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電動化3種の神器に挑む
〜生産現場を訪ねて〜 ニシムラ(愛知県豊田市)
特集 次世代車で変わる駆動部品の金型
(バッテリー、モータ、電子部品)
木下社長 「自動車向けの金型を手掛ける企業は今後、バッテリー、モータ、電子部品、この3部品に携わっていないと生き残れない時代になる」と話すのはプレス金型メーカー・ニシムラの木下学社長。自動車の動力源がガソリンから電気に置き換わることで、金型への要求精度や品質レベルも変化するとみる。
セパレータの精密金型
いずれセルやスタックも

「自動車向けの金型を手掛ける企業は今後、バッテリー、モータ、電子部品、この3部品に携わっていないと生き残れない時代になる」と話すのはプレス金型メーカー・ニシムラの木下学社長。自動車の動力源がガソリンから電気に置き換わることで、金型への要求精度や品質レベルも変化するとみる。
いずれセルやスタックも
ニシムラは30年以上に渡り、エンジンやトランスミッションなどの自動車部品向け精密プレス金型や冷間鍛造金型を手掛けてきた。現在もこうした金型の製造が多くを占める一方、電動化に伴う需要の変化を見越し、早くから燃料電池や電子部品に関連する金型開発に注力している。
その一つが、ニシムラの代名詞とも言える燃料電池用金属セパレータの金型だ。2000年頃から自動車部品メーカーと共同で金型の開発に着手。14年には燃料電池車の市販化によって、過去最高の売上高に達するほど需要が増加した。現在は売上の約3割を占めているという。

金属セパレータ用金型の特長はその加工精度の高さ。水素や酸素ガスを流す流路のデザインが複雑で、髪の毛ほどの細い工具を使用し、公差は3μmという超精密な加工が要求される。同社では精密プレス金型加工で培った高い技術力と最新設備を駆使し、こうした加工を実現している。
近年では精度に加えてスピードも求められている。6~7年前の納期は3~4カ月だったが、現在は2~2・5カ月まで短くなっているという。「自動車メーカーは開発期間中にいかに多くの発電試験をこなせるかが勝負。数多くできれば、それだけノウハウや知見がたまり電池の信頼性も高まる。金型製作にかける期間が短くなるのは必然的な流れ」(木下社長)。

こうした短納期化に対応するためにニシムラでは、加工時間の短縮に取り組む。荒から仕上げ、研磨など10工程ほどで作られる金属セパレータ用金型だが、約8割を切削加工が占めており、この工程をいかに縮めるかが目下の課題だという。入れ子方式で金型を分割して同時並行で加工を進められるように金型設計を見直したり、切削プログラムの改善で加工時間の短縮を図っている。10月には微細加工機をさらに1台追加する予定だ。
また、海外需要の取り込みにも積極的に挑む。型売りを主とする国内とは異なり、海外ではプレス成形まで行い、成形品として納める。昨年11月にはプレス工場を拡張、設備を増強し、量産対応に向けた準備を進めている。金属セパレータは、燃料電池1台に対して数百枚ほど使われており、相当数の受注が見込めるという。
将来的にはセパレータ単体だけではなく、「セル」やそれらを組み合わせた「スタック」まで手掛けることを目指す。そのために社内で溶接などの後工程の技術開発に取り組むほか、そうした技術を持つ企業と協業も進めている。「将来に向けた“仲間づくり”に取り組む」(木下社長)。
この金属セパレータ用金型に加え、4~5年前からはモータを制御するパワーコントロールユニット(PCU)に搭載されるパワー半導体のリードフレームの試作にも取り組み始めている。パワー半導体はEVやPHVなどモータが搭載される自動車には必ず搭載される部品で多くの需要が見込める。ニシムラでは金型からプレス成形まで一貫生産する体制を整え、今年から月に数百万個を量産する予定だという。
同社では現在、これら以外にモータコア用金型の製造に挑戦しているほか、EV用バッテリー関連部品でも参入の可能性を探っている。「自動車向け金型のメーカーとしては、電動化の流れについていかなければ生き残っていくのは難しい」(木下社長)。今後も将来を見据えた金型開発に取り組んでいく。
- 住 所 : 愛知県豊田市広美町北繁91
- 電 話 : 0565-21-1583
- 代表者 : 木下学社長
- 従業員数 : 65人
- 事業内容 : 燃料電池車向け金属セパレータ・高精度金型設計製作、プレス成形など。
金型しんぶん 2019年9月10日
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