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インターモールド2023総集編
金型加工技術の専門展示会「インターモールド2023」が4月12日〜15、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催され、4万人近くが来場した。会場では、工作機械メーカー、切削工具メーカーなどが金型作りに関連する最新技術を披露。今回特に目立ったのが、人手不足を解消する「自動化」や、成長分野として注力する企業が増えている「微細加工」、「カーボンニュートラル」の展示だ。「インターモールド2023」から、金型加工技術のトレンドを読み解く。
自動化:ロボットで脱着、 搬送、 洗浄も
金型製造現場は、慢性的な人手不足を抱えている。このような課題を解消するため、ロボットや周辺機器などを組み合わせた自動化提案が一層進んでいた。
三菱電機は、水仕様ワイヤ放電加工機「MPシリーズ」に、協働ロボットを搭載したAMR(自律走行搬送ロボット)を組み合わせた自動化システムを展示した。ワークの脱着、搬送、簡易洗浄を自動化できる。独自のスケジューラを開発し、稼働監視システム「Remote4U(リモートフォーユー)」と連携させることで、機械の稼働状況に合わせて、柔軟にAMRを動かすことが可能だ。
新日本工機は、大型マシニングセンタ(MC)を中心に据え、大型プレス金型向けに自動化ラインを提案。加工前のワークを自動測定、ロボットによる切り粉の排出、肉盛り溶接の自動化などといった未来の金型作りのコンセプトを紹介した。
微細加工:2万超の加工誤差をサブμmに抑える
微細加工では、出展製品に加え、展示サンプルも多く紹介された。今後成長が期待される燃料電池部品や医療分野などで活用される微細加工に注力する企業は増えている。
安田工業は、立形MC「YBM950V Ver.V」で加工した金型を模したワークサンプルを展示した。長時間加工したサンプルの凸や凹の芯ズレは数μm。コアとキャビティを模したサンプルは、ぴったりはまる。独自の機械構造と熱変位対策によって、長時間加工しても良好な位置精度を実現した。
日進工具は、CBNマイクロ2枚刃ボールエンドミル「SMB200」を紹介。HRC65~70の高硬度鋼を超微細切削し、より長時間、高精度な加工が可能だ。同製品で、22500個加工したマイクロレンズアレイのサンプルを展示。1個目の加工時の表面粗さがRa0・078μmで、22500個目の加工時でも表面粗さは、Ra0・085μmに抑えた。
MOLDINOは、高硬度鋼加工用ボールエンドミルシリーズ「EPDBEH‐TH3」のR1・25以下の全サイズを対象に、外径実測値をラベルに表記するサービスを披露。ユーザーは工具測定をすることなく、実測値をCAMに反映させ、高精度加工を行うことができる。
脱炭素提案:加工精度を安定し、消費電力を削減
近年広がっているカーボンニュートラルに関する展示も目立った。牧野フライス製作所は、立形MC「V56iPlus」を紹介した。工場空調機器がない環境下でも安定した加工精度を維持する機械安定化制御技術「イースタビライザー」を搭載。2013年比で消費電力を12%削減する。機内の微妙な温度差や変位を認識し、機械側で補正することが可能だ。
今回の展示会では、機械や工具の性能向上に加え、ソフトフェアや周辺機器を含めた提案も増えていた。今後も金型メーカーのニーズに応えるため、他社との協業なども視野に入れながら、より広範囲なサービス提供が期待される。
金型新聞 2023年5月10日
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