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シミュレーションソフト【Breakthrough!】

金型のユーザーニーズとして普遍的なものが短納期化。昨今は開発期間の短縮など金型生産に費やす時間が短くなっているほか、コスト削減のため工数削減(手戻り削減)が大きな課題となっている。そこで重要なのがCAEの有効活用だ。近年は金型メーカー自らが解析を行い、付加価値を提案することも増えている。そこで今回は、最新CAEを紹介する。

PART1:SFTC「直感的操作で初心者も簡単に」 -鍛造-
PART2:MFRC「ねじや板鍛造など幅広い分野に対応」 -鍛造-
PART3:オートデスク「充実した解析機能と高い精度」 -樹脂-
PART4:オートフォームジャパン「成形~組立をデジタル化」 -プレス-
PART5:C3P Software International「高い設計・解析機能」 -ダイカスト-
PART6:CTS「高品質な成形を支援」 -樹脂-
PART7:JSOL「設計の構想から成形まで支援」 -プレス-
PART8:先端力学シミュレーション研究所「低コストで高精度な解析」 -プレス-
PART9:東レエンジニアリングDソリューションズ「高速、高精度な解析機能」 -樹脂-
PART10:Hexagon「複雑なプロセスを簡単再現」 -プレス-
PART11:記者の目

PART1

SFTC「直感的操作で初心者も簡単に」 -鍛造-

DEFOEMは、数値計算技術を使用して金属の材料流れや工具への負荷状態、熱処理による変形、切削時の切りくず予測等、様々な加工現象をコンピューター上で再現できる総合加工シミュレーションシステム。

設定パラメーターにおける上限数と下限数の指定のみで、自動的に複数解析し、結果分析を実施。一つの解析が終わった後は自動的に次の解析を実施する解析計算の予約機能もあり、設計者の工数が削減できる。

2Dモデルから3Dモデルへ簡単に変換できる連携機能や、任意のネット(格子・縦線など)を指定し、その形状がどのように変化するかを確認できるフローネット機能なども備えている。

直感的操作が可能で、初心者や新人設計者でも抵抗なく使用できる。

PART2

MFRC「ねじや板鍛造など幅広い分野に対応」 -鍛造-

鍛造製品の加工成立性を予測でき、工程設計を支援する鍛造解析シミュレーションソフト。誰でも簡単に使いこなせるのも大きな特長だ。

様々な現場の冷間鍛造から熱間鍛造まで、鍛造に関する問題を予測できる。あらゆる分野での鍛造解析に適用が可能で、ねじの転造や、業界的には、まだ実績の少ない板鍛造などの分野でも事例を持つ。

ユーザーインターフェイスも直感的でわかりやすく、必要最小限の設定で解析を実行できるため、導入してすぐに、鍛造シミュレーションの効果が得られる。モジュール構成も柔軟で、本当に必要とするモジュールのみを選んで導入できる。このため、使用しない機能まで購入する必要がなく、高いコストパフォーマンスが得られる。同製品の問い合わせはJSOLまで。

PART3

オートデスク「充実した解析機能と高い精度」 -樹脂-

「Moldflow(モールドフロー)」は、樹脂流動解析のリーディングソフトウェア。

最大の特長は充実した解析機能と高い精度。充填・保圧・冷却・繊維配向・反りなどの基本解析以外にも、ガスアシストや圧縮成形など、様々な高精度解析機能を搭載する。材料データも豊富で入手しやすく、業界トップクラスの1万2000グレードを超える材料データベースが高い解析精度を支えている。

また、使いやすさや拡張性にも優れている。主要な各社3DCADフォーマットに対応し、迅速に解析モデルを準備できる。加えて、オートデスクの他の製品との連携により業務の効率化が図れる。これらの特長によって、脂部品の成形不良を可視化し、改善や品質向上、コスト低減につなげることができる。

PART4

オートフォームジャパン「成形~組立をデジタル化」 -プレス-

「AutoForm デジタル・プロセス・ツイン」は、プレス成形から、塗装前の車体であるBiW(ホワイトボディ)アセンブリ・プロセスまでのデジタル化を推進するソリューション。初期のコンセプト作成から金型工場、アセンブリ工場までのプロセス・チェーン全体を網羅し、プレス成形とBiWアセンブリを多面的に一貫してデジタル空間上で検討することができる。

BiWアセンブリ工程のシミュレーションを通じて問題を予測し、部品設計を調整しながら、プレス成形とBiWの工程設計を定義する。デジタル・マイルストーンに従い、予測される全ての問題を解消し、デジタル・バイオフ(品質保証)を実施することで、現実世界でのトライ・アンド・エラーを飛躍的に改善することができる。

PART5

C3P Software International「高い設計・解析機能」 -ダイカスト-

高圧鋳造、低圧鋳造、重力鋳造、中空鋳造、チクソ鋳造などの鋳造方案のゲート・システム設計と高度なシミュレーションを迅速かつ高精度に行い、不良率、不良品、コストの削減を図り、ユーザーの市場参入機会の増大に貢献する。

