切削工具販売サイト「さくさく」は4月1日、新たに国内外メーカー約40社の商品約40万点の取り扱いを始めた。1年以内をめどに、それらの商品の性能や価格を比較し選べるようにするなど利便性を高めていく。サイトを運営する、さくさ…
KOEI TOOL SKD61相当材の冷却水管【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】
ダイカスト市場に参入
「始まりはプラスチック成形向けの3D冷却水管だった」と話すのはKOEI TOOL(旧ケイプラスモールドジャパン、今年4月に社名変更)のAM課の石井陽部長。同社は日本、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、中国、インドネシアなどグローバルに展開するプラスチック金型メーカー。5年前、ソディック製金属3Dプリンタ「OPM250L」を導入。プラスチックの成形サイクルを改善したいというニーズを念頭に、3D冷却水管の受託造形を始める。
その後、プラスチックの成形工程の改善として、新たに目を向けたのが成形時のガス抜きの課題だ。「プラスチック成形において、ガスに起因するヤケ・白濁・ヒケ・バリなどは永遠の課題」と石井部長。金属3Dプリンタでガス抜き部品の開発、受託製作を始める。

同社が展開する成形不良対策部品「GASEXIT」(特許取得)は金属3Dプリンタで微細な貫通孔を施し、ガス抜きの課題となる箇所に最適な部品を提案。微細孔の入口はφ0・02~0・05㎜(±0・03㎜)になっており、樹脂が流れ込みにくく、適切にガス排出ができる仕組みでガス起因の成形不良を解決。「切削加工では出来ない形状を金属3Dプリンタで生み出すことで付加価値を高める」と石井部長。
また、ガス抜き部分の表面硬度はHRC44(窒化処理でHRC70も可能)と耐摩耗性に優れており、部品の長寿命化も期待できる。適用樹脂は汎用的な熱可塑性樹脂ほか、PBTやPPS、PA、LCP材などエンジニアリングプラスチック、熱硬化性樹脂にも対応。石井部長は「ユーザーの課題に応じ、ランナーやエジェクタピン、スプルーブッシュ、カスタム形状など様々な部品を製作できる」と自信を見せる。現在は取引先も400社以上に拡大し、金型製作と同様に重要な事業の柱に成長している。

続けて、同社は今年、SKD61相当材に対応するソディック製金属3Dプリンタ「LPM325S」を導入した。ギガキャストなど需要の増加が見込まれるダイカスト市場向けに3D冷却水管(コンフォーマルクーリング)の受託製作を開始。「SKD61相当材の造形が可能になったことで、従来活用されてきたマルエージング鋼に比べ、冷却水管の長寿命化が図れる。すでに良好なテスト結果も出ており、思考錯誤を繰り返しながら、ダイカストの課題解決に取り組みたい」と新市場の開拓に目を向ける。
金型新聞 2023年11月10日
関連記事
プラモデル事業をプロデュースした 前職は旅行代理店の添乗員。ものづくりとは無縁の出身だが、持ち前のフットワークの軽さを生かし、近未来型お手伝いロボットのプラモデル「カデンナ」をプロデュースした。 プラモデル参入のきっかけ…
工作機械メーカーの倉敷機械は、金型加工の効率化を実現する機械の提案を強化している。 今年1月には5軸マシニングセンタ(MC)に横中ぐり機能を搭載した「KTR‐1200」を発売。この新型は中ぐり主軸を繰り出すことで、特殊工…
金型広がる協力の輪 金型メーカー同士や異業種、加工技術などを軸とした様々な形での連携や協業の重要性が高まっている。ユーザーの海外展開に伴うサポートや需要開拓、技術の複合化や高度化などによって、金型メーカー単独では顧客の…
特殊鋼材料の販売や金型のメンテナンスを手掛ける商社の南海モルディ(22年9月に南海鋼材から社名変更)は、オリジナル製品「予熱くん」や「肉盛りくん」を開発、販売し好評を得ている。 「予熱くん」は、製造前の金型予熱、焼き嵌め…