逆境乗り越え、攻め 需要の国内回帰広がる 厳しい経営環境が続いてきた日本の金型業界。 しかし、 ここに来て円安によるユーザーの国内回帰や、一部で需給バランスが改善するなど、好転の兆しも見え始めた。 過酷な時期を乗り越え…
新産業ビジョン推進
日本金型工業会第5回定時総会
金型マスター認定制度開始
日本金型工業会(牧野俊清会長・長津製作所会長)は6月2日、ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋(名古屋市中区)で第5回定時総会を開催する。2014年に策定した「新金型産業ビジョン」をベースに、各種事業や予算について議論する。今年は設立60周年を迎え、「金型マスター認定制度」など記念事業も企画している。官・学との共同事業や、世界の金型業界との交流などについて意見を交換するほか、ユーザー業界の最新情報なども発信する。
今年60周年を迎えた日本金型工業会。記念事業の一環として正会員を対象とした「金型マスター認定制度」をスタートさせた。同制度は金型製造で10年以上の経験を持ち工場長やそれに準ずる能力を有する人、あるいは経営者としての後継者・候補者を対象に「金型アカデミー」を開催し、受講者を「金型マスター」として認定するもの。第一回の今年は70人超がアカデミーを受講することが決まっており、10月には認定式典が開かれる予定だ。
世界で戦う日本の金型メーカー、ひいては「日本の金型」の真価をよりわかりやすく見える化し、日本の金型競争力を高めていくことが狙いだ。
こうした取り組み以外でも「新金型産業ビジョン」の3つのキーワード「①営業力、②海外展開、③金型技術を活かした周辺分野への事業展開」に基づき、様々な事業展開が議論される予定だ。
工業会の主要な事業の一つがインターモールド。今年4月に東京ビッグサイトで開かれた「インターモールド・金型展」では76社の金型メーカーが金型展に出展し、自社技術をアピール。効率的な営業活動の一つとして有効に活用した。「予想以上に引き合いが多かった」、「金型ユーザーから具体的な見積依頼を得られた」、「新しいチャレンジ項目が見つかった」など、確かな手応えがあったようだ。来年4月の大阪開催に向けて、既に準備が始まっている。
世界金型協会(ISTMA)やアジア金型工業会協議会(FADMA)との交流も積極的に行う。このほか、人材育成や技術、経営労務に関するセミナー、工場見学会、金型シンポジウムなど定着している事業も実施する。
総会後は、経済産業省産業技術環境局産業技術政策課長・渡邉政嘉氏による「第四次産業革命と人工知能技術戦略」と題した講演会も予定されている。
日 時:6月2日㈮14:00~19:00
(総 会)14:00~15:30
(講演会)15:30~16:30
(懇親会)17:00~19:00
会 場:ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋
(総会・講演会)
「ザ・グランコート(7階)(懇親会)」
「クリスタルルーム(28階)」
講演会:「第四次産業革命と人工知能技術戦略」
経済産業省 産業技術政策課長 博士(工学)渡邉 政嘉 氏
開催に向けて
日本金型工業会 牧野 俊清 会長
価格決定方法改善へ 地位向上へ道すじ
正会員ならびに賛助会員の皆様には御多用中にもかかわらず多数の御出席を賜り厚く御礼申し上げます。平素より当工業会の運営と活動に多大な御協力をいただき重ねて御礼を申し述べます。本日は日本金型工業会が一般社団法人に移行後第5回目の定時総会、創立以来だと第60回総会となります。すなわち今年は創立60周年を迎える年であることから60周年記念式典を開催するとともに記念事業として「日本の金型」の国際ブランド化の一環としての金型マスター認定制度をスタート致します。
さて日本の金型業界は経済産業省が実施している生産動態統計によると、直近発表の平成28年の金型生産額が約3970億円、リーマンショックの発生した前年の平成19年の4800億円と比べると83%まで回復してきております。また、前年の平成27年の3840億円と比較しても約3.4%増加であったように、金型業界はリーマンショックの落ち込みからの長い低迷が続いた平成21年後半から微増ですが増加基調をしめしております。
その要因として金型業界需要先60%以上を占める自動車部品(日本金型工業会調べ)を中心に金型需要が順調できたことなどが考えられるとともに、ここ近年における需要業界の品質重視並びに金型価格のトータルコスト思考による国内回帰の動きも注目しなければなりません。
団体としては取引改善として需要業界に対して、下請法に関する課題の中で金型メーカーが重要と考える価格決定方法の改善・適正化、企業努力の適正評価、知的財産としての金型図面・ノウハウの流出問題、支払条件の改善などについて(日本金型工業会調査)ご理解頂くための活動も重要な事業として位置付けています。
今年は東京ビッグサイトで開催された「インターモールド2017・金型展2017」において正会員企業が76社出展と過去最高となり日本の金型技術を国内外に十二分にPRすることが出来ました。これも賛助会員皆様がインターモールドにご出展下さるご協力があっての展示会でございますので、この場を借りて感謝申し上げますとともに引き続きご出展頂く応援をよろしくお願い申し上げます。
当工業会も本日の定時総会で平成29年度事業としてご提案申し上げる委員会事業としての全国事業と地域事業としての支部事業にて会員企業をサポートしていきます。
さらに世界のものづくりは、グローバルで大競争の時代に入っています。新時代のものづくりにかかせない金型産業のため、日本金型工業会への更なる御支援、御協力をお願い申し上げます。
金型新聞 平成29年(2017年)6月2日号
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