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精密、高精度 ニーズに応える型材・部品特集

 超精密、高精度、短納期、長寿命化—。こうした高度化する金型へのニーズに対応するには、あらゆる加工技術や素材技術が必要だ。中でも、鏡面性が得られるのか、離型性が高いのか、長寿命化が図れるのかなど、金型の本質的な機能に直結する金型材の選択は重要だ。本特集では、こうした金型材料や金型部品の最新機種を記事と動画や図解(リンク参照)などを交えて紹介する。

鋳抜きピンでの採用増加
アッサブジャパン「DIEVAR」「W360」

高い靭性、焼入れ性

 アッサブジャパン(旧ボーラー・ウッデホルム)の「DIEVAR」、「W360」は、特殊溶解(ESR)された高品位な熱間工具鋼。前者は靭性、焼入れ性に優れ、主に大型ダイカスト金型に適している。後者は熱間強度に優れ、熱間鍛造型のほか、近年では鋳抜きピンへの適用も増えている。

 鋳抜きピンの破損が原因で、金型の交換作業を余儀なくされることも少なくない。このため鋳抜きピンの長寿命化は生産性の向上につながる。その破損要因は、折損、溶損、焼付きなど様々なので、状況に応じて最適な型材を適正な表面処理との組み合わせで使うことが寿命向上には不可欠だ。

 「DIEVAR」、「W360」は従来の熱間の加工用途だけにとどまらず、鋳抜きピンやホットスタンピング金型などにも適用範囲を広げている。

刻印表示を簡単に変更
浦谷商事「スイッチマーク」

ロゴ、数字、QRも

 浦谷商事の「スイッチマーク」はPL面から刻印表示の変更が可能な金型部品。

 プラスチック成形品の刻印表示はトレーサビリティに必須で、具体的な用途としては型番、製造年月日、樹脂の色、材質表記などがある。昨今の再生材の普及やトレーサビリティの強化の影響で、刻印表示を頻繁に取り替えることが増えている。これまでコアピンなどを用いて変更していたが、変更時に金型を成形機から外す必要があり、手間がかかっていた。

 スイッチマークは特殊な機構を採用したことで、専用のマグネットを用いれば、PL面から刻印表示を変更できる。交換可能な刻印はロゴ、数字、英語など様々な表示に対応しており、QRコードも可能。コアピンの先端に入れるなど様々な用途の展開を進める。

一品一様を短納期で
オネストン「プレス用金型部品」

新工場が今秋に稼働

 オネストンは商社機能と低コストかつ短納期で特注品受注に応える「一個づくり」で「お客様に迅速に良品をお届けする」ことに徹してきた。「一個づくり」は、午前中に図面を受け取り、早ければ翌日、表面処理が加わっても10日後には納品。特殊部品加工のリードタイム短縮にも役立つことが人気の秘密だ。

 図面なしでプレス金型部品を復元するリバースエンジニアリング事業も強化する。製品再現精度は+-0・05㎜を目指し、納期は最短で2週間。さらに、米国・ケンタッキーに工場を併設し、小牧工場と同等設備を導入。米国での納期対応を迅速にし、日米2極体制で対応する。

 2020年11月に愛知県豊田市で新工場が稼働。コモンプレートなど大物金型部品の加工ができる設備を導入して受注体制をさらに強化していく。

抜群の開発力・技術力
シルバーロイ「超硬合金など材種開発」

新しいをカタチに

 各種超硬合金やサーメット、セラミック、ヘビーメタルなど100種を超える材種の開発、製造を手掛ける。

 超高温真空焼結炉(1800℃)等の導入による柔軟な新素材開発力と多品種少量高品質生産により、製品品質(高性能・安定性・均一性)はもちろん、必要とする性能や品質に的確に応える開発力・技術力は他を圧倒。一般的な超硬合金と比べ金型寿命が2~10倍になった事例も続々。ワンデイサービスとして午前10時半迄に注文すれば、角形状の超硬合金素材は当日発送、 それ以降受注分と丸形状合金は翌日発送が可能。

 超硬合金に微細な孔開け加工や、ネジ付きの超硬素材(直タップ・直ネジ)の開発、研磨取代の最小化など、加工効率化を実現する画期的な超硬合金製造など高度な技術も有している。

