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スコープ3の対応進む【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)」の実現を目指す動きが加速している。欧州の規制強化などに伴い、サプライチェーン(供給網)全体でのCO2排出量を示す「スコープ3」への対応を進める企業が増加。国内の自動車メーカーは、CO2排出量の把握・削減を取引先に求め始めており、金型メーカーも無関係ではない。また、足元では電気料金の高騰が企業経営を圧迫しており、CNの有無に関わらず、エネルギー使用量削減に取り組む必要がある。

※トヨタ自動車資料より引用

供給網全体で脱炭素達成へ

2050年のCN実現に向け、直接的または間接的なCO2排出量を示す「スコープ1、2」に加え、サプライチェーン全体での排出量を示す「スコープ3」の対応を進める企業が増えている。背景にあるのは、欧州を中心とした「スコープ3」開示への動きだ。

ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は6月、気候変動に関する情報開示の国際的な基準を公表。この基準に従う企業は、今後「スコープ3」の開示が必要になってくる。

規制が厳しい欧州などグローバルにサプライチェーンを持つ世界の大手企業は、「スコープ3」の削減に先行して取り組んでいる。米アップルはサプライヤーと協力し、2030年までに全世界のサプライチェーンをCNに転換することを発表した。同社の200社以上のサプライヤーは、すべてのアップル製品製造時に風力や太陽光などのクリーン電力使用を約束しているという。

日本の自動車メーカーも「スコープ3」を視野に入れ、脱炭素化を進める。トヨタ自動車は2050年に向けて、ライフサイクル全体でCN実現を目指している。サプライチェーン全体でCNへ取り組み、製造や物流なども含めたCO2排出量を削減する。

また、同社は5月に開かれた「人とくるまのテクノロジー展」で、CNをテーマに講演を行った。講演では、CN先行開発センターの荻村友彦氏が、仕入先との連携について言及。サプライチェーン全体でのCO2排出量の見える化を目指し、ティア1(一次サプライヤー)の総量把握から、品目単位の把握まで検討している。これに加え、同社のノウハウを仕入先と共有し、CO2削減活動を共に行っていく考えだ。

ホンダは2050年に、同社が関わるすべての製品と企業活動を通じたCNを目指している。日産自動車も材料採掘から製造、走行、廃棄に至る車のライフサイクル全体におけるCNを2050年までに実現する目標を発表した。

風力発電機 ※トヨタ自動車資料より引用

電気代高騰、喫緊の課題

こうした国内外の動きは、金型メーカーも無関係ではない。すでにCO2削減、排出量把握の要請を受けた企業も出てきている。ある金型メーカーでは取引先から前年比約27%のCO2排出量削減を求められたという。要請に応じられない場合、取引停止や罰則といった厳しい措置ではなく、製造現場に入り、改善点や対策を教えてくれるケースもあるようだ。

一方、金型メーカーの喫緊の課題となっているのはCNではなく、電気料金の高騰だ。足元では「仕事量が少ない上に電気料金が高いので、より一層経営を圧迫している」という声も挙がっている。このような現状から、エネルギー使用量削減の一環としてCNに取り組んでいる企業も少なくない。

金型新聞 2023年9月10日

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