金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

26

新聞購読のお申込み

【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】2.脱炭素化

求められるスコープ3への対応

2050年の温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)」の実現を目指す動きが活発化している。これまで直接的あるいは間接的なCO2排出量を示す「スコープ1・2』への対応に加え、自動車メーカーなどサプライチェーン全体を示す「スコープ3」への対応が求められている。また、今年は電気料金の高騰が相次いだことで企業経営を圧迫し、スコープ3への対応と同時に省エネによるコスト削減で経営体質の強化が課題となっている。

政府が「カーボンニュートラル」の目標を示した2020年以降、金型業界も脱炭素化(省エネ)に取り組む企業が増えた。代表的なものは「太陽光パネル導入」「コンプレッサや空調機器の刷新」「LEDライト導入」など。金型工場で電力消費の大きいコンプレッサや空調機器など大型設備を刷新すると、消費電力を大幅に削減できたという声も多い。加えて、太陽光パネルや風力発電機など再生可能エネルギーを活用し、工場内の消費電力を賄う動きも活発だ。

上石津工場太陽光パネル(J-MAX提供)

次にCO2削減でテーマになっているのが「機械加工」と「物流」だ。切削工具のリサイクルや再研磨など利活用をはじめ、機械加工の自動化で週末や夜間など電力負荷の低い時間帯に加工するなど機械加工現場の取り組みも出てきた。ある金型メーカー経営者は「電力消費の削減には(投資に対する)イニシャルコストはかかるが、長期的にコストダウンにつながる」と、設備毎の電力使用量の見える化を進める。

来年から喫緊の課題となるのが「物流の2024年問題」で、遠方へ金型を輸送することはCO2排出を含め大きな負荷となる。そのため、自社の輸送ルートを見直し、客先近くへ工場を建設する企業や、自社内にトライ機を導入し、客先で行っていたトライを内製し、金型の往復を減らす動きも出ており、物流に対する取り組みも重要だ。

金型新聞 2023年12月10日

関連記事

「金属3Dプリンタの匠」三光合成

デジタル技術の進化で、相次いで登場する新技術。次世代の匠はそれらの技術を金型づくりにどのように活かしているのか。また、それら能力を習得するには、どのようなスキルや育成が必要なのか。本特集では、様々ある新技術の中でも、次世…

【特集:2024年 金型加工技術5大ニュース】3.デジタル

管理、調達を効率化 近年の金型工場では人手不足が深刻化しており、デジタル技術の導入による製造工程や管理工程などの効率化に向けた取り組みが加速している。多くの企業がセンシング技術を活用した見える化をはじめ、ITツール導入に…

トヨタの型づくりはどう変化していくのか?モビツー・大澤部長×モノエン・堀田部長インタビュー【変わるトヨタの型づくり】

PART4:モノエン・モビツーのトップに聞く金型メーカーに期待すること 技能絶やさぬ取り組み / 型にとらわれぬ柔軟な視点 人の動き、 カンコツを定量化 次世代車の中でも、やはり電動化へのインパクトは大きい。金型への影響…

ウエブサイトやSNS活用し、見込み顧客発掘 【特集:営業ってどうする?】

金型メーカーの新規顧客の開拓方法が変わりつつある。これまでの直接訪問やテレアポといった手法から、インターネットやスマホの普及、コロナ禍で急速に進展した非対面活動の拡大によって、ウエブサイトやSNSなどを使って情報を発信し…

金型に押し寄せるCASE

 100年に一度の変革期と言われる自動車業界。それを語るときに欠かせないキーワードが「CASE」だ。「C=コネクテッド(つながる)」、「A=オートノマス(自動運転)」、「S=シェア(共有)」、「E=エレクトリック(電動化…

トピックス

関連サイト