金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

03

新聞購読のお申込み

スコープ3の対応進む【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)」の実現を目指す動きが加速している。欧州の規制強化などに伴い、サプライチェーン(供給網)全体でのCO2排出量を示す「スコープ3」への対応を進める企業が増加。国内の自動車メーカーは、CO2排出量の把握・削減を取引先に求め始めており、金型メーカーも無関係ではない。また、足元では電気料金の高騰が企業経営を圧迫しており、CNの有無に関わらず、エネルギー使用量削減に取り組む必要がある。

※トヨタ自動車資料より引用

供給網全体で脱炭素達成へ

2050年のCN実現に向け、直接的または間接的なCO2排出量を示す「スコープ1、2」に加え、サプライチェーン全体での排出量を示す「スコープ3」の対応を進める企業が増えている。背景にあるのは、欧州を中心とした「スコープ3」開示への動きだ。

ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は6月、気候変動に関する情報開示の国際的な基準を公表。この基準に従う企業は、今後「スコープ3」の開示が必要になってくる。

規制が厳しい欧州などグローバルにサプライチェーンを持つ世界の大手企業は、「スコープ3」の削減に先行して取り組んでいる。米アップルはサプライヤーと協力し、2030年までに全世界のサプライチェーンをCNに転換することを発表した。同社の200社以上のサプライヤーは、すべてのアップル製品製造時に風力や太陽光などのクリーン電力使用を約束しているという。

日本の自動車メーカーも「スコープ3」を視野に入れ、脱炭素化を進める。トヨタ自動車は2050年に向けて、ライフサイクル全体でCN実現を目指している。サプライチェーン全体でCNへ取り組み、製造や物流なども含めたCO2排出量を削減する。

また、同社は5月に開かれた「人とくるまのテクノロジー展」で、CNをテーマに講演を行った。講演では、CN先行開発センターの荻村友彦氏が、仕入先との連携について言及。サプライチェーン全体でのCO2排出量の見える化を目指し、ティア1(一次サプライヤー)の総量把握から、品目単位の把握まで検討している。これに加え、同社のノウハウを仕入先と共有し、CO2削減活動を共に行っていく考えだ。

ホンダは2050年に、同社が関わるすべての製品と企業活動を通じたCNを目指している。日産自動車も材料採掘から製造、走行、廃棄に至る車のライフサイクル全体におけるCNを2050年までに実現する目標を発表した。

風力発電機 ※トヨタ自動車資料より引用

電気代高騰、喫緊の課題

こうした国内外の動きは、金型メーカーも無関係ではない。すでにCO2削減、排出量把握の要請を受けた企業も出てきている。ある金型メーカーでは取引先から前年比約27%のCO2排出量削減を求められたという。要請に応じられない場合、取引停止や罰則といった厳しい措置ではなく、製造現場に入り、改善点や対策を教えてくれるケースもあるようだ。

一方、金型メーカーの喫緊の課題となっているのはCNではなく、電気料金の高騰だ。足元では「仕事量が少ない上に電気料金が高いので、より一層経営を圧迫している」という声も挙がっている。このような現状から、エネルギー使用量削減の一環としてCNに取り組んでいる企業も少なくない。

金型新聞 2023年9月10日

関連記事

電動系、車体系部品へ事業拡大【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車の電動化が金型に及ぼす影響は大きい。エンジンなどの減少が懸念される一方、軽量化ニーズでアルミの採用が期待されるなどダイカスト金型は変化を迫られている。では電動化でダイカストはどう変わっていくのか。昨秋のダイカスト展…

自動化で変わる人材 マルチ技術者を育成【自動化で変わる金型メーカー】

生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるた…

三恵技研工業 増肉加工、超ハイテン冷間プレス【特集:プレス加工の未来】

自動車用マフラーやボディ部品などを手掛ける三恵技研工業(東京都北区、03・3902・8200)は近年、プレス加工の技術開発に力を入れる。主要顧客である自動車産業でEV化や現地生産化が進み、事業環境が大きく変化する中、増肉…

【特集:2024年 金型加工技術5大ニュース】2.AIの進化

稼働止めない機能や技能支援 人工知能(AI)を活用したさまざまな機能やサービスが登場している。AIの進化に加え、センシング技術の高度化で、従来把握できなかったデータが収集できるようになり、AIに読み込ませるデータ量が増え…

MOLDINO ギガキャスト、燃料電池の金型向け切削工具を販売開始

大型化、難削化、微細化に対応 切削工具メーカーのMOLDINO(東京都墨田区、03・6890・5101)は2月17日、ギガキャストや燃料電池の金型加工に適した新製品を販売すると発表した。今年1~2月にかけて3製品を販売開…

トピックス

関連サイト