金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

02

新聞購読のお申込み

学生教育でCAEを活用 岩手大学【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

CAEを活用しているのは企業だけではない。岩手大学では、樹脂流動解析ソフト「3DTimon」(東レエンジニアリングDソリューションズ)を学生の教育で利用している。樹脂を流す際、最適なゲート位置などを自らの勘や経験から教えるのではなく、数値を用いた指導をしている。同大学で学生の指導に携わっている吉田一人特任教授に話を聞いた。

岩手大学 金型技術研究センター 新技術応用展開部門 吉田一人特任教授

三現主義ベースに技術を数値化

岩手大学大学院の「金型・鋳造プログラム」の授業で、「3DTimon」を活用しています。例えば、学生は樹脂を流す際、どこから流せば良いか分かりません。CAEを活用することで、樹脂がどのように流れるかをイメージできるため、ウェルドラインが発生しない最適なゲート位置を科学的に理解することができます。

昔の金型設計は、設計者の勘や経験で行われることがほとんどでした。そのため、設計を教わるのではなく、トライ&エラーを重ね、経験を積むことで覚えていきます。しかし、教育機関で学生に教える場合、それだけでは不十分です。勘ではなく数値を用いて科学的な根拠を伝え、理解してもらうのが望ましい。そこで、2006年から授業でCAEを活用しています。

近年、CAEの重要度は高くなってきていると感じます。ものづくりの製品サイクルが短くなっているため、金型も短納期化が求められており、試作をなくして、良い金型を一発で作らなくてはならない。今後もこの流れは続くと思われるので、学生時代からCAEを使えるようになっておいたほうが良いと思います。

一方で、CAEを使えるだけでは駄目です。学生には、自ら設計した金型を実際に作り、シミュレーション上と何が違うのかを検証してもらいます。そして、うまくいかない理由を自分で考え、試行錯誤してもらうことが重要です。シミュレーションは現物に近いことは事実ですが、あくまで参考でしかない。

私は「三現主義(現場・現物・現実)」を重視しています。机上のデータを用いることは大切ですが、学生には現場で実物を見て、良し悪しを判断できる人材になって欲しい。

今後、熟練者が減る中、今と同じレベルの仕事ができなければなりません。そのためには、技術を数値化することが重要です。CAEはその手助けとして、うまく活用していくのが良いのではないでしょうか。

金型新聞 2023年5月10日

関連記事

澤越俊幸さん 3Dプリンタの普及にまい進する[ひと]

日本AM協会専務理事 澤越 俊幸さん 金型、航空機、自動車、電子部品—。日本のものづくりに3Dプリンタ(AM)を普及させる。それを目標とする一般社団法人の専務理事を務める。会員企業や研究機関とスクラムを組み、セミナーによ…

【特集】金型企業年金新制度へ 3氏に聞く、新制度の背景とメリット〜「経営」と「社員の人生」支える仕組み〜

【特集】金型企業年金新制度へ 3氏に聞く、新制度の背景とメリット〜「経営」と「社員の人生」支える仕組み〜

掛け金率選択制に 税控除など利点大きく 社員の第2の人生豊かに 日本金型工業厚生年金基金は昨年11月2日、いったん解散し「日本金型工業企業年金基金」として生まれ変わった。高い予定利率などの旧制度の課題を解決するとともに、…

金型企業の代弁者として情報を発信<br>日本金型工業会 小出 悟 会長に聞く

金型企業の代弁者として情報を発信
日本金型工業会 小出 悟 会長に聞く

 人材の不足や育成、CASE(コネクティビティ・オートノマス・シェアード・エレクトリック)に代表される自動車産業の変化による影響、台頭する新興国など、日本の金型産業は様々な課題を抱えている。これらに対してどう立ち向かって…

米由来のバイオプラ 関東製作所が確立した金型・成形技術とは

脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…

工場長に求める条件とは?! 金型メーカー経営者にアンケート【特集:工場長の条件】

チームで業務遂行する力 金型づくりが高度化し、先が読みづらい時代。だからこそ、工場長の役割がより重要になり、また求められることも変化しているのではないか。そう考え、本紙では「経営者が今の工場長に求める条件は何か」を探るた…

トピックス

関連サイト