金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

27

新聞購読のお申込み

【新春特別インタビュー③】黒田製作所社長・黒田 昌彦氏「つくれる領域広げ、特異性のある会社作り」

つくれる領域を広げる 顧客ニーズに応えたい 特異性のある会社作り 〜金型の大型化に対応〜

 1970年生まれ、岐阜県岐阜市出身。大阪経済法科大学法学部卒、金融機関に勤務後、1996年に黒田製作所に入社し、製造部仕上課に配属。2002年管理部部長、05年専務取締役を経て、07年代表取締役社長に就任し現在に至る。好きな言葉は「継続は力なり」。

 自動車は電動や自動化など、「100年に1度の大変革」と言われている。当然、自動車部品も変化している。例えば、スイッチ部品はタッチパネル化し、当社の得意なスピーカーグリルはドアトリムと一体化するなど、部品の大型化や一体化が進んでいる。さらに、ドアでも1枚取りからセット取りなど生産性向上へのニーズも強い。

 その中で当社は30tから1600tまでのプラスチック金型を製作する設備を持ち、自動車の機能部品から内外装部品まで、あらゆる自動車用の金型に対応してきた。唯一お客様のニーズに応えられなかったのが3000tの超大型の金型。当社の創業者である黒田隆会長のモットーは「お客様のニーズは断らない」であり、出来なかった領域に進もうと思った。

 金型の領域を広げることに強いこだわりがあり、4型より10型獲得できる体制をどう構築するか。そのために、九州や東北の企業とパートナーシップを組み、自社100%製作でなく、パートナーと協業して、型数やアフターフォローを協力し合う関係を構築した。中国工場などグローバルネットワーク強化も同じ。金型業界は10年前に比べると事業所数が減少し、後継者不足など厳しい環境が続いている。そうなると誰が日本の金型を担うのか。30tから3000tまで領域を広げることで競争力強化につながると思っている。

 だが、「挑戦しよう」と言っても簡単ではない。3000tの金型を作るにはトライ用大型成形機を含め多額投資が必要で、長期展望を持って取り組まないといけない。また、当社の平均年齢は34歳と若く、超大型の金型を製作するために必要な経験面で不安も残る。

 少し話を変えて、当社は異色な面を持っている。会長も私も金融機関出身で文系の大学卒と数字へのこだわりが強い。会長も「数字に弱いやつは経営できない」と日頃から厳しく、若い頃は数字への質問に即答できないと怒られることも多かった。それは他社にない長所で、経営者が経営に集中し、現場の技術者が伸び伸びと働ける環境を作ってきた。だから、徹夜した社員に対する差し入れなど気遣いも大切にしている。社員教育も充実させ、来年は教育の一環でファイナンシャルプランナーを交えたお金の授業やライフプランを考え、社員が安心して働けるようにバックアップしていく。

 2019年の令和元年と共に会社のロゴマークから制服まで刷新した。平成最終日、社員を前にCAD/CAM導入や3D設計、海外進出など、時代の変化で、当社が歩んできた道を説明した。今後も挑戦しながら変化する。目標は『Always Be A Challenger』。若い会社であることは将来の希望でもある。社員と共に、お客様が満足してくれる金型を作っていこう。

金型新聞 2021年1月20日

関連記事

J-MAX 新工場建設や船活用でCO2削減【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

自動車の大型プレス用金型及び部品を製造するJ‐MAX。特に、ハイテン材・超ハイテン材用の金型で高い技術を有し強みを発揮している。「2030年度までに、CO2排出量を2013年度比半減、50年度にはカーボンニュートラル実現…

【金型応援隊】ジーシステム 改善重ね導き出した生産システム

多台持ちで生産効率化 ジーシステムはプレス金型用プレートなどの研磨加工を手掛ける。車の電動化や5Gの広がりを背景に電子部品向けの需要が拡大している。於保信一郎社長は、「さらに効率化して生産性を高め、需要に応えていきたい」…

キューシボ 出力1200Wの大型レーザーで金型補修【金型応援隊】

金型のレーザー肉盛り溶接を手掛けるキューシボは、出力1200ワットのファイバーレーザー溶接機を導入した。金型に加え、産業用タービン(ロータ)などの肉盛り溶接も始める考えだ。 導入したのは独アルファレーザー社の「ALFla…

―スペシャリスト―愛知製鋼<br>電極製作や手仕上げ省く

―スペシャリスト―愛知製鋼
電極製作や手仕上げ省く

熱間鍛造金型を直彫り トヨタグループ唯一の素材メーカーである愛知製鋼は、特殊鋼に加えて、自動車のエンジンや足回り部分に使用する鍛造部品も手掛けている。「月間1万型を生産、消費する」という金型部門では、高い品質と生産性を実…

平和電機 工業用ヒーターの技術集団[金型応援隊]

射出成形機や押出成形機、各種金型に欠かせないもの、それは工業用ヒーターだ。バンドヒーターやマイクロシーズヒーター、カートリッジヒーターなど工業用ヒーターを手掛ける平和電機は長年培ってきたノウハウを活かし、顧客の課題解決に…

関連サイト