金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

12

新聞購読のお申込み

KOEI TOOL SKD61相当材の冷却水管【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

ダイカスト市場に参入

「始まりはプラスチック成形向けの3D冷却水管だった」と話すのはKOEI TOOL(旧ケイプラスモールドジャパン、今年4月に社名変更)のAM課の石井陽部長。同社は日本、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、中国、インドネシアなどグローバルに展開するプラスチック金型メーカー。5年前、ソディック製金属3Dプリンタ「OPM250L」を導入。プラスチックの成形サイクルを改善したいというニーズを念頭に、3D冷却水管の受託造形を始める。

その後、プラスチックの成形工程の改善として、新たに目を向けたのが成形時のガス抜きの課題だ。「プラスチック成形において、ガスに起因するヤケ・白濁・ヒケ・バリなどは永遠の課題」と石井部長。金属3Dプリンタでガス抜き部品の開発、受託製作を始める。

成形不良対策部品「GASEXIT」

同社が展開する成形不良対策部品「GASEXIT」(特許取得)は金属3Dプリンタで微細な貫通孔を施し、ガス抜きの課題となる箇所に最適な部品を提案。微細孔の入口はφ0・02~0・05㎜(±0・03㎜)になっており、樹脂が流れ込みにくく、適切にガス排出ができる仕組みでガス起因の成形不良を解決。「切削加工では出来ない形状を金属3Dプリンタで生み出すことで付加価値を高める」と石井部長。

また、ガス抜き部分の表面硬度はHRC44(窒化処理でHRC70も可能)と耐摩耗性に優れており、部品の長寿命化も期待できる。適用樹脂は汎用的な熱可塑性樹脂ほか、PBTやPPS、PA、LCP材などエンジニアリングプラスチック、熱硬化性樹脂にも対応。石井部長は「ユーザーの課題に応じ、ランナーやエジェクタピン、スプルーブッシュ、カスタム形状など様々な部品を製作できる」と自信を見せる。現在は取引先も400社以上に拡大し、金型製作と同様に重要な事業の柱に成長している。

金属3Dプリンタ

続けて、同社は今年、SKD61相当材に対応するソディック製金属3Dプリンタ「LPM325S」を導入した。ギガキャストなど需要の増加が見込まれるダイカスト市場向けに3D冷却水管(コンフォーマルクーリング)の受託製作を開始。「SKD61相当材の造形が可能になったことで、従来活用されてきたマルエージング鋼に比べ、冷却水管の長寿命化が図れる。すでに良好なテスト結果も出ており、思考錯誤を繰り返しながら、ダイカストの課題解決に取り組みたい」と新市場の開拓に目を向ける。

金型新聞 2023年11月10日

関連記事

【新春特別インタビュー⑧】オーニック社長・難波 健氏「異なる人材活躍するワンチームとなる」

考え方や能力異なる 人材活躍するワンチーム 時代の変化にしなやかに ~ダイバーシティ~  1976年生まれ、北海道札幌市出身。99年工学院大学工学部機械工学科を卒業し、オーニックに入社。2013年、社長に就任。経営理念で…

ウエブサイトやSNS活用し、見込み顧客発掘 【特集:営業ってどうする?】

金型メーカーの新規顧客の開拓方法が変わりつつある。これまでの直接訪問やテレアポといった手法から、インターネットやスマホの普及、コロナ禍で急速に進展した非対面活動の拡大によって、ウエブサイトやSNSなどを使って情報を発信し…

精工技研 UV硬化樹脂で大口径レンズ【特集:ものづくりを変えるレンズ金型】

独自の成形、金型技術で実現 樹脂レンズの光学設計から金型、成形、組立までを手がける精工技研は、紫外線(UV)硬化樹脂を用いた大口径レンズを開発した。独自の成形技術や金型技術によって実現。熱可塑性樹脂やガラスでは要求が満た…

【新春特別インタビュー①】日本金型工業会会長・小出 悟氏(小出製作所社長)「旧態依然の手法通用せず、今こそ変わるべき時」

旧態依然の手法通用せず 今こそ変わるべき時 〜金型産業ビジョン〜  1955年静岡県生まれ。78年に工学院大学機械工学科を卒業後、名古屋の金型メーカー高橋精機工業所に入社し、金型づくりを学ぶ。81年にアルミダイカスト金型…

デジタル活用で生産量を2~3倍に向上 鈴木工業【特集:利益を生むDX】

DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。 CAEの活用、データ作成の効率化 自動車用プレス金型…

トピックス

関連サイト