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【金型テクノラボ】倉敷機械 AI活用による金型・加工見積の自動化

金型・部品加工の見積作成における最大の課題は、相応の専門知識がないと見積作成が困難であるという点だ。そのため、熟練者の経験への依存度が高く、さらに加工業者間での金額差異の問題も発生している。これらの課題に対して、半自動化や、AI機械学習などによって、解決する技術を紹介する。

フィーチャー認識による半自動設計と加工時間の算出

システムの流れ

金型・加工見積システム「MYPAC ESTIMATE」における、フィーチャー認識による半自動化設計の技術について紹介する。3DモデルのCADデータから形状を認識させることで、製品を作成するための様々な情報を読み取ることができる。

樹脂型の場合であれば、キャビコア、スライド、傾斜コア部分の認識、電極加工や入れ子を分割する必要性などの認識が可能。プレス型であれば、曲げ・抜き・絞り箇所を認識し、ストリップレイアウトを自動で作成できる。型設計を半自動的に行い、プレート構造と部品配置、加工時間を算出して見積りを作成する。(システムの流れは、図1参照)

部品加工に関しては、加工方向の選定、段取り工数の算出や、加工領域の認識を行う。また、面の色による加工方法、加工精度の認識も可能。また、マシニングセンタ以外にも、ワイヤ放電加工機や形彫り放電加工機、平面研削盤などでも同様に加工工数を算出することができる。

これらの技術によって、3Dのモデル形状があれば、特別な専門知識がない作業者でも半自動的に見積作成までを行うことが可能となる。

AI機械学習による見積最適化

補正結果グラフ

金型設計、加工における各社内のノウハウは、テンプレート化されていないのが現状で、現場での急な設計変更などは経験による補正が行われるのが常態となっている。また、部品加工では、加工技術の向上、新素材の開発、工具・工作機械の進化、加工の効率化といった革新が日々進行しており、これらを常に見積作成のプロセスに取り込んでいくのは難しい。

こうした現状から、見積作成のプロセスにおいては「人間の様なさじ加減」によって、見積作成結果を補正する機能が最適と考えられる。そこで当社では、AIによって過去の実績から機械学習を行わせることで、見積金額を補完する方法を考案した。

数十点の見積サンプルがあれば、数値の入力だけで、見積りの算出値のバラつきを機械学習によって自動的に補正し、理想的な見積分布に近づけ、相関的に正しい値に補正することができる。(図2の補正結果グラフを参照)

理想では100点ほどのサンプルでの学習が望ましいが、30~40点ほどのサンプルでも、かなりの補正効果がある。この補正値と比べて、極端にズレのある計算結果については、特異なデータとして考え、補正は行われない。こうしたデータをチェックすることで、見積内容の評価を行うこともできる。

今回、「MYPAC ESTIMATE」で行っているフィーチャー認識での半自動化およびAI機械学習の事例について紹介したが、金型・加工見積作成の業務については冒頭でも言及したように、専門知識の壁が厚く、これまでシステム化が半ば放棄されていた。しかしながら、フィーチャー認識とAI技術は、未だ進化を続けている技術分野であり、前述した専門知識をシステムに取り込む技術についてもまだ改善の余地があると考えている。今後の技術進展によってはさらにユーザーライクに進化し、「限りなく自動に近い処理で、かつ現実に即した見積生成システム」が生まれることも大いに期待できると考えている。

倉敷機械

  • 情報機器部 情報機器営業課
  • 鈴木 邦生(Suzuki Kunio) 氏
  • 東京都中央区日本橋室町4-2-16 楠和日本橋ビル3階
  • TEL:03-6758-7903

金型新聞 2021年5月14日

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