受注拡大、相互補完を目指す 丸順の連結子会社・広州丸順汽車配件が中国四川省の金型メーカー成都普什汽車摸具と中国市場における金型及び自動車部品に関する戦略的業務提携契約を締結する。 市場拡大が続く中国自動車市場において、金…
【金型の底力】ファスト 自動化システムでICトレー金型を増産
ロボット活用の自動化システム
ICトレー金型を増産
プラスチック金型メーカーのファストは昨年、福島県相馬市に半導体製造工程で集積回路(IC)の搬送や出荷などに使用するICトレーの金型を増産するための新工場を設立した。ロボットなどを活用した自動化システムを導入し、作業者個人の能力に依存しない生産性の高い生産体制を構築している。生産能力を強化し、今後の需要増加に対応する。
5Gの普及や自動車の電動化などによって、半導体の需要が高まる中、その製造に不可欠なICトレーの需要も増加。グループ企業にICトレーメーカーを持ち、その金型を手掛けるファストでもここ数年で受注が増加している。5年前と比べるとICトレー用金型の売上は約1.3倍に伸びた。「年々需要が増加しており、来年度には現状の売上からさらに倍増させることを目指している」(齋藤利仁社長)。
この需要増加に対応するために、これまで生産していた本社工場(群馬県太田市)に加え、約4億5000万円をかけて新工場を建設した。新工場には、ワークの取り出しや供給を自動で行うロボットとマシニングセンタ(MC)4台を接続した金型生産システムを設備。連続無人加工を可能にし、生産能力を従来の2倍に向上させた。
ロボットの他、高精度な無人加工を実現するために様々な技術を導入している。MCには機上測定を搭載。ワークや工具の計測、自動補正を可能にした。また、サイズが異なるワークにも対応できる特殊な治具システムを採用。経験の少ない作業者でも高精度なクランプが可能で、段取り工数を削減できる。
CAMシステムでもオペレータ個人の能力に依存しないシステムを目指した。メーカーと共同で開発したCAMシステムは、過去に製作した金型の加工データから似た形状のデータを呼び出すことで、簡単に新しい加工データを作成することができる。
加えて、使用工具の選定や、工具とワークの干渉チェックなども自動で行うことが可能。これまで5日ほどかかっていた加工データの作成時間は、2日まで短縮した。
「ICトレー用金型は、入れ子のサイズがほとんど変わらないので、こうしたCAMシステムが実現できた」(齋藤社長)。今後は人工知能(AI)を活用し、加工データの作成もある程度自動化させていくことを目指すという。
将来的には、こうして作り上げた新工場の生産システム自体を海外に輸出しグローバルで生産できる体制を構築していく考え。「技術者を一から育成するのは、国内でも難しい。高度な技能を必要としない生産システムを構築することで、今後拡大する需要に対応していきたい」(齋藤社長)。
- 本社 : 群馬県太田市吉沢町608-4
- 電話 : 0276-36-1555
- 代表者 : 齋藤利仁社長
- 創 業: 1960年
- 従業員 : 41人
- 事業内容: プラスチック金型の設計・製作、NCフライス加工、三次元モデル製作など
Q.人材育成で何に取り組んでいますか
多能工化
多能工化に取り組んでいる。工程間での負荷のばらつきが生じた際に、人員をシフトできるためだ。今後、ICトレー用金型は需要の増加が予測されるため、より生産効率の高い体制を整えないといけない。相馬工場では、設計、機械加工、検査の工程間でジョブローテーションを行い、各工程の技能を身に付けさせている(齋藤利仁社長)。
金型新聞 2021年6月10日
関連記事
特殊な型内積層技術を開発 電動車を始め次世代車で採用が増えるモータ。脱炭素の観点からも、その効率化は欠かせない。その一つとして注目を集めるのが、磁気特性の高いアモルファス箔を採用したモータコア。金型からプレスまで一貫して…
金型材で困りごとは? 11月まで 大同特殊鋼は8月から日本全国の金型メーカーらを対象としたアンケート調査を実施する。金型材の使用状況や、困りごとなどをヒアリングし、材料開発につなげる。 本紙発刊の「金型工場名鑑」のデータ…
DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。 IoT×特許で価値創造 繁閑の波が激しい中で、いかに…
豊実精工が開発した完全クロムフリーの「ERIN被膜」が注目を集めている。防錆・耐摩耗セラミックコーティングで、空隙のない緻密な薄膜(2μm±1μm)だ。 被膜硬度はHv1000~1200で、耐摩耗性はDLCの2倍、硬質ク…