トヨタ自動車は昨年、2026年に投入を予定している次世代EVの生産工場にギガキャストを取り入れると発表した。従来数十点の板金部品で作っていたものをアルミダイカストで一体成形することで、部品点数を大幅に削減し、生産工程を半…
この人に聞く2017
安田工業 安田 拓人社長
微細加工の大型化に対応
工作機械の「マザーマシン」として世界で高い評価を得ている安田工業。近年、金型業界でもニーズが高まる微細加工向けとしてJIMTOF2016で「YMC650」を発表し微細加工分野の開拓に努めている。安田拓人社長に微細加工分野における戦略を聞いた。
ニーズに応える技術
―「YMC650」の開発背景と特長は。09年に微細加工向けの「YMC430」を発売しました。主軸4万回転・全軸リニアモータ仕様で、1ミクロン以下の加工精度が出せると評判になり販売も好調です。自社製ロータリーテーブルを搭載した5軸仕様も徐々に伸びており、微細加工市場の拡大を実感していました。そこで製品のバリエーションを広げようと、より大きなワークを想定した「YMC650」を開発しました。移動量X軸600㎜、Y軸500㎜とストロークを大きくしつつ、当社独自の機体温度制御システムによりスピンドル内部まで冷却液を循環させることで、長時間安定して高精度加工できることが大きな特長になります。
―想定する市場は。
カメラレンズやコネクターなど電子部品が拡大していると見ています。「YMC650」の想定市場はまだはっきりとしていませんが、燃料電池のセパレーターの金型や自動車用ヘッドランプのレンズ金型などがあると思います。
―今後の販売戦略は。
微細加工では機械のみならず、加工技術、プログラミング、治具、工具測定などあらゆる要素が必要ですが、特にお客様に提案できる加工技術を持たなくてはいけません。そこで微細加工の加工研究に力を入れていきます。お客様からのテスト加工はもちろん、独自の加工研究で面粗度を上げる方法(加工条件)や超硬など新素材のテスト加工などで技術の蓄積を図っていきます。現在、本社工場のテスト加工現場を刷新中で、二重の恒温室(22℃±0・2℃)を作り上げ、そこに「YMC650」などを設置し、徹底した温度管理の下でテスト加工が行えるようにしていきます。
―今後強化していくことはどんな所ですか。
強化しているのはソフト面です。5軸の芯出しや測定など高精度加工を簡単にする「新OpeNe」というインターフェースやYASDAコネクトというIoTに関連する機能で、温度管理や加工誤差など機械の見える化を図り、お客様に機械能力を100%使ってもらうための機能を充実させていきます。
金型新聞 平成29年(2017年)3月10日号
関連記事
世界一の金型メーカーへ 新本社工場が本格稼働 キヤノンモールドは移転を進めていた「本社・友部事業所」を7月から本格稼働させた。市内に分散していた工場を1か所に集約。自動化や人・モノの移動を減らすなどして、従来比で1.5倍…
自動車のシートなどを手掛ける日本発条は2015年、ササヤマと資本提携した。日本発条にとって技術連携のパートナーであるササヤマはどんな存在なのか。魅力、期待すること、今後取り組みたいことは。シート生産部の岡井広行氏と安田雅…
自動車のウェザーストリップなどゴム金型を手掛けるエムエス製作所(愛知県清須市)は人材育成に力を入れ、『現代の名工』や『あいちの名工』、国家検定資格の1級技能士を多数輩出している。2023年にNC旋盤工で『現代の名工』を受…
魅力ある組織でなければ人は集まってきません。東北金型工業会をより魅力ある団体にするために、会長就任後すぐに、3つの分科会を作りました。若手が中心となって積極的に参加してもらい、勉強会などを通じ、メリットや魅力を感じてもら…




