金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

10

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】牧野フライス製作所プロジェクト営業部スペシャリスト・山本英彦氏「日本メーカーの力が持続可能な社会の実現には必要」

大事なのは、自信を持つこと
日本メーカーの力が
持続可能な社会の実現には必要

1983年に牧野フライス製作所に入社してから、海外畑を歩んできました。キャリア当初は、アメリカ向け立形マシニングセンタや放電加工機の営業支援を担当し、90年代前半と2000年代前半の2度にわたって、アメリカ現地法人に駐在しました。現在は、これまでの海外経験を生かし、国内営業のサポートを行っています。

金型については、アメリカ時代に理解を深めました。当時、実務担当として、日系ユーザーを訪問していたのですが、そこでは単に機械の販売やメンテナンスだけでなく、外注先の紹介や資材調達のサポートなども求められました。

こうした要求に応えるために、現地メーカーとの関係を深め、独自のネットワークを構築していきました。現地メーカーとの交流を通じ、産業構造から金型の作り方や考え方、前後工程の重要性、使われる素材や工具などを学ぶことができました。

そこで気付いたのは、日米間では金型における考え方に大きな違いがあるということです。そもそも使われる素材や工具が違うため、作り方や考え方が異なるのは当然なのですが、アメリカを始め欧米の人たちは、「金型=量産のツール」という考えを日本以上に強く持っていると感じました。

それは、日本では金型単独で事業を形成している企業が多いのに対し、欧米では金型と量産がセットになっている場合が多いことが背景にあると考えています。量産まで考慮できるからこそ、「金型を使って生まれたものに価値がある」という考え方で、金型も合理的かつ効率的に製造できるのだと思います。

ただ、だからといって日本の金型が劣っているかというと決してそうではありません。むしろ、ばらつきの少ない高品質な金型を製造できる日本の技術力は世界でも特に優位性が高いと考えています。

現在、世界各国で取り組みが進む「SDGs(持続可能な開発目標)」。その中でも「環境負荷の低減」が大きなテーマとなっています。環境配慮のキーワードの一つに「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」という考え方がありますが、特に「リデュース(減らす)」は、日本の強みが発揮できる分野だと思います。

ばらつきが少なければ、それだけ無駄を減らすことができますし、日本の製造業に根付く「改善」という文化は、まさに無駄を減らす活動です。こうした日本メーカーが本来持っている強みを活かし、営業活動ができれば、今後も新たな需要を掘り起こしていけるのではないでしょうか。

最近では、欧米など日本以外で営業を展開している日本の金型メーカーも増えてきました。それは、日本の金型が世界中でまだまだ需要があるということの表れです。だからこそ、日本の金型メーカーには、まず自社の良さや強みを認識し、自信を持ってもらいたいと思います。当社としては、今後も金型メーカーのパートナーとして最大限のサポートを提供していくつもりです。

金型新聞 2021年6月10日

関連記事

元本田技研工業 田岡秀樹氏に聞く【特集:自動車金型の未来】

電動化に3つの方向性 電動化やギガキャストで変わる自動車づくり。元本田技研工業で型技術協会の会長も務めた田岡秀樹氏は「自動車業界はゲームチェンジの局面を迎えており、破壊的なイノベーションが起きている」とみる。一方で「中小…

アルファミラージュ 低価格内視鏡を金型分野に拡販【金型応援隊】

比重計の製作やスチームクリーナーなど各種機器・器材の販売を手掛けるアルファーミラージュ(大阪市都島区、06-6924-2631)はこのたび低価格工業用内視鏡「MRA‐28W」と「MRT‐40TH」の販売を開始した。 「M…

電動系、車体系部品へ事業拡大【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車の電動化が金型に及ぼす影響は大きい。エンジンなどの減少が懸念される一方、軽量化ニーズでアルミの採用が期待されるなどダイカスト金型は変化を迫られている。では電動化でダイカストはどう変わっていくのか。昨秋のダイカスト展…

【インタビュー】テラスレーザー常務・齋藤祐司氏「高品質・低価格で金型補修」

 テラスレーザー(静岡市駿河区、054-270-7798)は、2019年に設立された金型補修用レーザー溶接機メーカー。高品質でありながら低価格を実現し、独自技術を活かしたユーザビリティの高い製品を提供する。「『直す』とい…

立形5軸MCによる自動化を提案 高橋章氏(安田工業 営業本部国内営業部 部長)【この人に聞く】

EV金型を高精度加工、自動化提案や技術向上に力 安田工業はこのほど、立形5軸マシニングセンタ(MC)の新機種「YBM Vi50」を発表した。立形5軸MCの中型機で、EV(電気自動車)部品の金型を高精度、高能率に加工できる…

トピックス

関連サイト