未来拓く技術を提案 JIMTOF2016で注目を集めた金型や精密部品に関連する最新の加工技術が一堂に集まるUMモールドフェア。今回は新型の5軸加工機や金属3Dプリンタをはじめ、IoT(モノのインターネット)の活用技術が…
北米市場で連携促す 松岡寛高氏(七宝金型工業社長)【この人に聞く】
ダイカスト金型メーカーの七宝金型工業・松岡寛高社長はアメリカ、カナダ、メキシコの北米市場の開拓に向けて、金型メーカーが手を取り合い、設備、技術、営業活動でサポートし合うパートナーシップを進めている。同社は2015年にメキシコに工場を建設。日系や欧米メーカー、現地ローカル企業の開拓を図ってきたが、広大な国土や商習慣の違い、中国など海外との競争など1社で展開する難しさを感じる。松岡社長は「日本の金型メーカー同士が横のつながりを強化し、連携し合えれば、北米市場の開拓も可能性がある」と語る。その思いを聞いた。

横のつながりを強化
連携を模索する背景は。
2015年にメキシコへ進出したが、北米市場は低価格な中国の金型メーカーに押され気味で、価格、納期、ギガキャストなど大型需要に対し、1社だけで対応するのは難しいと感じたが、数社でサポートし合うことができれば、対応できることも増える。
どのような連携を。
当社にはメキシコ工場があり、北米でアメリカの金型メーカーや北米に進出する日系金型メーカー、現地メーカーとも連携し、北米で様々なサービス拡充を図っている。金型のビジネスは顧客のそばに工場(拠点)がある方が有利。連携することで金型の修理やメンテナンスを連携先へ委託することや、自社とは異なる型種の話が来ても連携先に相談できるなど、設備、技術、営業面で互いの情報や強みを共有し、様々な需要、ニーズに対応できる。海外の金型メーカーは企業規模や資金力を持ち、技術強化も図っている。対抗するには日本の金型メーカーが一致団結することが必要だ。
そのメリットは。
昨今、日本の金型市場は低迷しており、今後も減少する可能性がある。打開するには新たな市場を切り拓くしかない。北米は日系だけでなく、欧米やローカル企業が存在する魅力的な市場。これまで日本の金型メーカーは顧客が海外展開すると、同じく顧客のそばへ海外進出していたが、現地の欧米企業やローカル企業の開拓に積極的ではなかった。その市場を中国など海外企業に奪われているが、彼らには現地工場がない。金型は製作だけでなく、アフターサービスも重要であり、日本の企業同士が連携すれば、新市場の開拓もできる。
課題となるのは。
企業連携はいかにWIN‐WINの関係を構築できるかが重要。当社もメキシコ市場で営業活動も行っており、連携先の代わりに営業することもできる。だが、金型には各社特有のノウハウがあり、技術面では互いに信頼し合える関係でなければ成立しない。当社と異なるサイズや型種など各社の得意分野、技術、設備、人材を持ち寄り、総合的に活かすことで、北米という大きな市場を一緒に開拓していきたい。
金型新聞 2024年6月10日
関連記事
トーヨーエイテック(広島県南区、082-252-5212)が今年2月に発表したアルミのプレス金型用DLCコーティング「TOYO Arc‐DLC」。高硬度で強固に密着するため、軟質で融点の低いアルミをプレス加工しても金型に…
デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)。金型でもその重要性は誰もが認めるところ。しかし、金型づくりでは、人が介在する部分が多かったり、デジタル化を進めづらかっ…
金型の大型化ニーズが進んでいる。電気自動車の開発や環境規制により車の軽量化を図るため、大型部品のアルミ化や樹脂化、超高張力鋼板の採用が増加しているからだ。工作機械メーカーの中でも、金型の動向から大型加工機に注力し始めて…
ロットに応じ金型を安く 低廉化金型を開発 自動車部品などのダイカスト金型を手掛ける魚岸精機工業は、ロット数に合わせて、金型の価格を安くする「低廉化金型」の開発に成功した。ある金型では従来に比べて最大45%安くなるという。…


