金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

24

新聞購読のお申込み

【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】2.脱炭素化

求められるスコープ3への対応

2050年の温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)」の実現を目指す動きが活発化している。これまで直接的あるいは間接的なCO2排出量を示す「スコープ1・2』への対応に加え、自動車メーカーなどサプライチェーン全体を示す「スコープ3」への対応が求められている。また、今年は電気料金の高騰が相次いだことで企業経営を圧迫し、スコープ3への対応と同時に省エネによるコスト削減で経営体質の強化が課題となっている。

政府が「カーボンニュートラル」の目標を示した2020年以降、金型業界も脱炭素化(省エネ)に取り組む企業が増えた。代表的なものは「太陽光パネル導入」「コンプレッサや空調機器の刷新」「LEDライト導入」など。金型工場で電力消費の大きいコンプレッサや空調機器など大型設備を刷新すると、消費電力を大幅に削減できたという声も多い。加えて、太陽光パネルや風力発電機など再生可能エネルギーを活用し、工場内の消費電力を賄う動きも活発だ。

上石津工場太陽光パネル(J-MAX提供)

次にCO2削減でテーマになっているのが「機械加工」と「物流」だ。切削工具のリサイクルや再研磨など利活用をはじめ、機械加工の自動化で週末や夜間など電力負荷の低い時間帯に加工するなど機械加工現場の取り組みも出てきた。ある金型メーカー経営者は「電力消費の削減には(投資に対する)イニシャルコストはかかるが、長期的にコストダウンにつながる」と、設備毎の電力使用量の見える化を進める。

来年から喫緊の課題となるのが「物流の2024年問題」で、遠方へ金型を輸送することはCO2排出を含め大きな負荷となる。そのため、自社の輸送ルートを見直し、客先近くへ工場を建設する企業や、自社内にトライ機を導入し、客先で行っていたトライを内製し、金型の往復を減らす動きも出ており、物流に対する取り組みも重要だ。

金型新聞 2023年12月10日

関連記事

BtoC向け開拓に力 浦竹重行氏(東亜成型社長)【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題 -事業承継-

PART3 狭山金型製作所 社長・大場治氏に聞く「事業承継」 60歳で「引退宣言」経営以外にやりたいことを「朝活」で考え方を伝える 55歳の時に60歳で社長を退くと社内外に「引退宣言」をしました。今59歳なので、あと1年…

鋳造に独自の新工法
マツダ

特集 次世代車で変わる駆動部品の金型鋳造に独自の新工法  次世代自動車の技術は電動化に限らない。注目されるのがエンジンの進化だ。燃費性能を追求する新型エンジン「スカイアクティブ」。多くの自動車メーカーが電動化に力を入れる…

「5軸加工の匠」 エフアンドエム

デジタル技術の進化で、相次いで登場する新技術。次世代の匠はそれらの技術を金型づくりにどのように活かしているのか。また、それら能力を習得するには、どのようなスキルや育成が必要なのか。本特集では、様々ある新技術の中でも、次世…

金型業界でも浸透しつつある金属AM 大型化や新材料の登場目立つ【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】

金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…

トピックス

AD

FARO 樹脂成型品や自動車シートの測定での3次元測定アームの活用と新製品Qua...

樹脂成型品の工程管理・不具合解析 樹脂成型品の工程管理や不具合解析の現場では、実際の製品や試作品と設計図との差異把握や、製品や金型の工程ごとの変化量把握、不具合解析や要因分... 続きを読む

関連サイト