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マツダ モーションキャプチャーとARで匠の技を短期間で習得
自動車メーカーのマツダが、モーションキャプチャーと拡張現実(AR)の技術を金型溶接の技能指導に活かしている。肉盛り溶接するときの匠の手や身体の動きを見える化し、それとの差異を把握し、シミュレータによる訓練で正す。効果的に改善サイクルを回せる環境をつくり、匠の技を短期間で次代に伝承できるようにしている。

技能者がつけたゴーグルの画面に金型とトーチ、溶接棒のバーチャル画像が映る。左右の手のコントローラを操作するとリアルに近い感覚で金型の肉盛り溶接を体験できる。操作が正しいと緑色のマークが現れ、誤ると赤色のマークが警告する。ARシミュレータによる溶接技能訓練の様子だ。
操作の良否判定の基準は『匠の体の使い方』。匠と呼ばれる熟練技能者が39個のマーカーをつけたボディスーツを着て、溶接するときの頭や手、身体の動きを8台のカメラで測定。その結果からトーチと溶接棒の動かし方や筋活動量を導き出した。
そこから分かったのは、匠は体幹の筋活動量が大きく、トーチを持つ手の筋活動量は小さいということ。すなわち体幹を効率良く使って身体をコントロールし、トーチを持つ手の筋力の負荷を小さくすることで作業の安定性を維持している。

ツーリング製作部ツーリング技術グループの須賀実氏は「技能者はそれぞれモーションキャプチャーで自らの身体の動きを理解したうえで訓練する。作業を誤った原因を、匠の動きと重ね合わせて探る。それを繰り返すことで匠の技を習得できる」と話す。
モーションキャプチャーによる技能訓練は、金型の研削で確立したノウハウと経験を応用した。ただ、研削と同じように実習訓練の中では匠との身体の差異を評価しにくい。溶接は研削と比べて身体の動きが小さく、また火花の発光で手元の動きを正確に捉えにくいためだ。

そこで、手元の動きを捉えやすく光の影響の無いARシミュレータを活用した。市販のシステムを用い、操作の良否判定にモーションキャプチャーで導いた基準値を設定。課題もストレートビードに加え、 形状多層盛り、切刃盛りなど金型で用いる技法も追加した。
この技能指導は2024年4月から運用を始めた。同グループの佐伯千春氏は「巣や欠肉を減らすなど訓練を通じて技能者の習熟度は高まっている」。加えて「ARによる訓練のため煙や光による身体への影響もなく、訓練用の資材や器具のコストも削減できた」。

金型しんぶん2025年7月10日号
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