金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

27

新聞購読のお申込み

金型メーカー座談会 若手経営者が語る
ー業界の魅力高めるためには 第三部ー

人材育成の要諦

デジタルとアナログを融合

金型メーカー座談会 若手経営者が語るー業界の魅力高めるためには 第二部ー

最終回となる今回のテーマは「連携」と「人材育成」。戦略云々よりも、経営者同士の感性や考え方が合った連携のほうがうまくいくようだ。人材育成では、デジタル世代の活用はもとより、アナログ人材の活かし方が差別化になると指摘。最終的には、人材育成は「愛がすべて」との意見で一致した。

座談会出席者(50音順)

▪︎連携、M&Aの考え方

司会 みなさん上手に連携されています。上手く進めるコツは何でしょうか。

小泉 好きな者同士で組んでいるだけですよ。連携しないと駄目とかではなく、気が合う者同士がお互いに仕事を分け合ったら、うまくいったというだけ。良いパートナーを見つければうまく行くけど、そうでな
ければ決裂してしまうだけだと思います。

宮城島氏 相性の良し悪しが連携のコツ

司会 何かがしたくてパートナーを探すのか、この人と決めたパートナーと何ができるのかを探すのと、どちらのケースが多いのでしょうか。

小泉 中小企業って好きか嫌いかだと思います。オーナー同士で気が合って、目指す方向性が合えば組むだろうし、合わなければそれまでというだけですね。

宮城島 テーマがあって相手を見つけるか、知り合ってからテーマを見つけるかで言うと、後者のお互い気が合ってからの方が上手くいくことが多いと思います。

司会 連携に限らず、踏み込んだM&Aなども増えていくでしょうか。

平林 お互いの価値観が合えばM&Aもあるだろうし、合わずに一匹狼でやるというケースもあると思います。お互いの意識を共有してできるかどうかだと思いますね。

▪︎人づくりについて

千葉氏 アナログの人はそのままで

司会 アナログとデジタルの過渡期にあるというお話も出ましたが、結局は重要なのは人の育成だと思います。

千葉 最近アナログの人間をデジタルにしようとしたら、辞めてしまったんです。年齢もあるので、アナログの人はそのままでいいと思います。

小泉 アナログの人は必ず必要です。ただ、今そういう人が少ないから困っているわけです。「インダストリー4・0」や「IoT」など、工場のデジタル化が進んでいますが、材料を真四角に削ったり、まっすぐに穴を開けたり基本的な技術がしっかりしていないと安定したものづくりはできないですからね。

平林氏 ベテラン活かし人材教育

平林 当社の大きな課題は、若手中心の方針でやってきたことで、若手は伸びてきているのですが、一方で中堅が一歩下がろうとする雰囲気になってしまっていることです。もっと豊富な経験やノウハウを活かして活躍して欲しいのですが。

小泉氏 ベテランからもヒーローを

小泉 若手中心にやってしまうとどうして年長者に僻みが生まれてしまいますよね。年配の従業員からもヒーローを作れば、モチベーション維持につながるはずです。そうすればみんなが良い雰囲気で仕事ができると思います。若手も自分たちが年を重ねたときに同じ扱いになるんじゃないかと感じるようになりかねないですから。

平林 そういう反省点があって、年配社員が活躍できるような企画をやっています。

司会 企画とは?

平林 年配の人にアナログ的なことを若手社員に教えてもらうために講師になってもらって、人材育成を進めています。デジタルの人はCAEなどを使って結果を出そうとしますが、それが全てではない。全てコンピュータでできてしまったら、みんな同じことができてしまいますよね。アナログの人は、自分たちの手を使って何度も試作を繰り返してきてスキルや経験を積み重ねています。失敗をしてもそれをどんどん積み重ねた先に匠の世界がある。これはいつまでもデジタル化できないと思います。そういう面を会社で研究開発費用として負担して、チャレンジできるような環境を提供しています。

小泉 結局、最後は「愛」ですよ。社員に対して、ちゃんと人として扱うことができるかが大事です。

千葉 当社も会社のあいさつの「あい」の漢字を愛情の「愛」にしていますよ。やっぱりそこが一番大事です。

平林 当社も先代の頃から、「社員は家族」というのが基盤にありますが、そこは自分の代になっても変えてない部分です。会社の方向性やビジョンは変えましたが、社員が家族という言葉だけは曲げてない。会社の文化や風土として、そういうのがちゃんと感じられるようにやっています。

司会 人や金型づくりは「愛」や「情熱」が一番大切なんですね。本日は長い時間どうもありがとうございました。

金型新聞 平成28年(2016年)3月10日号

関連記事

太陽光発電導入し、CO²排出量を削減 J-MAXが取り組むCNに向けた取り組み

脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…

試作回数を半分に削減 大阪銘板【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

自社商品の生産性アップ 大阪銘板は自動車などのプラスチック内外装製品などを中心に金型から成形、二次加工までを手掛ける。グループ全体で4つの生産拠点を持ち、型締め力100~2000tクラスのプラスチック製品を生産している。…

工場長に求める条件とは?! 金型メーカー経営者にアンケート【特集:工場長の条件】

チームで業務遂行する力 金型づくりが高度化し、先が読みづらい時代。だからこそ、工場長の役割がより重要になり、また求められることも変化しているのではないか。そう考え、本紙では「経営者が今の工場長に求める条件は何か」を探るた…

金型経営者アンケート 次の10年を勝ち残るために取り組むこととは?【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

自動車の電動化などによる金型需要の変化、少子高齢化による人手不足、アディティブ・マニファクチャリング(AM=付加製造)を始めとした新たな製造技術や技術革新―。金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型…

中辻金型工業 切削工具を自社開発

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

関連サイト