高付加価値の型を求めて 金型の国内回帰を実感している金型メーカーが増加している。日本金型工業会のアンケートによると、昨年10―12月期に「海外から戻ってきた金型を作った、もしくは作ったことがある」と回答した企業が、4―…
金型取引適正化へ
経産省が報告書
分割支払いや契約書面化
金型取引の適正化に向けた動きが本格化してきた。昨年12月に経済産業省がまとめた報告書で、発注時点での分割支払いについて言及したほか、契約内容の書面化徹底を促すなど金型取引の改善に向け、原則を示した。日本金型工業会(小出悟会長)も11月の理事会で、前金支払いなどの取引適正化や、知財戦略を重点項目とすることで一致。長年の取引慣習を変えるには課題もあり、今回の報告書には法的拘束力はないが、官民挙げて金型の取引環境改善への機運が高まっている。
工業会が3つの重点テーマ
適正化に取り組むユーザー表彰
「金型を納品しても製品の検収が上がるまでは代金を支払ってもらえない」—。金型業界ではこうした取引が未だに存在し、資金繰りに悩む金型メーカーも多く、取引環境の是正は長年の課題だった。このような取引を改善すべく、経産省は17年に型管理に関するアクションプランを策定。さらに、昨年8月には金型をはじめ素形材や自動車や電機業界が集まり「型取引の適正化推進協議会」を発足させ、12月には報告書をまとめた。

そこでは、型取引について①取引条件のあいまいさ②受注企業による資金繰りの負担③適正対価を支払わない型保管④型の廃棄や保管費用の目安⑤型のノウハウ流出—の5つの課題を指摘した。
報告書ではこれらの課題に対し、契約事項の書面化の徹底や支払期日の設定、知財やノウハウの保護などの基本的な考え方を示した。なかでも、型取引については、覚書の参考例として、発注日や納品日に代金を分割して支払うことも初めて提示。型保管についても、自動車業界では量産終了後15年、電機電子業界は同3年をめどに協議を行うなども目安を示した。
日本金型工業会でも8月に金型取引改善分科会を設置。そこでの議論も踏まえ、11月の理事会で、「金型代金支払い制度の改善」、「金型図面などの知的財産保護」に加え、積極的に取引適正化に取り組むユーザーを表彰する「模範的金型発注企業表彰制度」の3つを重点テーマとすることも決定した。同工業会の中里栄専務理事は「改善が必要な取引は他にもあるが、まずこの3つに絞り働きかけていきたい」という。
とはいえ、現場では様々なケースもあるようだ。ある樹脂型メーカーは「すでに前受金を頂いているユーザーもある。納入責任もあるので仕方がないが、逆に検収まで長引き、最後の残金を頂くまで時間が掛かることもある」と話す。
こうした状況や取引適正化の進捗を確認するため、経産省は協議会を常設化する。さらに、型取引に関して、下請振興法の振興基準改正に向けパブリックコメントの募集も始めている。日本金型工業会の小出会長は「(今回の動きに)法的な拘束力はないが、金型取引適正化に向けて大きな一歩だと思う。金型業界だけでなく、素形材業界全体で、取引の適正化が一般化するように継続的に働きかけていきたい」と話しており、長年の課題解決に向けた機運は高まっている。
金型しんぶん 2020年1月10日
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