金型補修用レーザー溶接機などを手掛けるテラスレーザー(静岡市駿河区、054-270-7798)はこのほど、金型補修用レーザー溶接で使うマイクロワイヤのオンラインショップを開設した。同社オリジナル商品など約1000アイテ…
カールツァイス X線CT「METROTOM」
金型修正の時間短縮
X線で樹脂成形品の形状や内部を計測し製品図面との誤差を金型図面にフィードバック。そんな類の無い方法で金型修正の時間短縮を提案する装置メーカーがある。3次元測定機などで世界的に知られるカールツァイス(大阪府吹田市、06・6337・8031)だ。日本ではいまだ馴染みが薄いが、競争力を高める新たな技術として注目されている。
成形品の形状・内部を計測
要求される品質に近づけるため金型の修正に手間が掛かる。そんな悩みを抱える成形品や金型メーカーは少なくない。その大きな理由の一つは試作品の寸法や形状、内部の状態を正確に把握できていないためだ。
カールツァイスが提案するのはX線CT装置「METROTOM」を活用し、そうした金型修正時間を大幅に短縮するというもの。METROTOMの特長は医療検査などで使われるX線を用いること。成形品を360度回転させてX線を当て、あらゆる部位の寸法や形状を測定する。
X線は樹脂などを透過するため、凹凸が連なる複雑な形状や、非接触式3次元測定機でプローブが入り込めない狭い部位の測定もできる。その測定精度は最も小型の「METROTOM800/130kV」で「2・9μm+L/100」だ。
X線を用いることで内部の状態も把握できる。成形品はガスや異物が混じり品質不良になることがあるが、その位置や大きさを的確に確認できる。非鉄金属やガラスなども透過するためインサート成形したアルミ部品との境界面やガラス繊維の配向を調べることも可能だ。
その測定した点群データを製品図面と照合し、凹凸や歪みの誤差を確認。金型図面にも照らし合わせて誤差が無くなるように調整し、その指示をCAMに落とし込むことで金型修正の加工プログラムが完成する。
大きさや形状でばらつきはあるが、手の平サイズの成形品で測定時間は数分、変更が少なければ1時間程度で補正できるという。また発見した内部の気泡や異物は最適な成形条件を導く目安にもできる。
近年、自動車や電機製品の部品は軽量で高強度の特殊な樹脂が使われたり、樹脂と繊維強化プラスチックを一体成形したりする手法が用いられる。アッセンブル成形など独特な成形工法の金型を手掛けるセントラルファインツールの三宅和彦社長はMETROTOMの魅力についてこう話す。
「寸法や形状の計測結果を数値化でき、内部の状態を知るために成形品を切断する必要が無いこと。活用することで金型開発の技術力を高めることができるかもしれない」。
カールツァイスはX線CTによる受託測定もしており最近、利用する企業が増えているという。6月に名古屋で開かれたインターモールド名古屋ではX線CTや受託測定に加え、マルチセンサ測定機や非接触デジタイザなどによる金型修正のトータルソリューションをアピールした。
X線CTや測定機の国内販売を統括する久保田雄志マネージャーは「測定のデジタル技術は進化し続けている。より多くの成形品や金型の技術者に当社の測定技術を活用して貰うことで、日本のものづくりの成長に貢献したい」。
金型新聞 平成30年(2018年)7月4日号
関連記事
車減産の影響も増収増益 フィルタは計画上回る ニチダイの2021年4—12月期連結決算は、売上高が97億4800万円(前年同期比26.1%増)、営業利益が2億8800万円、経常利益が2億9800万円となった。 半導体不足…
前年同月比 0.4%減の345億3,500万円 プレス型は4.4%増、プラ型は6.3%減 日本金型工業会(会長牧野俊清氏)は、経済産業省機械統計(従業員20人以上)による2016年9月の金型生産実績をまとめた。それによる…
多様な活用方法や機器の進化 金属AMによる金型づくりが徐々に広がりを見せており、活用事例が増えている。金属AMの活用は、従来の金型づくりに付加価値をつけ、他社との差別化を図るための手段として有効。今後ギガキャストで、金属…
「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に代表されるように、「百年に一度の変革期」と言われる自動車業界。金型にとってもその影響は大きく、舵取り次第では将来の成長を左右しかねない。特に、金型へのインパ…