金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

18

新聞購読のお申込み

関東製作所 渡邉社長インタビュー 【特集:営業ってどうする?】

デジタルマーケティングで見込客を獲得

近年は国内の金型市場が縮小しており、いかに新規開拓を行うかが大きな課題となっており、効率良く営業活動を展開するための仕組みやシステムの構築も求められる。年間の新規引き合い件数500件を超える関東製作所はデジタルマーケティングを取り入れ、新たな顧客開拓に乗り出した。同社の渡邉社長に今後の営業活動や人材について話を伺った。

関東製作所 渡邉章社長

金型メーカーの営業について。

これまで金型メーカーの営業活動は量産メーカーを訪問し金型を受注していたが、発注するタイミングでなければ注文がもらえず、新規開拓時もすでに発注先があったり、価格交渉など不効率な側面も多かった。そこで営業の仕事を細分化し、受注獲得までの工程で、見込客を見つけるまでをマーケティングが担当し、実受注につなげる活動を営業に分け、引き合いを得るための手段としてデジタルマーケティングに力を入れた。

どんな仕組みですか。

まずは展示会やセミナーで得た名刺をもとに、MAツールを活用したメルマガ配信(自動配信)、コーポレートサイト、ソリューションサイト、オウンドメディアなど様々なコンテンツを設け、ユーザーからのアクセスを促し、何に関心を示しているかなどニーズを掴んだ上で顧客とコンタクトを取る手法を採用した。

その効果は。

これまで新規開拓は数年に一度の確率だったが、現在は年間500件の新規引き合いが来ており、受注につながる確率は5%ほどだ。直近はSEO対策で上位検索されるようになり、月間セッション数は5万(ユーザーの訪問回数)と大手メーカーをはじめ、様々なユーザーから問合せが来るようになった。

デジタルマーケティングで重要なことは。

自分たちの強みを表現しないと効果は薄い。金型メーカーなら超精密加工や短納期などPRポイントがある。または、東北エリアで同じ強みを持つ金型メーカーがないなどエリア戦略も有り得る。

今後の取り組みは。

今年からCRMツール(顧客管理)を導入し、情報の一元化や生成AIで有力な見込客を見極め、自動でメルマガ配信など角度の高い顧客へのヒット率を高める。さらに、ソフトウェアを活用し、受注までの営業の工程をサポートする仕組み(見積もり依頼や問合せする日をソフトウェアが指示)も構築していく。

人材育成では。

最終的に受注につなげるのは人であり、専門技術が必要。当社では成形技術者や生産準備担当者を営業に抜擢した。現場の人は話下手も多いが、デジタルでサポートしながら、知識やノウハウが求められる部分に注力できる環境を整えることが重要だと思う。

金型新聞 2024年5月10日

関連記事

【金型応援隊】太陽テクニカ ダメ元でも相談を

一桁ミクロンの加工精度 「マシニングで出せない精度の穴加工は、是非任せてほしい」と語るのは、長年ジグボーラー加工やジグ研削加工に携わってきた、太陽テクニカの大畠正陽社長。同社は、航空・宇宙産業の部品から工作機械の主要精密…

次代の人材確保するため、地域を巻き込んで金型の魅力感じてもらう 上田幸司氏(明星金属工業 代表取締役社長)【鳥瞰蟻瞰】

日本の金型の未来を担う人材。それは今、危機的状況を迎えています。少子化が進み、就職する学生の数が減り続けている。当社のある大阪府でも特に公立工業高校で定員割れが相次ぎ、数年後にも数校が廃校します。もの作りに興味を持つ高卒…

コアコンセプトテクノロジー CTO 田口紀成氏に聞く
〜DXがなぜ必要か〜

 あらゆる業界で叫ばれているDX(デジタルトランスフォーメーション)。各企業には、デジタル技術を使い、ビジネスモデルや組織、働き方など会社そのものの構造を大きく変えていくことが求められている。金型業界も例外ではない。次代…

人が集まる場づくりを<br>金型工業会東部支部 鈴木 教義支部長(鈴木 社長)

人が集まる場づくりを
金型工業会東部支部 鈴木 教義支部長(鈴木 社長)

この人に聞く 金型の社会的価値訴え  「日本の金型業界にとって今は変化の時期だが、チャンスでもある」と話すのは、日本金型工業会の東部支部長に就いた鈴木の鈴木教義社長。好機なのは、金型の高度化が進み日本のメーカーしかできな…

【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】4.AM活用の広がり

多様な活用方法や機器の進化 金属AMによる金型づくりが徐々に広がりを見せており、活用事例が増えている。金属AMの活用は、従来の金型づくりに付加価値をつけ、他社との差別化を図るための手段として有効。今後ギガキャストで、金属…

トピックス

関連サイト