金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

23

新聞購読のお申込み

黒田製作所 工場新設、大型成形機導入 【特集:進む設備の大型化】

大型金型の需要に対応

プラスチック金型を手掛ける黒田製作所(岐阜県羽島郡岐南町、058・247・7423)は自動車向けの大型プラスチック金型に対応するため、本社そばに新工場を立ち上げ、UBEマシナリーの大型射出成形機「3000emⅡ」を導入した。投資額は約5億円で、自動車のEV化や部品の一体化、セット取りなどプラスチック金型の大型化に対応することで、新規需要の開拓を図る。

導入した大型射出成形機「3000emⅡ」は型締力3000t、タイバー間隔2050×1900、型盤寸法3200×2500の2プラテン式射出成形機で、省スペース化、省エネ、高速化を図るなどカーボンニュートラルに貢献し、作業性やメンテナンス性にも優れている。

UBEマシナリーの大型射出成形機「3000emⅡ」

社内トライで玉成まで円滑に

同社はこれまで130~1600tのトライ用射出成形機を持ち、3000tクラスの大型金型を手掛けた実績もあるが、顧客先でトライする必要があるなど課題があった。「今後は自動車のEV化や部品の一体化、セット取りなど大型金型の需要が伸びる」と黒田昌彦社長。大型射出成形機を導入したことでトライ領域を拡大し、社内で大型金型の玉成が可能になり、量産までの立ち上げもスムーズに移行できることは大きな強みとなる。

さらに、立ち上げた新工場に従来のトライ用射出成形機を集約。工場内物流の効率化を進め、トライセンターとして小型~大型まで幅広く対応していく考えだ。すでにサイドステップといった自動車の外装部品やドアパネルなど内装部品の引き合いも出ており、「これまで海外との取引実績はなかったが、大型射出成形機を導入したことで、海外の一部から引き合いも来ており、本格的に海外市場の開拓を検討していきたい」と大型需要への期待感を示す。

小型〜大型まで幅広く対応できる

加えて、「大型射出成形機を導入したことは物流の2024年問題への対応にもなる」と黒田社長は指摘する。物流問題で遠方への金型の運送は難しくなる可能性があり、遠方の顧客先でトライし、一旦金型を戻して修正することは非常に難しい。「そういう意味でも社内トライできることは大きい」と話す。同社は金型を年間約500型製作できる生産能力を有しており、小型~大型まで幅広く対応できることを強みに新たな需要の取り込みを目指す。

会社概要

  • 本社:岐阜県羽島郡岐南町伏屋9‐138
  • 電話:058‐247‐7423
  • 代表者:黒田昌彦社長
  • 創立:1975年
  • 従業員数:150人
  • 事業内容:各種プラスチック用の射出成形金型設計・製作

金型新聞 2024年3月10日

関連記事

ニチダイ 古屋氏が代表権のない会長に

ニチダイは4月1日付けで代表取締役会長の古屋元伸氏を代表権のない取締役会長とする人事を発表した。コーポレートガバナンスの強化を図るためとしている。 金型新聞 2022年4月10日

守りから攻めへ<br>ー本紙金型メーカーアンケートー

守りから攻めへ
ー本紙金型メーカーアンケートー

生産性向上や技術開発 守りから攻めの設備投資に転じる金型メーカーが増えている。日本工作機械工業会によると、金型メーカー向けの受注額の4―9月期累計は前年度比で4割超増加した。これまでの買い控えの反動や、補助金や減税などの…

フタバ産業 超ハイテンを冷間で量産【特集:プレス加工最前線】

自動車のボデー部品や排気系部品など手掛けるフタバ産業は1470MPa超ハイテン材の冷間プレス部品の量産を確立、今年1月に発売した新型プリウスに採用された。先代プリウスはホットスタンプを用いた部品を採用していたが、冷間プレ…

【特集:技能レス5大テーマ】3.研削加工

誰でも高精度な研削 金型づくりで欠かせない研削加工。仕上げに近い工程のため、熟練技能を必要とする領域は多い。しかし近年、長年培った経験やノウハウを持っていなくても高精度の研削加工ができる機械や装置などが登場している。人手…

ヤマシタワークス ひょうごオンリーワン企業に認定

薬剤金型など高度な技術 薬剤用の金型や鏡面磨き装置を手掛けるヤマシタワークス(兵庫県尼崎市、06-4868-8477)はこのほど、兵庫県から2021年度「ひょうごオンリーワン企業」の認定を受けた。 同賞は兵庫県が世界に飛…

トピックス

関連サイト