金属3Dプリンタで造形した金型部品のトラブルを分析・解決する「診断士」のような業務を担当する。珍しいトラブルほどテンションが上がるそうで、「難しい問題を解明できた時の達成感が何よりも気持ちがいい」。 大学では金属材料を研…
~ひと~
武林製作所 技術部 山中 慎也さん(39)
指先でミクロンとらえる磨きの達人
指先はミクロンの誤差をとらえる。神経を研ぎ澄まし、砥石に力を加え、鏡面に仕上げていく。その技能で「なにわの名工若葉賞」にも選ばれた。金型磨きの達人だ。
整備士として勤めていた車の販売会社が廃業し、歯ブラシの金型メーカー武林製作所に。金型の知識は無かった。が、誰にでもできることのない技能を身につけたかった。
それを具現化するものがあった。当時の工場長、山口勝彦さんが担当していた「磨き」だった。
歯ブラシはグリップの表面の滑らかさが品質に影響する。小さなバリは口を傷つけかねない。そのため金型の成形面は鏡面、合わせ面の誤差は限りなくゼロに。それを手の感覚で磨いていく。
「匠の技に魅せられ、ハマった」。機械担当なのに、帰宅後こっそり金属片を磨いた。磨きは金型の材質や砥石、指の力、角度など様々な要素が影響する。磨き担当になり研究の熱はさらに増した。
「必要な素養は果て無き探究心と、あきらめない根性」。そんな姿勢で磨き続けて十数年。砥石をつかむ手の指紋は無くなった。
ここ数年、金型と並行して取り組むのがカトラリーレストなど自社ブランドの磨き。より短い時間で綺麗に仕上げる。じっくり磨く金型とは正反対。けれど、「課題が難しいからやりがいがある。『答え』を見つけるために日々、挑んでいます」。
金型新聞 2020年4月10日
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