金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

09

新聞購読のお申込み

学生教育でCAEを活用 岩手大学【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

CAEを活用しているのは企業だけではない。岩手大学では、樹脂流動解析ソフト「3DTimon」(東レエンジニアリングDソリューションズ)を学生の教育で利用している。樹脂を流す際、最適なゲート位置などを自らの勘や経験から教えるのではなく、数値を用いた指導をしている。同大学で学生の指導に携わっている吉田一人特任教授に話を聞いた。

岩手大学 金型技術研究センター 新技術応用展開部門 吉田一人特任教授

三現主義ベースに技術を数値化

岩手大学大学院の「金型・鋳造プログラム」の授業で、「3DTimon」を活用しています。例えば、学生は樹脂を流す際、どこから流せば良いか分かりません。CAEを活用することで、樹脂がどのように流れるかをイメージできるため、ウェルドラインが発生しない最適なゲート位置を科学的に理解することができます。

昔の金型設計は、設計者の勘や経験で行われることがほとんどでした。そのため、設計を教わるのではなく、トライ&エラーを重ね、経験を積むことで覚えていきます。しかし、教育機関で学生に教える場合、それだけでは不十分です。勘ではなく数値を用いて科学的な根拠を伝え、理解してもらうのが望ましい。そこで、2006年から授業でCAEを活用しています。

近年、CAEの重要度は高くなってきていると感じます。ものづくりの製品サイクルが短くなっているため、金型も短納期化が求められており、試作をなくして、良い金型を一発で作らなくてはならない。今後もこの流れは続くと思われるので、学生時代からCAEを使えるようになっておいたほうが良いと思います。

一方で、CAEを使えるだけでは駄目です。学生には、自ら設計した金型を実際に作り、シミュレーション上と何が違うのかを検証してもらいます。そして、うまくいかない理由を自分で考え、試行錯誤してもらうことが重要です。シミュレーションは現物に近いことは事実ですが、あくまで参考でしかない。

私は「三現主義(現場・現物・現実)」を重視しています。机上のデータを用いることは大切ですが、学生には現場で実物を見て、良し悪しを判断できる人材になって欲しい。

今後、熟練者が減る中、今と同じレベルの仕事ができなければなりません。そのためには、技術を数値化することが重要です。CAEはその手助けとして、うまく活用していくのが良いのではないでしょうか。

金型新聞 2023年5月10日

関連記事

特集 : 金型づくりを変える6大テーマ
関連技術編

注目技術7選!! 放電加工機を遠隔保守三菱電機  iQ Care Remote4U(アイキューケアリモートフォーユー)  IoT技術を活用して、放電加工機の様々な情報を収集・蓄積し、遠隔地からリアルタイムで確認・診断する…

【金型の底力】チヨダ工業 豊富な資源を活用し、新たな価値を創出

木質流動成形でSDGsに貢献 技術で差別化を図る 「木質流動を世の中に広め、木材が樹脂やアルミに変わる新たな材料として注目され、持続可能な社会作りに貢献したい」と話すのはチヨダ工業の早瀬一明社長。SDGsやカーボンニュー…

〜精度よく、早く、安く・作る〜特集

〜精度よく、早く、安く・作る〜特集

高難度型を早く安く 自動化活用し品質安定  難易度の高い金型や、オンリーワン技術に高い付加価値があるのは当然。しかし、全てがそんな金型ばかりではない。大半の金型は、高精度は当然ながら「早く、安く」作ることが求められている…

サブスク、クラウドで手軽にシミュレーション【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

インターネットなどのネットワークを経由してソフトを提供する「SaaS(サース)」。ファイル共有サービスやビジネスチャットツールなど、さまざまなソフトで普及が進む中、金型設計などで活用するシミュレーションソフトでもクラウド…

中村精工 DXで年間20社以上の新規開拓を実現

新たに福岡工場が稼働 射出成形事業を強化 自動車向けプラスチック金型の設計・製作を手掛ける中村精工(岐阜県岐阜市、058-388-3551)は1月、成形事業及び金型メンテナンスを行う福岡工場(福岡県飯塚市)を立ち上げ、1…

トピックス

関連サイト