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日本精機 SKD61粉末材で400㎜超サイズの造形に成功
日本精機(名古屋市守山区、052・736・0611)はこれまで大型サイズの造形が難しいとされてきたSKD61の粉末材で、400㎜超サイズのワークの造形に成功した。ソディックと共同開発した金属3Dプリンタを活用した。これまでより面積で約4倍、体積で約6倍の大型サイズを造形できるようになったことで、提案の幅を広げるほか、将来はギガキャスト向け金型の入れ子での採用を目指す。
ソディックとプリンタ共同開発
造形したワーク(写真)は横413㎜×縦120㎜×高さ177㎜サイズのウォータージャケット用の金型で、2個同時造形した。すでに自動車メーカーへの採用も決定している。材料は大同特殊鋼が開発したSKD61の粉末材「HTC」を採用。同材料は熱伝導性に優れるなどの特性を持つ一方、造形が難しく「弊社では240㎜角程度までしか造形できなかった」(松原雅人常務)という。
この造形を可能にしたのはソディックと共同開発した金属3Dプリンタ「LPM450」の特殊仕様機。同機種は450㎜サイズの造形が可能で、オプションで4本のレーザーが搭載できるなど大型に特化している。

日本精機では造形が難しいHTCに特化し、品質保証を重視していることから、同社の知見やアイデアを盛り込み共同で作り込んだ。特に、品質を保証するためメルトプール(溶融金属が溜まる部分)のリアルタイムモニタリング装置や、造形表面の温度を計測できる装置などを搭載。また、装置だけでなく、大陽日酸が提供する機内の酸素濃度を安定化させる装置を採用するなど、「要望を全て盛り込んだ」(松原常務)という。
同社は3年前から金属3Dプリンタを活用した入れ子の製作に着手し、すでに600個以上の造形実績を持つ。これまでも、大型の要望が強かったほか、海外ではギガキャストで多くの3Dプリンタ入れ子が採用されていることから、ソディックなど複数のパートナー企業と大型対応の開発を進めていた。

日本精機の松原常務は「SKD61粉末材での大型金属積層造形には課題は多い。今後も残留応力試験と解析を繰り返し、割れない設計と造形条件を探求していく。同時に、極限まで酸素と水分濃度を低減するなど造形室内雰囲気環境の最適化に注力する。これを実現させ、高機能・長寿命・省メンテな型を設計領域から提案いきたい」としている。
金型新聞 2024年11月10日
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