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【特集】どうする、金型人材の確保と育成
日本工業大学 専門職大学院 専任教授 小田恭市氏

 労働人口の減少、後継者や熟練技能者の不足など、「人」に関する課題は、あらゆる金型企業にとって共通のテーマだろう。業務のIT化や新興国の台頭、EVシフトによる自動車産業の変革など金型産業を取り巻く環境が大きく変化する中、金型企業に求められる人材も変わりつつある。次代を担う人材をいかに確保し、育成していくべきなのか。日本工業大学専門職大学院の小田恭市教授に聞いた。

「中核的人材」が不可欠

 1952年生まれ、山口県出身。76年民間シンクタンク入社、97年シンクタンクを創業し、中小企業の活性化計画・実現事業などに携わってきた。2005年から日本工業大学専門職大学院専任教授。「中小企業の成長とイノベーション」、「ネットワーク型新事業創造論」などを担当する。

確保は社長の魅力次第

現在の金型業界の変化をどう捉えているか。

 金型企業では設計・製作業務のIT化と省人化が進んでいる。また、新興国メーカーの台頭によって、Q・C・D(品質、費用、納期)を追求する、いわゆる「普通金型」の需要は日本国内では減少気味だ。その反面、これまであまり見られなかった新たな成形品のニーズに対応した高付加価値金型への対応が課題となっている。こうした付加価値の高い新たな金型需要を取り込むためには、「中核的人材」の存在が不可欠になると感じている。

「中核的人材」とは。

 成形・素材・金型の技術的知識、自社の経営実態・戦略などを踏まえ、顧客ニーズに対応した金型の構想が提案できる人材のことだ。技術と経営の両面から新規受注案件を考えて、仕事を創造できる人材こそが「中核的人材」といえる。今後の金型企業には、こうした人材をいかに確保、育成するかが課題となってくると考える。

そうした人材を確保するためには何が必要か。

 金型企業に限らず多くの中小企業に言えることだが、人材確保は「社長の魅力次第」ということ。中小企業は、社長のイメージがそのまま会社のイメージにつながることが多く、強い発信力が社長に無いと会社に人材が集まりにくいようだ。だからこそ、社長は色んな場に顔を出すとか、パブリシティを積極的に進めるとか、ウェブを活用するとか、様々な形で自分の魅力や志を発信していくことが重要だ。

「やる気」を引き出す

育成で必要なことは。

 本人の「やる気」をいかに引き出すかだろう。本人の「やる気」が無ければ、いくら教えても身に付かないし、逆に「やる気」があれば、こちらから教えなくても自ら考え、学んでいく。その「やる気」を引き出すために重要なのが動機付けだ。例えば、本人が顧客の要求に何とか応えたいという意識を強める、経営幹部社員として自社の成長に関心を持たせ、権限移譲するのも一つだろう。ある程度、権限とそれに伴う責任を与えることが、「やる気」につながる。

 今後の金型企業に求められることは。 これからの時代、社長一人の力で会社経営していくには限界がある。社長は幹部社員とともに経営マネジメントを学び、社長と幹部社員が知識や価値観を共有し、一体となって経営戦略・戦術を考え、実行できる集団を形成することも今後の成長には必要だ。本学にも、経営者や幹部社員などが数年計画で技術経営を学びに来られる中小企業も多く見受けられる。

金型新聞 2021年4月10日

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