金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

13

新聞購読のお申込み

【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】1.ギガキャスト

一体鋳造の流れ加速

「ギガキャスト」は今年最も注目を浴びたワードの一つ。定義は明確に決まっていないが、6000tを超える型締め力(1万6000tも発表されている)のダイカストマシンで複数の部品を一体成形する技術だ。

トヨタ自動車が今夏にギガキャストに着手すると発表して以降、リョービも6500tのマシン導入を決定するなど、金型業界でも注目を集めた。金型にとって影響が小さくないからだ。トヨタ自動車が発表した部品では、86部品33工程だったものを1部品1工程にできるため、金型点数の減少も懸念されている。

トヨタ自動車が発表したギガキャストで成形したリア部品(右)と従来品(左)

こうしたギガキャストに対応する動きも出始めている。新潟の米谷製作所と共和工業はギガ向け金型を共同開発すると発表した。ギガ向けの金型づくりを開始している。

一方、まだ明確に方向が固まっていないのも現実。テスラや中国のEVメーカーでは1万tクラスで、車全体を一体成形する動きがある。しかし、トヨタ自動車は3分割する方式を発表しているおり、実際にどれほどの大きさの型が必要とされるかは決まっていない。

吉利汽車が7200tのギガプレスで成形したリア部品

これには投資と既存設備の問題が大きい。リョービが発表した投資額は50億円と簡単に投資できない。また、国内や欧州メーカーは3000tクラスの成形機を多く持つため、これらを有効活用したいと考えるためだ。

もう一つが金型の運搬が難しいこと。道路交通法では国内で100t近くなる金型を運ぶには様々な手続きがある。

ただ、3500tのマシンで7000tサイズ成形品が造形できる低圧鋳造技術や、FSW(摩擦拡散接合)を活用し、従来部品を接合して大型化する技術なども発表されている。いずれにしても、ギガキャストの動向から目が離せない。

金型新聞 2023年12月10日

関連記事

新規参入目立つ微細精密加工向け機械・工具 成長分野で需要拡大【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】

金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…

KOEI TOOL SKD61相当材の冷却水管【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

ダイカスト市場に参入 「始まりはプラスチック成形向けの3D冷却水管だった」と話すのはKOEI TOOL(旧ケイプラスモールドジャパン、今年4月に社名変更)のAM課の石井陽部長。同社は日本、シンガポール、マレーシア、ベトナ…

電動系、車体系部品へ事業拡大【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車の電動化が金型に及ぼす影響は大きい。エンジンなどの減少が懸念される一方、軽量化ニーズでアルミの採用が期待されるなどダイカスト金型は変化を迫られている。では電動化でダイカストはどう変わっていくのか。昨秋のダイカスト展…

【特集】匠の技を手に入れろ

金型はこれまで、金型職人の頭の中で製品形状や金型設計を描き、経験やノウハウで調整し、製造してきた。そして金型の「匠」の技は「背中」を見て学ぶもので、習熟への時間はとても長かった。しかし近年では、工作機械やCAD/CAMと…

リーダーの条件[part1] 経営のカリスマが心掛けていること

サイベックコーポレーション 顧問 平林 健吾氏  1944年生まれ、長野県出身。工作機械メーカー、プレス部品メーカーを経て、73年に信友工業(現サイベックコーポレーション)を設立。2009年顧問。18年旭日単光章を受賞。…

トピックス

関連サイト