金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

16

新聞購読のお申込み

価格の引き上げ急務 業界を挙げた取引環境是正へ【特集:どうする値上げ】

金型の製造コストが上昇している。金型の母材として多く使われる工具鋼や、各種金型部品などが相次いで値上げされたためだ。加えて、工場稼働に必要な電気料金も依然、上昇傾向にある。金型メーカー各社は、取引先への価格の引き上げ交渉などの対応が急務となっている。

金型メーカーは価格交渉が課題に

金型メーカーの経営を圧迫

大同特殊鋼は工具鋼製品を4月契約分から5~15%値上げした。工具鋼を製造するための電炉生産に不可欠な電力などのエネルギーコストが高騰していることや、諸資材のコストが上昇したことなどを価格改定の理由として挙げている。プロテリアル(旧日立金属)も昨年4月に特殊鋼製品の値上げを実施。原材料価格に連動させた価格運用(価格スライド)の適用原材料を増やすなどの対応も行っている。

日刊工業新聞社によると、東京地区の工具鋼の相場は上昇傾向にあるという。5月の市中実勢価格は、炭素工具鋼で前月末比3万5000円高、特殊工具鋼は同2万円高、ダイス鋼は同3万円高と全て値上がりしている状況だ。

こうした材料費の高騰によって、各種金型部品の価格も上昇傾向にある。パンチ工業は昨年10月の注文分からカタログ品の価格を改定し、10~20%ほど値上げした。今年7月にも一部商品の価格を改定する。ミスミは7月3日注文分からパンチやダイ、ピンなどの一部商品を平均8%値上げするとしている。

また、工場の稼働に必要な電力料金の値上げも金型の製造コストに大きな影響を及ぼしている。国内大手電力会社は今年4月から、法人向け高圧・特別高圧の電力料金を相次いで値上げした。各社によって値上げ幅は異なるが、中部電力ミライズは8・6~9・4%ほど引き上げた。

ある金型メーカーでは、撤退が相次ぐ新電力会社から大手電力会社に切り替えたことで、電力料金が昨年比2倍以上に上昇したという。また、精密加工を得意とする別のメーカーでは、工場環境を一定に保つために空調設備を24時間稼働させており、同社の社長は「製造コストに大きく影響している」と話す。

エネルギーや原材料のコストは上昇基調が続いており、今後さらに金型メーカーの経営を圧迫する可能性もある。金型メーカーが適正な利益を確保し、事業を継続させていくためには、製造コスト上昇分を反映させた価格の引き上げなどが不可欠となる。金型メーカー各社の価格交渉力が問われるとともに、取引環境の是正など業界を挙げた取り組みも求められる。

金型新聞 2023年6月10日

関連記事

2023年1月金型生産実績 前年同月比 5.7%増の286億8,400万円

プレス用金型は4.5%増、プラ用金型は10.9%増 2023年1月の金型生産は、前年同月比5.7%増の286億8,400万円、前月比では14.2%の減少となった。数量は前年同月比43.4%増、前月比でも21.1%増の4万…

【特集】ダイカスト金型<br>アルミ使用量増加 構造部品など採用進む

【特集】ダイカスト金型
アルミ使用量増加 構造部品など採用進む

 北米のアルミニウム協会などの調査によると、自動車の1台当たりのアルミ使用量は軽量化のために増えていくという。プレスや押し出しもあり、アルミ=ダイカストと限らないが、アルミの動向はダイカスト型にとって影響は少なくない。で…

【検証】変わる金型基金 新たな船出<br>解散後、新制度に移行

【検証】変わる金型基金 新たな船出
解散後、新制度に移行

 今年11月をめどにいったん解散し、新制度への移行を進める日本金型工業厚生年金基金(上田勝弘会長)。なぜ制度移行なのか。加入者にどんな影響があるのか。基金の存在意義や、制度移行を連載企画で検証する。1回目は年金制度の仕組…

守りから攻めへ<br>ー本紙金型メーカーアンケートー

守りから攻めへ
ー本紙金型メーカーアンケートー

生産性向上や技術開発 守りから攻めの設備投資に転じる金型メーカーが増えている。日本工作機械工業会によると、金型メーカー向けの受注額の4―9月期累計は前年度比で4割超増加した。これまでの買い控えの反動や、補助金や減税などの…

6月の金型生産実績

6月の金型生産実績

前年同月比18.4%増の343億8,900万円 プレス型は17.8%増、プラ型は16.6%増 日本金型工業会(会長牧野俊清氏)は、経済産業省機械統計(従業員20人以上)による2015年6月の金型生産実績をまとめた。それに…

トピックス

関連サイト