高精度に迅速金型交換
大同DMソリューション「スターEDSシステム」

上下位置精度15㎛

 大同DMソリューションの迅速金型交換システム「スターEDS」は、精密金型にも使える高精度と、誰が段取りしても同一の位置決め精度が得られる。

 これまでのダイ迅速交換システム「QDC」は、段取り時間短縮に効果的だった。しかし構造上、位置決め精度に限界があり、精密金型では不向きとされる欠点があった。

  スターEDSではQDC特有のロケピンによる型合わせを下型ホルダ部分のみ入れ子方式で独立。上型の位置精度に対し、下型を微調整することで、約50~100μmだった上下位置精度が15μmまで抑制できるという。

 0.3㎜以下の極小クリアランス抜型や高精度金型のほか、専用のベースプレートで、単発型はもちろん、大型や多工程ダイセットでも金型の着脱が容易になる。

省スペース、ピッチ短縮
南武「多連シリンダ」

掘り込み少なく剛性保持

 南武が提案する「多連シリンダ」は、複数のシリンダをひとつのシリンダボディに内蔵する金型向けの特殊なシリンダだ。

 ロッド間のピッチの短縮が必要な場合や、シリンダの外形サイズなどの制約条件で、2個以上のシリンダを並べて設置することが不可能な場合に適している。単に複数のシリンダを内蔵しただけなく、スイッチやセンサの有無、油圧配管を独立して各ロッドの動作タイミングを変更するなど、多種多様な用途に応じた設計が可能。

 そのコンパクト性によるスペース低減により、金型の掘り込み量も抑えることができるので、金型の剛性保持にも役立つ。また、最多で8連までの納入実績がある。同社では「多くの蓄積したノウハウがあるので、様々なニーズに対応したい」としている。

振動でスクラップを搬送
パンチ工業「スクラップリムーバー」

不均一なワーク、傾斜なくても

 「スクラップリムーバー」は、振動によってスクラップ(製品の切り抜きなど)を搬送する部品。エア駆動のため、ベルトコンベアのようなAC電源が不要で、ベルト破断の心配が無い。本体サイズは175㎜×125㎜×27㎜とコンパクトで、狭い場所でも使用可能。

 圧縮空気(0.3MPa~0.6MPa)で動作し、最大可搬重量は50㎏。スクラップの形状を選ばず、不均一なワークでも安定して搬送できる。様々なシューターの取り付けに対応し、シューターの傾斜が無くても搬送可能。排出速度はスピードコンローラで調整できる。

 また、別売りの「コントロールデバイス」を取り付けることで、スクラップリムーバーが設定した時間停止すると、アラームを発信することもできる。

靭性、疲労強度を向上
冨士ダイス「鍛造金型用超硬合金『Z301F』」

精密歯車などの金型に

 鍛造製品の形状複雑化、高精度化により、金型材料には局地的に大きな応力が発生し、特に超硬合金では靭性及び疲労強度の向上が求められてきた。「Z301F」は、超硬合金の特性である耐摩耗性と高剛性を保ちつつ、中でも高靭性と高疲労強度に注力し、開発を行ってきた。

 コバルト相を強化したことによって、硬度HRA82を保持した上で、破壊靭性値(亀裂の進行に対する抵抗力を表す)を極限まで高めた。従来材種で耐衝撃性に優れる粗粒超硬合金「C95」と比べて、破壊靭性値は27.4MPa・m1/2から29.7まで向上した。

 特に成形時の負荷が大きい精密歯車(ベベルギヤやヘリカルギヤ)やジョイントなどの閉塞鍛造金型といった冷間鍛造金型の寿命向上が期待できる。

生産性向上を提案
マツダ「超硬パンチ」

研磨仕上げ、超寿命

 超硬素材を使用した超硬パンチの受注が順調に拡大している。従来の主に特殊鋼を使用したプレス金型用部品群(パンチ・ダイ)に、超硬パンチを加え、長寿命化や高精度化の要望に応える。複雑な形状も全て研磨仕上げなので、長寿命化を実現している。

 超硬素材の特性を生かし、独自の加工方法と卓越した加工技術で、短納期で、高精度に仕上げ、顧客にマッチした製品を提供。その結果、生産効率の向上、コストダウンにも一役かうことになる。自動車部品など深絞りパンチの受注・引き合いも多く、ニーズへの対応を強化している。

 顧客のニーズ、要求に真摯に的確に応える心と、具現化する技術、積極的な設備投資でユーザーメリットを追求する。

金型新聞 2020年12月10日

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