDINOの切削工…

トピックス

関連サイト