高速通信規格「5G」の社会実装が本格化することで、金型にはどんな影響があるのか。また、どんな金型技術が求められるようになるのか。日本情報技術産業協会(JEITA)や先進企業などへの取材を通じ、今後の方向性を探る。 目次P…
【特集:2024年 金型加工技術5大ニュース】5.自動化
多品種少量の金型を加工
2024年、金型づくりにおける自動化の技術で最も革新的だったのは、多品種少量の金型を自動で切削加工する技術ではないだろうか。形状も大きさも数量も異なる金型の部品を無人運転で加工する。人手不足に直面する日本の金型業界にとって課題解消に一歩近づく技術だ。
その一つが、マシニングセンタとパレットチェンジャー、ロボットによる自動化システム。ロボットがワークを載せたパレットをMCにセットし、粗加工した後、機上でワークの形状を測定、金型図面と比較し、その誤差を補正するため仕上げ加工し完成させる。高精度な金型向けMCであれば、精密な金型にも対応し、この一連の流れを繰り返し人が介せず加工し続ける。

操作しやすい加工ソフトウェアやオペレーションシステム、自動で芯出しする機能など自動化を支える周辺技術が充実していることも自動化を後押ししている。工作機械の操作や工具や段取りの経験が浅い人でも簡単な操作で経験者と同じレベルの仕事ができる。
こうした加工の自動化技術は中国などの金型工場ではかねて導入されてるという。その理由は熟練技能者が少なかったことと大量の生産力をつけるためだ。最近は日本の小規模な金型メーカーにも注目されている。人手不足の解消と、時間をより付加価値の高い仕事に使うためだ。次代を生き抜くうえで必要な技術の一つといえる。
金型新聞 2024年12月10日
関連記事
切削は高速、研削は高効率 超硬合金を金型材料として使う動きが広がりつつある。これまでは長寿命化などのメリットはあるが、加工しづらいことがボトルネックとなり、一部の金型でしか利用されていなかった。しかし近年、切削加工がで…
大型金型の需要に対応 プラスチック金型を手掛ける黒田製作所(岐阜県羽島郡岐南町、058・247・7423)は自動車向けの大型プラスチック金型に対応するため、本社そばに新工場を立ち上げ、UBEマシナリーの大型射出成形機「3…
自動車のプレス金型を手掛ける明星金属工業は、工場のエア効率化や照明のLED化などにより16年間でCO2排出量を18・5%削減した。カーボンニュートラルへの取り組みを推進する上田幸司社長は「CO2削減に取り組むことで無駄な…
ゼロベースで知恵絞る 得意な分野で連携を 顧客の生産技術をサポート 日本金型工業会の学術顧問を務める、日本工業大学大学院の横田悦二郎教授は、日本のプレス金型の強みを「他の型種に比べ、技術の蓄積が生かせる部分が大きい」と…