金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

17

新聞購読のお申込み

【新春特別インタビュー④】ツバメックス代表取締役・多田羅 晋由氏「緩やかな連携が進む、経営者は思考の変革を」

もっと広義な意味に 緩やかな連携が進む 経営者は思考の変革を 〜M&A・企業連携〜

 1959年生まれ、大阪府出身。82年サンスター技研に入社、2005年同社代表取締役、19年2月ツバメックス代表取締役に就任し、現在に至る。サンスターグループでは、数件のM&Aを手掛けた。また、オランダでMBA(経営学修士)を取得したほか、シンガポールやスイスに駐在するなど、豊富な海外経験も持つ。

 金型メーカーを取り巻く事業環境の変化は年々激しさを増しています。そうした中でも企業価値を向上させ、持続的な成長を目指していくためには他社との連携、統合、協業が重要になると考えています。ツバメックスも2019年にサンスターグループの傘下に入りました。

 サンスターグループでは、ハミガキやハブラシだけでなく、接着材やオートバイのディスクブレーキ、スプロケットギアなども生産しています。これまでこうした製品の金型は全てグループ外からの調達でした。金型技術を取り込むことで設計力やコスト競争力の向上が期待できる。そう考え、M&Aを実施しました。

 ツバメックスとしても、これまで無かったサンスターグループの仕事が受注でき、まだ2年ほどですが、すでにシナジーは生まれています。今後は両社の技術を融合し、システムやユニットでの受注、ツバメックス独自の製品なども開発していくつもりです。

 一方で、今後のM&Aは、直訳の「合併と買収」ではなく、「緩やかな連携」といった、もっと広義な意味になると考えています。必ずしも資本の提携ではない連携や統合、協業が新しいM&Aの形になるとみています。

 この「緩やかな連携」には、大きく3つのテーマがあります。一つが、「シェアリング・ファシリティ=施設(設備)の共有」。金型メーカーはどこも受注の山谷があります。互いの設備を共有し、遊休設備を有効に活用できれば、受注の平準化につながるはずです。また、数千万円~数億円という高額な設備を全て自前で保有するのは負担が大きい。共有することで、こうした負担も軽減させることができます。

 もう一つが、「コネクテッド・ファクトリー=工場の連携」。金型メーカー同士の“水平型統合”によって規模の拡大を図るのも一つですし、我々のように川下企業と川上企業が連携する“垂直統合型”もその一つです。こうした連携によって、お互いの悩みが解決でき、システムやモジュールといった一つのソリューションで提供することもできるようになります。

 そして最後が、「ダイナミック・ケイパビリティ=企業変革力の強化」です。現在、あらゆる産業でIoTやクラウドなどのICT(情報通信技術)を活用した「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の必要性が叫ばれています。金型業界もこうした技術を活用し、地域連携を進めることで、市場の変化に対応する力を付けることが可能です。

 ツバメックスでは、地元の金型メーカー数社と連携を進めています。クラウド上に3次元設計データを上げ、仕事のやり取りを行う仕組みを構築しています。

 こうしたテーマを進めていくには、人財の強化が不可欠です。従業員のレベルアップもそうですが、経営者自身も考え方を変えないといけません。今まで以上に視野を広げ、視点を高く持つことが今後の金型メーカーの経営者には求められるのではないでしょうか。

金型新聞 2021年1月10日

関連記事

久野功雄氏

【プレス型特集】
久野金属工業 久野 功雄専務に聞く
飽き性を夢中にさせたプレス金型の魅力

自動車を中心に高精度かつ複雑形状な部品の開発、金型製造、量産まで手掛ける久野金属工業。EVなど次世代自動車の部品を生産する一方、ITを活用した改善活動など社内改革も積極的に行っている。その改革を推進してきたのが入社19年…

日本金型工業会 事務局長 川田 明美さん(58)
〜ひと〜

会員の声をカタチにしたい  昨年、金型メーカーで働く女性が現場の課題などを話し合った「かながた小町」を企画した。金型メーカー約420社が参加する日本金型工業会の行事の多くは経営者やマネジメント層が対象。「金型メーカーで働…

日型工業 金型技術ライセンスを供与 知財戦略でビジネスモデル変える【金型の底力】

金型を売り切るだけでなく、金型技術を活かし、収益をどう安定化させるかー。金型メーカーにとって普遍的な課題だ。鋳造型を手掛ける日型工業は独自技術を他社にライセンス供与し、収益化につなげている。「多くの人に使ってもらうことで…

日本金型工業会 商品企画開発力WGリーダー 打田尚道氏に聞く【特集:日本金型工業会第14回定時総会】

ニーズとシーズをつなぐ仕組み 製造業では、顧客のニーズを捉え、自社が保有する技術やシーズを確認し、実現できる企画案を考えます。企画を実現する上で、技術が不足する場合は技術開発し、商品が完成します。ワーキンググループ(WG…

【この人に聞く】三井精機工業社長・加藤欣一氏「”高精度”生かし、金型加工に適した機械を提供」

三井精機工業(埼玉県川島町、049-297-5555)が、金型分野に注力している。今春、新型の微細加工機と、ジグ研削盤を発売。今後需要の拡大が期待される電気自動車(EV)や電子部品関連の金型加工向けを中心に売り込んでいく…

トピックス

関連サイト