経営支える中核人材を 金型メーカーを取材すると必ずと言っていいほど話題になるのが人材育成の苦労や確保の難しさ。少子高齢化に伴う人材不足に加え、金型づくりで求められる人材像が変わってきていることも大きな理由だ。そこで、今…
【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】1.ギガキャスト
一体鋳造の流れ加速
「ギガキャスト」は今年最も注目を浴びたワードの一つ。定義は明確に決まっていないが、6000tを超える型締め力(1万6000tも発表されている)のダイカストマシンで複数の部品を一体成形する技術だ。
トヨタ自動車が今夏にギガキャストに着手すると発表して以降、リョービも6500tのマシン導入を決定するなど、金型業界でも注目を集めた。金型にとって影響が小さくないからだ。トヨタ自動車が発表した部品では、86部品33工程だったものを1部品1工程にできるため、金型点数の減少も懸念されている。

こうしたギガキャストに対応する動きも出始めている。新潟の米谷製作所と共和工業はギガ向け金型を共同開発すると発表した。ギガ向けの金型づくりを開始している。
一方、まだ明確に方向が固まっていないのも現実。テスラや中国のEVメーカーでは1万tクラスで、車全体を一体成形する動きがある。しかし、トヨタ自動車は3分割する方式を発表しているおり、実際にどれほどの大きさの型が必要とされるかは決まっていない。

これには投資と既存設備の問題が大きい。リョービが発表した投資額は50億円と簡単に投資できない。また、国内や欧州メーカーは3000tクラスの成形機を多く持つため、これらを有効活用したいと考えるためだ。
もう一つが金型の運搬が難しいこと。道路交通法では国内で100t近くなる金型を運ぶには様々な手続きがある。
ただ、3500tのマシンで7000tサイズ成形品が造形できる低圧鋳造技術や、FSW(摩擦拡散接合)を活用し、従来部品を接合して大型化する技術なども発表されている。いずれにしても、ギガキャストの動向から目が離せない。
金型新聞 2023年12月10日
関連記事
多くの製造現場がDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を認識する一方で、DX導入に苦労している企業や製造現場も少なくない。そうした中、「製造DXソリューションカンパニー」を掲げるKMC(川崎市高津区)は、工作機…
デジタル技術の進化で、相次いで登場する新技術。次世代の匠はそれらの技術を金型づくりにどのように活かしているのか。また、それら能力を習得するには、どのようなスキルや育成が必要なのか。本特集では、様々ある新技術の中でも、次世…
DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。 電極の測定プログラム自動作成 精密プラスチック金型を…
▶︎▶︎採用目指す動き広がる ▶︎▶︎金沢大学古本達明教授に聞く 金属3Dプリンタの未来「将来不可欠なツールに」 ▶︎▶︎事例①日産自動車 ダイカスト部品で活用探る ▶︎▶︎事例②J・3D ハイブリッド構造でコスト抑制 …


