金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

30

新聞購読のお申込み

-混沌の時代を切り拓く- 金型メーカーの連携

金型広がる協力の輪

 金型メーカー同士や異業種、加工技術などを軸とした様々な形での連携や協業の重要性が高まっている。ユーザーの海外展開に伴うサポートや需要開拓、技術の複合化や高度化などによって、金型メーカー単独では顧客の要望に応えきれないことが増えているためだ。こうした要望に応えるため、金型メーカー同士で連携したり、異業種でネットワークを構築したり、業界団体を立ち上げたりするなど、様々な形で連携が進んでいる。

海外対応や技術の高度化
タッグ組み対応の幅広げる

埼玉県の金型メーカーなど異業種5社でつくるチーム入間のメンバー。今年で発足から11年目を迎えた

 共同受注などの連携や協業はこれまでもあったが、その重要性が増している。人や設備など経営資本に限りのある金型メーカー単独では、対応しづらいことが増えていることが背景にある。

 その一つが加速する市場のグローバル化だ。昨年の日系自動車メーカー8社の世界生産台数は2755万台。そのうち海外が1834万台なのだから、海外での金型需要はもとより、補修などの対応も増えるのは当然だ。

 18年に業務提携した、プラスチック金型の伊勢金型工業と名古屋精密金型、ゴム型のエムエス製作所の3社もこの動きに対応する。相互の海外拠点を活用し、保守・メンテナンスで協力。グローバル化が進む顧客対応を最小投資で支援する。

 海外の需要開拓も単独では難しい。企業間の連携ではないが、18年に発足した、金型メーカーも参画する「微細加工工業会」は、2月にアメリカで開かれる医療系の展示会に共同出展し、海外での需要開拓を目指す。

 マルチマテリアル化に代表される技術の複合化や高度化への対応でも連携が重要になっている。アルミや樹脂、ハイテン材など複合的な知見が必要になることが多いからだ。ある鉄鋼メーカーの技術者は「どんなに優れた材料でも『使える』形にして初めて採用となる。他の材料や、接合、加工技術など、他分野の知見がより必要になっている」とし、加工メーカーと協業しているという。連携ではないが、三井化学による共和工業やアークのグループ化、東洋鋼鈑による富士テクニカ宮津の子会社化なども、素材から加工までといったこうした流れを反映しているのだろう。

 樹脂や金属など複数の発注先をまとめたいという動きも増えている。管理コスト低減や品質の安定につながるからだ。

 10年以上埼玉県の入間市周辺の加工受託集団「チーム入間」はまさにこの要求に対応する。プレス、プラスチック、ダイカストなどそれぞれ強みを持つ5社で、試作から量産を一括で請け負う提案をする。20年近い協業の歴史を持つ「京都試作ネット」も機械、金属、樹脂、ゴムなどの試作加工に特化したサービスを提供する。

 日本金型工業会の学術顧問の横田悦二郎氏「金型は設備や人が制約条件になってしまうことが多い。日本の金型業界を一つの金型メーカーと捉えれば設備も人もそろっていてもっと色んな事ことができるはずだ」と連携の重要性を話している。

金型新聞 2020年2月10日

関連記事

試作回数を半分に削減 大阪銘板【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

自社商品の生産性アップ 大阪銘板は自動車などのプラスチック内外装製品などを中心に金型から成形、二次加工までを手掛ける。グループ全体で4つの生産拠点を持ち、型締め力100~2000tクラスのプラスチック製品を生産している。…

フジイ金型が「6稼4勤」制度を導入したワケ

6稼4勤のシフト制勤務 「正規の労働時間を減らしたことで多能工化が進み、効率性が高まったことでコストの削減にもつながっている」と話すのはフジイ金型の藤井寛達社長。同社は月~金という従来の働き方をやめ、6稼4勤のシフト制を…

J‐MAX 山﨑英次社長に聞く 電動化サプライヤーへの道【特集:プレス加工の未来】

自動車の電動化(EV化)に伴い、ものづくりも大きな変革期を迎えている。従来のエンジン車には搭載されなかった電動化部品の需要が高まり、新規需要の取り込みが部品メーカー各社の大きな課題となっている。その中、ハイテン材加工の車…

スワニー 耐久性高い金型、協業で製造【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

5万個の部品生産可能に 製品設計会社のスワニーは、樹脂型を3Dプリンターで製造し、量産材料で射出成形が可能な「デジタルモールド」を手掛ける。同社はこれに加え、金属3Dプリンターで製造する金型「アディティブモールド」を岡谷…

【特集】最新技術の使いこなし術

工作機械や工具、ソフトウェアなど金型づくりを支えるツールの進歩はすさまじい。こうしたツールの進化によって、加工精度は飛躍的に向上した。加工速度や微細化、自動化、計測技術なども数年前とは比較にならないほど性能や機能が進化し…

トピックス

関連サイト