金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

24

新聞購読のお申込み

南海モルディ 新型プランジャーシステム開発

成形不良を防ぎ、製品寿命4倍向上

南海モルディ(大阪府堺市堺区、072・233・1525)は、ダイカスト成形用の新型プランジャーシステム「MOHF(モフ)」を開発した。従来比で約4倍(同社調べ)の製品寿命を実現。カジリや溶損などの課題を解消し、歩留まり向上やランニングコストの低減も見込む。製品寿命を高めただけでなく、同社の技術力を随所に活かした新システムでダイカスト成形の生産性向上を提案する。

このほど開発した「MOHF」は、アルミ溶湯を流し込むスリーブと、チップで構成される。従来は、スリーブの熱変形による「バナナ現象」や、チップの頭下がりによる焼き付き(カジリ)などの問題が多く、部品交換の頻度が高かった。

MOHFのチップ(左)とスリーブ(右)

MOHFでは、チップ表面とスリーブ内側に特殊表面処理を採用することで、潤滑油の油膜量が向上。摩耗や焼き付きのリスクを低減する。

チップ先端には日邦産業が開発した特殊耐熱樹脂「M-TEN」を鉢巻き状に装着。成形時の熱膨張を利用して部品間の隙間を埋め、カジリの抑制に加え、真空引きによるガス混入防止と歩留まり向上も実現した。

金型側の湯道部分にも特殊表面処理を施し、断熱性を高めアルミの温度低下を防止。射出精度を向上させることで湯じわのリスクも低減する。

溶湯注入部直下の高温領域には、特殊合金の肉盛り皮膜を施して耐久性を強化して、直下部分の溶損を防ぐ。

表面処理のみ、樹脂のみ、あるいは両方を組み合わせるカスタマイズも可能で、ユーザーの仕様に応じた設計に対応する。現在ではφ180㎜のサイズで型締め力2250㌧までの導入実績があり、既に10社で導入が進んでいる。

開発を担当した山口唯之技術主任は、「金型や金型材料は日進月歩で進化する一方で、プランジャーの基本構造は何十年も変わらず課題も一切解決されてこなかった。壊れることが前提とされていたこれまでのシステムを見直すために開発した今回の製品でダイカスト成形の生産性向上を訴求していきたい」と語る。

同社では今後、ギガキャストの台頭による金型の大型化への対応も視野に入れ、さらなる事業領域の拡大を図る考え。

金型しんぶん2025年11月10日号

関連記事

ユニオンツール 超硬や硬脆材の荒加工向け多刃仕様エンドミルを発売

ユニオンツールはこのほど、ダイヤモンドコーティングを採用した、多刃仕様のロングネックラジアスエンドミル「UDCRRS」を発売した。自動車やコネクタ関連で増えている超硬合金の荒加工に適している。 独自開発のUDCダイヤモン…

パンチ工業 金型用粉末合金を開発

 道工技センターと共同研究 パンチ工業(東京都品川区、03-6893-8007)が、金型用粉末合金の開発に取り組み始めた。今年6月、北海道立工業技術センター(道工技センター、北海道函館市)と共同研究契約を締結。同センター…

刃先交換エンドミルに
ダイジェット工業

高硬度材用インサート  ダイジェット工業(大阪市平野区、06・6791・6781)は、刃先交換式ボールエンドミル「ミラーボール」に高硬度材加工用インサート「TSインサート」を追加し発売した。  加工時の発熱を抑えるため、…

電動化3種の神器に挑む
〜生産現場を訪ねて〜 ニシムラ(愛知県豊田市)

特集  次世代車で変わる駆動部品の金型(バッテリー、モータ、電子部品)  「自動車向けの金型を手掛ける企業は今後、バッテリー、モータ、電子部品、この3部品に携わっていないと生き残れない時代になる」と話すのはプレ…

面取り工具を発売
三菱日立ツール

高硬度鋼に対応  三菱日立ツール(東京都墨田区、03-6890-5101)はこのほど、高硬度鋼加工に対応した面取り工具「DN2HC‐ATH」を発売した。NCによる自動機械加工を可能にし、手作業時間を低減する。  「ATH…

トピックス

関連サイト