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「金属3Dプリンタの匠」三光合成

デジタル技術の進化で、相次いで登場する新技術。次世代の匠はそれらの技術を金型づくりにどのように活かしているのか。また、それら能力を習得するには、どのようなスキルや育成が必要なのか。本特集では、様々ある新技術の中でも、次世代の金型づくりで注目されている「自動化」、「金属3Dプリンタ」、「5軸加工」で、匠の技を持つ金型メーカーにその活用術やノウハウを聞いた。

三光合成「幅広い解析と分析力」

自由な水管配置や高いガス抜き効果など様々な機能を付与できることで、金型づくりにも徐々に採用が広がる金属3Dプリンタ。金属を除去していく切削加工とは異なり、金属を積層していく加工なため、これまでのものづくりに対する考え方や、アプローチの手法とは異なる可能性が高い。では、そこで必要とされる技術や考え方は何か。長年、金属3Dプリンタで金型を作り続けている三光合成の満嶋敏雄専務に、金属3Dプリンタの活用で必要になる「匠の技」について聞いた。

ユーザーに最適な提案する能力 〜分業体制で各分野の人材育成〜

8年前に松浦機械製作所の金属3Dプリンタ「LUMEX」を導入し、350型以上のプラスチック金型を造形してきました。最近では500㎜角の大型サイズの金型も作っています。金属 3Dプリンタの金型づくりで、今後重要になると思う技術や能力は、機械の使い方などに加え、解析技術とその結果に基づいて最適な判断を下し、提案する能力でしょうか。

例えば、金属3Dプリンタの利点として言われる自由に配置できる水管。自由度が高い一方、ワークから最適な距離に配置しなければ、ピンホールや割れが発生する場合があり、水漏れのリスク回避のため、多くの造形結果や失敗から解析を行い、安全率を明確にしました。

ガス抜き効果が得られるポーラス(多孔質)形状を造形できるのも金属3Dプリンタの利点です。昨年、型の表面にポーラス形状を造形し、型の内側を空洞化するという特殊な構造で特許を取得しました(写真)。ガスが固形化せずに、気体のまま排出できるので、高いガス抜き効果が得られ、50万ショットでメンテナンスが不要だった金型もあるほどです。ここでも解析によって最適な位置と構造を決定しました。

他にも、冷却穴の流量を安定化させることも重要です。これまでの経験から、穴径がφ3以下だと、水管を流体研磨し、冷却水による錆を進行させないことで、通常の金型と同じようにメンテナンスできるようになることが分かりました。

いずれの場合でも、解析技術は重要になります。しかも、一つではなく、流動、冷却、反りなど幅広い解析能力が必要です。当社では現在、3人の解析の専任者がいますが、もっと増やそうと考えています。

ユーザーに最適な提案をする能力も重要です。まだ粉末材料が高価で、製造コスト自体も高くなるので、生産性やリスクを総合的に判断し、金属3Dプリンタによる金型が最適かどうかを考えなければなりません。現状では実際のところ、コストや機能を考えると、金属3Dプリンタで作る金型は全体の2割弱程度です。

現在、こうした能力を持つ技術者を育成している最中です。ただ、解析や機械の使い方、メンテナンスを考慮する設計など、金属3Dプリンタによる金型づくりでは、求められる能力は広く深く、一人ですべてを学ぶことは難しいのが実情です。だから、一人に全てを任せるのではなく、分業体制でそれぞれの分野に必要な人材を育成する考えです。

金属3Dプリンタによる金型づくりでは、様々な技術やノウハウが必要だと話してきましたが、作っているものは金型です。だから、金型の機能や構造を熟知することはこれからも変わらず重要だと思います。

金型新聞 2022年2月10日

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