研究開発が新たな道 リーマン・ショック以降需要が回復しているものの、これがいつまで続くのか。自動車の電気化やインターネットの技術革新が産業構造にどんな影響を及ぼすのか。それが、日本の金型メーカーの多くの経営者が抱く未来…
【インタビュー】新栄工業代表取締役社長・中村新一氏 「M&Aは事業領域の拡大や技術の強化につなげることができる」
プレス加工メーカーの新栄工業(千葉市花見川区、043-258-2310)は2019年末に、プレス金型メーカーのアポロ工業(埼玉県吉川市)を資本提携によってグループ化した。「M&Aは事業領域の拡大や技術の強化につなげることができ、今後も積極的に実施していきたい」と話す中村新一社長に実際の取り組みやM&Aのメリットなどを聞いた。

なかむら・しんいち
1975年生まれ、千葉県出身。高校在学中からバンド活動などを行い、2005年新栄工業に入社。14年社長、20年アポロ工業社長に就任し、現在に至る
アポロ工業をグループ化した理由は。
金型技術を強化したかったからだ。当社は元々プレス専業メーカーだったが、私が入社した07年に金型部門を立ち上げた。修理や一部内製を行っていたのだが、技術レベルには課題を感じており、3~4年ほど前から金型メーカーのM&Aを検討し始めていた。
どのように見つけたか。
地元の事業引継ぎ支援センターや銀行で探したが、条件に合う企業を見つけることができなかった。そこでM&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」に登録したところ、ちょうど後継者不在でM&Aを検討していたアポロ工業と出会うことができた。
M&Aを実施し、取り組んだことは。
組織図の見直しや就業規則の明確化などに取り組んだ。企業理念や行動指針を再定義し、それに合わせて会社ロゴや作業服も一新した。また、アポロ工業の全従業員と面談し、積極的にコミュニケーションを図った。
なぜ、そうした取り組みを進めたのか。
勤務体制、安全や品質に対する考え方、勤務習慣など、両社には当然の違いがある。互いの良さを引き出し、シナジー効果を最大化するためには、こうした違いを徐々に合わせていく必要があると考えたからだ。
M&Aのメリットは。
一つは事業領域の拡大だ。例えば、アポロ工業はEV向けの金型なども手掛けており、新栄工業にとってはこれまでに無い分野の受注獲得につながる。また、商圏の拡大も期待できる。自前で拠点を出すのは大変だが、地場企業をグループ化することで、営業エリアの拡大も可能だ。
その他には。
技術者の育成と技能継承にもつながる。仕事があふれていた昔と違い、今は一人ひとりの働く時間も限られており、技術者を育てる余裕がなくなっている。M&Aによって、ある程度の企業規模まで拡大し、育成体制を整えることで、優れた技術を次代に残せるようになるはずだ。
今後の展開は。
あと数社ほどをグループ化し、ホールディングス企業を目指したい。試作から板金、塑性加工、最終製品まで一貫生産できる体制を整え、当グループに図面を投げれば見積もりが出てくるというのが理想だ。そして、若い人が憧れるような企業を目指したい。
金型新聞 2021年4月10日
関連記事
産業用ガスメーカーの大陽日酸はガスの高い知見を武器に金属AMによる金型づくりを提案している。海外製の金属AM装置販売のほか、粉末の管理、シールドガスによる水分や酸素濃度の管理、造形ノウハウまでトータルでサポートするのが特…
「扱い切る」ことが重要 「CAD/CAMを取り扱うのは、あくまで人。だから、CAD/CAMを扱い切れる人材から育てる必要がある」と語るのは、GENIO Solutionsの渡邉康二社長。同社は、海外メーカーのCAD/CA…
新しい市場ニーズに対応 ダイカストマシンメーカーのヒシヌママシナリー(埼玉県嵐山町、0493・62・3311)は昨年11月、菱沼慎介常務が社長に就任した。同社はマシンだけでなく、自動化装置や金型温調機などの周辺装置も含め…
産業用高圧ポンプや高圧クーラントユニットの製造、販売を手掛けるトクピ製作所は、超高圧クーラントユニットの製造に注力している。 「HIPRECO」は、最大30Mpaの水圧で刃先からクーラント液を噴射。切屑を細かく分断、排出…


