三井ハイテック モータ金型技術部 モータ金型組立グループ 特任技師 首藤公徳さん(62) 電気自動車や家電に不可欠なモーター。そのコアは鉄の板を打ち抜き、作られる。精密で複雑な形状のコアはパンチやダイが絶妙なクリアランス…
ユーザーとの距離近づけ 高付加価値化を提案
岡本工作機械製作所 石井常路社長
研削盤メーカーの岡本工作機械製作所(群馬県安中市、027-385-5800)は今年5月、新たに3カ年の中期経営計画を発表した。新中期経営計画の達成に向けた基本戦略の一つとして「顧客付加価値強化」を挙げる。「今まで以上に顧客との距離を近づけ、付加価値の高い提案で困りごとを解決していきたい」と話す石井常路社長に今後の方向性や金型業界に対する考えなどを聞いた。
サービス体制の充実図る
1956年生まれ、神奈川県出身。79年成蹊大学経済学部卒業後、岡本工作機械製作所入社。2003年オカモト・タイ社長、05年オカモト・タイ及びオカモト・シンガポール社長、14年岡本工作機械製作所社長、現在に至る。

基本戦略で掲げる「顧客付加価値強化」とは。
近年、機械メーカーには機械単体でなく、システム全体での提案が求められている。最終工程を担う研削盤では以前からこういった傾向が強く、「このワークをこの精度、この時間で加工したい」という要望からシステム全体を取りまとめることが多かった。最近はさらにこうした案件が増えている。そうした中、「BtoBからBwithBへ」というスローガンを掲げ、顧客の視点からあらゆる取り組みを見直し、高い付加価値を提供していきたい。
具体的にどんなことに取り組むか。
顧客の困りごとを解決できる提案に注力していく。最近はIoTや機上測定、ロボットといった技術によって、機械の稼働状態が監視できたり、自動で1μmの加工を追い込めたりと今までにない新しい提案が可能になっている。顧客の困りごとを聞き出し、人手不足の解消や生産性の向上といった課題に対して、適格に対応できる体制をつくっていく。
そのためには。
こうした提案営業を展開していくためには、サービス体制の充実が欠かせない。そこでアフターサービスの強化に取り組む。まずは今まで製造部門の中にあったサポート部隊を独立させ、「カスタマーサービス本部」として立ち上げた。また、パーツセンターを充実させ、アフターパーツの即納体制を確立していく。付加価値の高い機械やシステムを販売するだけでなく、サービス面でも高付加価値化を追求し、顧客満足につなげていく。
海外展開はどうか。
「グローバル戦線拡充」も基本戦略の一つに掲げている。現状の海外比率は約4割。今後さらに引き上げたいと考えている。国や地域ごとに適した機種の販売強化に加え、今まで日本のみだった超高精度機種などを海外でも展開していく。
「ものづくり改革」も進める。特に技能伝承に取り組む。デジタル化を進めたり、熟練者の作業をビデオで撮影し技能教育に活用したり技能者の育成に注力する。将来的にはどこで作っても同じ品質の機械を提供できるようにしたい。
今後の金型業界をどうみるか。
自動車の電動化や次世代通信規格「5G」などによって電子部品や半導体部品などの精密部品の需要が増えるとみている。そうなると金型には、繰り返し同じ部品を量産する強みを活かし、「より多くの部品」「より小さく」「より細かく」といったことが求められるはずだ。精密加工の領域で研削加工が貢献できる範囲は広い。金型メーカーと一緒になって取り組み、金型づくりをさらに発展させていきたい。
金型しんぶん 2019年12月10日
関連記事
マイクロヴェルトは4月にもレーザー式の回転工具外径測定機「マイクロヴェルトナノ9」を発売する。設置環境や技術者のスキルを問わず、極めて短い時間で高精度に測定できる。 工具を独自のVブロックにセット。ボタンを押すと工具が回…
100年に一度の変革期 どうする金型づくり エンジン、トランスミッション、カムシャフト、最近では電池やモータなど、自動車を動かすほぼ全ての内蔵部品の金型を手掛けるトヨタ自動車のパワートレーン工機部。豊田章男社長が「自動…
金型のレーザー肉盛り溶接を手掛けるキューシボは、出力1200ワットのファイバーレーザー溶接機を導入した。金型に加え、産業用タービン(ロータ)などの肉盛り溶接も始める考えだ。 導入したのは独アルファレーザー社の「ALFla…
大型機組立工場新設の理由 牧野フライス製作所は昨年末、山梨県富士吉田市に大型加工機の組み立て工場を新設すると発表した。12年ぶりの新工場で、総額210億円を投資し、大型加工向けを強化する。2026年初めに本格稼働する予定…