金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JANUARY

19

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】牧野フライス製作所プロジェクト営業部スペシャリスト・山本英彦氏「日本メーカーの力が持続可能な社会の実現には必要」

大事なのは、自信を持つこと
日本メーカーの力が
持続可能な社会の実現には必要

1983年に牧野フライス製作所に入社してから、海外畑を歩んできました。キャリア当初は、アメリカ向け立形マシニングセンタや放電加工機の営業支援を担当し、90年代前半と2000年代前半の2度にわたって、アメリカ現地法人に駐在しました。現在は、これまでの海外経験を生かし、国内営業のサポートを行っています。

金型については、アメリカ時代に理解を深めました。当時、実務担当として、日系ユーザーを訪問していたのですが、そこでは単に機械の販売やメンテナンスだけでなく、外注先の紹介や資材調達のサポートなども求められました。

こうした要求に応えるために、現地メーカーとの関係を深め、独自のネットワークを構築していきました。現地メーカーとの交流を通じ、産業構造から金型の作り方や考え方、前後工程の重要性、使われる素材や工具などを学ぶことができました。

そこで気付いたのは、日米間では金型における考え方に大きな違いがあるということです。そもそも使われる素材や工具が違うため、作り方や考え方が異なるのは当然なのですが、アメリカを始め欧米の人たちは、「金型=量産のツール」という考えを日本以上に強く持っていると感じました。

それは、日本では金型単独で事業を形成している企業が多いのに対し、欧米では金型と量産がセットになっている場合が多いことが背景にあると考えています。量産まで考慮できるからこそ、「金型を使って生まれたものに価値がある」という考え方で、金型も合理的かつ効率的に製造できるのだと思います。

ただ、だからといって日本の金型が劣っているかというと決してそうではありません。むしろ、ばらつきの少ない高品質な金型を製造できる日本の技術力は世界でも特に優位性が高いと考えています。

現在、世界各国で取り組みが進む「SDGs(持続可能な開発目標)」。その中でも「環境負荷の低減」が大きなテーマとなっています。環境配慮のキーワードの一つに「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」という考え方がありますが、特に「リデュース(減らす)」は、日本の強みが発揮できる分野だと思います。

ばらつきが少なければ、それだけ無駄を減らすことができますし、日本の製造業に根付く「改善」という文化は、まさに無駄を減らす活動です。こうした日本メーカーが本来持っている強みを活かし、営業活動ができれば、今後も新たな需要を掘り起こしていけるのではないでしょうか。

最近では、欧米など日本以外で営業を展開している日本の金型メーカーも増えてきました。それは、日本の金型が世界中でまだまだ需要があるということの表れです。だからこそ、日本の金型メーカーには、まず自社の良さや強みを認識し、自信を持ってもらいたいと思います。当社としては、今後も金型メーカーのパートナーとして最大限のサポートを提供していくつもりです。

金型新聞 2021年6月10日

関連記事

新しい価値の金型を
キヤノンモールド 斎藤憲久社長に聞く

 キヤノンモールドが発足したのが2007年。前身のイガリモールドとキヤノンの金型部門で伝承されてきた技能や最新技術など互いの得意分野の融合を図ってきた。「新しい価値を生み出す金型メーカーを目指したい」と語る、昨年4月に同…

この人に聞く
MACHICOCO 戸屋加代 代表

 製造業のネット活用は新規顧客や新分野の開拓、知名度向上など様々な方面で大きな効果を上げている。金型メーカーにとっても例外ではない。ただ、その効果は限定的で、ホームページ(HP)を作っても大きな効果を得られていない企業も…

この人に聞く2015<br>天青会(金型工業会東部支部)<br>小泉 秀樹会長(ペッカー精工社長)

この人に聞く2015
天青会(金型工業会東部支部)
小泉 秀樹会長(ペッカー精工社長)

金型以外にも視野 原点から新たな発見  日本金型工業会東部支部天青会の会長に今年5月、就任した。「原点に立ち返って、色々な視点から根本を見直せるような活動をしていく」と今年度のテーマに「原点回帰」を掲げる。  天青会に入…

情報収集や課題解決の場に 砥粒加工学会 会長インタビュー

今年3月、研削や研磨など砥粒加工技術の振興、発展を目的とした活動を行う砥粒加工学会の会長に就任した清水大介氏(牧野フライス精機社長)。金型メーカーに対して、「生産現場に直結した技術の発信を行う砥粒加工学会を情報収集や、加…

【この人に聞く】ハスキー統括部長・千葉紀久氏「ホットランナの市場拡大を」

ホットランナの市場拡大を  今年、日本法人設立30周年を迎えたハスキー(東京都町田市、042-788-1190)。プリフォーム射出成形システムの世界最大手でありながら、ホットランナメーカーとしての側面も持つ。日本では20…

トピックス

関連サイト