主な特長は①ゲート・システムの高い設計機能とCAD機能と解析機能を一体化②操作性の良さ③メッシングが迅速で容易(特にファストメッシュ機能性が高い)④クイック解析でも高精度に予測可能⑤設計の手戻りと解析工程の繰り返しを最小限に抑え、労力と時間の削減が期待できる⑥EV化と軽量化に関連する超大型成型の解析が可能⑦大型成型のためのスプレイ設計システムの提供など様々な機能を持ち、金型の価値向上やコスト低減につなげる。製品の問合せは鹿取事務所まで。

PART6

CTS「高品質な成形を支援」 -樹脂-

世界トップクラスのシェアを誇る3次元樹脂流動解析ソフトウェア。高度な3D解析で、高品質な樹脂製品の成形をサポートする。

部品、ランナー、冷却管の全てを含んだ金型全体を3次元で解析し、高い精度で再現できる。解析の準備工程では、ゲートやランナー、冷却管などの設定をウィザード機能がサポートする。

解析の専門家だけでなく、部品設計や生産部門の方々も利用できるユーザビリティが高いのも大きな特長だ。

流動や冷却、変形などの樹脂流動解析専用のソルバーに加え、繊維配向や応力、粘弾性などの計算機能も充実させた。また、さまざまな特殊成形手法にも対応しており、成形不良の対策や成形条件の最適化を効率良く実現できる。同製品の問い合わせはJSOLまで。

PART7

JSOL「設計の構想から成形まで支援」 -プレス-

金型設計の構想段階から最終段階までをサポートする統合型のプレス成形シミュレーションシステム。数値シミュレーションでプレス成形過程をリアルに再現するだけでなく、仮想検討の結果をCADデータなどに出力し、そのまま対策として用いることができるのが、大きな特長だ。

また、設計者の手によるトライ・アンド・エラーを繰り返す必要がなく、適切な答えを提供できるので、金型開発リードタイムの短縮、コストの削減に大きく貢献できる。

ファーストトライから設計の最終段階までを統合的にサポートし、複雑な工程や難成形材料、最新の工法にも対応しているため、プレス加工部品の製作に関する多くの課題に適用が可能。

PART8

先端力学シミュレーション研究所「低コストで高精度な解析」 -プレス-

「ASU/P-form」はプレスに特化したシミュレーションソフトウェア。プレス成形時に直面するシワやワレ、スプリングバックなどの現象を正確に予測する。

Rmin法によって解析精度を保ち、安定的に解を得ることを可能とした解析手法「静的陽解法」を採用した。これにより高精度な解析が可能。

プリポスト、ソルバーを全て自社開発することにより、低コストで提供することができる。また日本語に対応したユーザーインターフェースとマニュアルを完備。ユーザーフレンドリーで、誰でも簡単に使用できる。

更にユーザーに密着したサポートサービスも充実しており、通常の操作方法などに加え、製品の不具合に対する問い合わせがあった場合でも、自社で全て対応することができる。

PART9

東レエンジニアリングDソリューションズ「高速、高精度な解析機能」 -樹脂-

「3D TIMON」は樹脂流動解析に特化したソフトウェア。開発リードタイムを短縮し、ウェルドラインやそり変形などの課題に対する様々なソリューションを提供する。

独自開発のアルゴリズムが搭載された「Light3Dソルバー」によって、高速かつ高精度な計算を実現。量産までの検討サイクルの短縮に貢献する。

最適化機能による効率化、省力化も推進。例えばウェルドラインが発生しない最適なゲート位置を導き出すことができる。その結果、人が考えてトライ&エラーを繰り返し、ゲートの位置を決める作業が不要になる。

非定常金型冷却解析を使えば、より高精度な金型設計が可能。1ショット毎に金型内部の温度履歴を時系列グラフで表示することができる。

PART10

Hexagon「複雑なプロセスを簡単再現」 -プレス-

「Simufact」は有限要素法を用いたソリューションを提供し、塑性加工、機械接合、溶接および金属積層造形、フライス加工やせん孔などの切削のプロセスシミュレーションが可能。素材の打ち抜きやせん断から多工程成形、穴開け、ヘミングに至る様々な工程、接合や溶接で発生する熱の影響や変形を再現し、製造工程全体をシミュレーションできる。

「Simufact Forming」は金属成形プロセスのシミュレーションソフトウェアで、鍛造、冷間成形、板成形、全ての主要なプロセス、機械接合などの様々な成形方法に対応する。加えて、成形中の材料の流れや金型内の応力分布、金属の結晶粒径、さらに加熱炉や高周波加熱を用いた熱処理における相変態を考慮した材料特性の予測も行うことができる。

PART11

記者の目

CAEはベテラン金型設計者の思考回路や試行錯誤をデジタル化できる。これをうまく活用できれば、戻りのない金型づくりはもとより、経験が少ない若手技術者の設計支援や能力向上にも役立つ。さらに、その解析結果をユーザーに提示し、最適な製作プロセスを提案できれば、信頼性の向上にもつながる。CAEは正確な金型を早く作ることだけではなく、金型ユーザーへの「提案巧者」になるための重要なツールとなりそうだ。

金型新聞 2022年9月10日

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