2019年2月16日(土)

本紙アンケート×統計データで読み解く金型の現況
金型メーカー業績回復

需要戻り、社数減少

 金型業界に激震が走ったリーマン・ショック(2008年)から約8年半経ち、金型メーカーの業績が回復している。自動車や半導体向けの需要が回復した一方で社数が減り、勝ち残った会社に仕事が集まっている。ただ、これからも恵まれた受注環境が続くかは不透明で、競争力を高める新たな事業に取り組んでいる。本紙金型アンケートはこちら

勝ち残り組に仕事

日本の金型の生産額と事業所数の直近30年の推移
日本の金型の生産額と事業所数の直近30年の推移
日本の金型メーカー1社あたりの生産額・直近30年の推移
日本の金型メーカー1社あたりの生産額・直近30年の推移
※30年間で①2008年が最高、②2006年が2番目、③2014年が3番目に多かった

 国内有数の金型産業集積地、東大阪。ある自動車部品のプレス金型メーカーは工作機械をフル稼働させて金型を加工する。自動車部品メーカーからの受注がたっぷりとあり、3カ月先まで生産計画が埋まっているという。

 リーマン・ショックの翌年(09年)、売上高が20%近く落ちた。仕事量が戻らず「不況がいつまで続くか不安になった」(社長)。しかし取引先からの注文が徐々に増えはじめ、売上高は12年にリーマン前の水準に、14年には過去最高となった。

 工業統計(4人以上の企業を対象に調査:経済産業省)によると、日本の金型生産は09年、30%減少(1兆1590億円)。その翌年には1兆873億円にまで落ち込んだ。

 しかしその後は、自動車や半導体向けの需要が回復し、また海外流出した金型の国内回帰などを背景に金型の需要が大きく回復。14年にはリーマン前の80%の水準に戻った(1兆3424億円)。

 その一方で不況が続いたこの間に、金型メーカーの自主廃業や倒産が相次いだ。08年に9741社あった国内の企業数は14年には7820社と1921社が減少した。

 金型の需要回復に対し企業数が減り、1社あたりの仕事の量は急激に増えた。09年と14年の1社あたりの生産量を比べると、09年の1.19億円に対し14年は1.71億円。この30年間で最大の08年(1.74億円)と2番目の06年(1.72億円)に次ぐ。

 工業統計の直近のデータが14年のため単純に比較することはできないが、機械統計(30人以上の企業を対象に調査:経済産業省)の生産額が示す14~16年の推移を見ると今なお好調なことがうかがえる。

 とはいえ金型メーカーの多くは今後も受注が増えていくとは見ていない。本紙がこのほど実施したアンケートでは今後の受注予想について「増加する」と答えたのは全回答者の35%。一方、「現状維持」(50.9%)と「減少する」(13.2%)が60%を超えた。

競争力強化へ新たな取組み

 自動車の鍛造部品の金型を手掛けるメーカーは一昨年、本社工場に金型の研究施設を3億円かけて新設した。導入した大型プレス機は特殊な加工ができる機能があり、自動車部品メーカーと新製品の金型開発に特化するという。

 このプレス機は試作専用で直接お金を生むものではない。しかし「軽量化や新素材の部品開発に挑む取引先になくてはならない存在になり他者と差別化することで需要を開拓していきたい」(技術部長)。

金型新聞 平成29年(2017年)6月2日号

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