黒田精工(川崎市幸区、044・555・3800)は今年、創業100周年を迎えた。ゲージ製造から始まり、金型、研削盤、ボールねじへと事業を展開してきた同社。金型は戦後間もない1946年から製造を開始し、今に至る。近年は電動…
静岡理工科大学 理工学部機械工学科 教授
後藤 昭弘氏 〜鳥瞰蟻瞰〜

大学を上手く活用し、技術開発につなげる場に強み見つけ、競争力を強化
金型は集積技術です。機械加工や表面処理、材料、最近ではITなど、色々な技術が上手く組み合わさることによって、はじめて良い金型が出来上がる。大学では、金型メーカーよりも優れた金型を作ることはできませんが、それぞれの技術分野に長けた専門家や、一企業では保有するのが難しい分析機器などの高度な
設備が揃っており、金型メーカーだけではできない技術開発や課題解決を行うことができます。
金型メーカーにはもっと大学を上手く活用してほしい。そう考えて、2019年2月に「金型技術研究会」を設立しました。機械加工や材料、AIやITなど金型に関連する技術研究に取り組む当大学の教授10人ほどが中心となって立ち上げ、講演会や見学会などの活動を通じて大学と企業や会員企業同士の交流を深めています。
設立当初の会員数は、金型や部品加工メーカーなど30社ほどでしたが、現在は約60社と倍増しています。新型コロナウイルスの感染拡大によって、当初計画していた通りの活動はできていませんが、それなりに成果も出始めています。
特に「大学と企業(金型メーカー)」というつながりが出来つつあります。研究開発では、すでにスタートしている案件も含めて5~6件ほどのテーマが動き始めています。また、ちょっとした困りごとの相談も数件ですが、依頼が来ています。例えば、「クラックの原因を調べてほしい」とか、「壊れやすい金型の寿命を伸ばすにはどうしたら良いか」とか。
「大学に相談するのはハードルが高い」と思う金型メーカーの方も多いかもしれませんが、そんなことはありません。どんどん相談したり、利用してください。企業にとっては課題解決や技術開発につながりますし、大学にとっても新たな研究テーマの発見につながる。お互いにとってメリットは大きいはずです。
金型メーカーを取り巻く環境は大きく変化しており、今後さらに厳しさが増すことも考えられます。そうした中でも競争力を維持していけるのは、どういう会社か。これまでに多くの金型メーカーと接してきて感じるのは、開発でも営業活動でも貪欲に取り組みを進めている会社は強いということです。“コロナ禍”でも5~6社訪問しましたが、元気な会社は今このタイミングでも何かしら新しいことに挑戦しています。
他社には真似できない技術だとか、他社よりも早く安く作れる技術だとか。これから生き残るには、何か強みになるものを見つけることが重要です。ただ、それには個社の努力だけでは限界もある。そこで大学です。大学にある設備や人材を使うのも良いし、大学をハブとして金型メーカー同士が結び付き、共通のテーマを見つけて開発に取り組むのでも良い。こうした場を提供することが、大学の役割でもあり、私の望むところでもあります。
金型新聞 2020年12月10日
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