金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

24

新聞購読のお申込み

J‐MAX 山﨑英次社長に聞く 電動化サプライヤーへの道【特集:プレス加工の未来】

自動車の電動化(EV化)に伴い、ものづくりも大きな変革期を迎えている。従来のエンジン車には搭載されなかった電動化部品の需要が高まり、新規需要の取り込みが部品メーカー各社の大きな課題となっている。その中、ハイテン材加工の車体骨格プレス部品を得意とするJ-MAX(岐阜県大垣市)は中期経営計画を見直した。電動化サプライヤーへの転換を目指し、バッテリーやモーター関連部品の技術開発の取り組みを一段と強化している。今後の方向性を山﨑英次社長に聞いた。

J‐MAX 山﨑英次社長

中国で市場開拓を強化

直近の状況は。

当社の拠点は日本、タイ、中国にあり、特に中国は著しく電動化が進んでいる。当社も電動化市場の獲得を目指し、先行投資を行ったことで、中国CATLとの取引も始まり、2020年から量産を開始した。一早く電動化に取り組んだことで取引量も増えている。

どのような部品を。

EV車用バッテリーケース(バッテリーモジュールを収納するためのケース)やバッテリーの膨張抑制や衝突保護の役割を持つ拘束体、電池の熱を制御する冷却装置などだ。拘束体は高強度が求められる部品。培ってきた超ハイテン技術を活かし、成形した部品で電池セルを挟み込み、熱膨張を抑える仕組みになっている。バッテリーケースも従来設備では難しく、中国でプレス機など設備投資を実行した。今後は冷却装置やモータコア関連部品の開発も注力する。

金型のニーズは。

中国の電池メーカーは開発スピードが速く、型開発において短納期化が大きな課題だ。従来のボディ部品は1~2年かけ試作・設変を繰り返し、仕上げていくものだが、電池関連は受注から3カ月で量産されるため、従来の考えでは対応できない。大型化など顧客要求も高まっており、対応能力を高めていきたい。

電動化の市場性は。

EV車はエンジン車に比べ値段が高く、インフラや充電時間も課題だが、中国ではPHEV車がEV車並みに伸びており、FCEV車の開発にも力を入れ始めた。この流れは日本含めグローバルで進展する可能性がある。中国市場で電動化サプライヤーとしての領域拡大と需要を獲得できれば、日本・アジアほか世界の電動車向け部品の需要を取り込めるチャンスが生まれると考えている。

今後の取り組みは。

中国で培った電動化に関する技術を日本へ移植し、需要の獲得を図る。そのために事業構造改革を進めている。電動化が加速する中国のエンジン車向け事業は縮小するかもしれないが、少ない売上でも利益を出せる体制に変え、国内工場も工場間輸送を極力廃し、利益体質強化など再編計画を練っているところだ。引き続き、エンジン車向け事業は維持しつつ、電動化領域の拡大と構造改革を2本柱に据え注力する。

日本のモノづくり企業に求められることは。

中国の金型技術やデジタル化は急速に進化している。匠の技と呼ばれる熟練技能も僅差になっており、ライバルは日系企業ではなく中国企業と言える。その競争下で勝っていくには日系同士の競争ではなく共創が必要。自動車メーカーもそうした動きが顕著であり、日系企業の連携、協業が求められている時代だ。

金型新聞 2024年10月10日

関連記事

【特集:技能レス5大テーマ】3.研削加工

誰でも高精度な研削 金型づくりで欠かせない研削加工。仕上げに近い工程のため、熟練技能を必要とする領域は多い。しかし近年、長年培った経験やノウハウを持っていなくても高精度の研削加工ができる機械や装置などが登場している。人手…

前澤金型と福井県工業技術センターは金属AMを活用してどんな金型を開発したのか

金型や部品の造形で金属AMを活用する際、必ず指摘されるのがコスト。装置の価格はもとより、粉末材料が高価なことに加え、設計や解析などに多くの工数が発生するため、どうしても製造コストは高くなる。一方で、高い冷却効果による生産…

日本金型工業会・山中雅仁会長に聞く 「稼ぐ力」高める4つの軸とは?

取引適正化の活動継続 今年の通常総会で、日本金型工業会が山中体制になって2年目を迎える。就任以来「稼ぐ力」の強化を訴えてきた山中会長はこのほど、稼ぐ力を鍛えるために4つの軸を設定した。「価格決定力」、「市場拡大の施策の推…

冨士ダイス 西嶋守男社長に聞く<br>世界で認知されるブランドに

冨士ダイス 西嶋守男社長に聞く
世界で認知されるブランドに

生産効率向上し、需要増に対応  耐摩耗工具メーカーとして国内トップシェアを誇る冨士ダイス。超硬合金製のダイスやロール、製缶用金型、ガラスレンズ成形用金型など耐摩耗工具に特化した事業を展開し、来年には創業70年を迎える。「…

金型産業の未来・トヨタ自動車<br>高見 達朗氏に聞く

金型産業の未来・トヨタ自動車
高見 達朗氏に聞く

粗形材改革の〝要〟 孫の代まで続く金型産業 「金型は、常に進化させながら孫の代まで延々と続く重要産業」――トヨタ自動車ユニット生技領域長、常務理事高見達朗氏はこのほど、日本の金型産業について熱く語った。日本産機新聞の自動…

トピックス

関連サイト