金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

25

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】三条市立大学学長・アハメド シャハリアル氏 「創造性豊かなテクノロジスト」の育成を

技術とその価値を理解し
市場を創る人を育成
企業と共に未来考える場に

三条市立大学は、4月に開学した、技術とマネジメントに特化した一学部一学科で「創造性豊かなテクノロジスト」の育成を目的としています。その定義は、技術が生み出す価値を理解し、新たな市場を創り出すことができる人材です。そうしたイノベーションを起こしてこれからの高度なモノづくりをリードする人材を育成するとともに、地域の企業と一緒になって、持続的な成長を考えることが我々の役割だと考えています。

本学は、前市長の國定勇人氏と市の総合計画を議論する中から生まれました。三条市はものづくり技術の集積地として広く知られていますが、他地域と同様に技術者の育成や人材流出が課題でした。これは本当に根深い問題です。

これを解決するには、これまでと同じ教育で単に技術者を育成するだけでは困難です。特に今の日本の教育システムでは難しい。というのも、日本の大学は特定分野を追究する研究者の育成がメインであり、地域が求める人材を育成できていなかったからです。時間はかかりますが、地域の中小企業に必要な人材を育てることこそが、地域の持続的な成長につながるのではないでしょうか。

では中小企業に必要な人材はどんな人なのか。金型を例に考えましょう、金型の本質的な機能は量産のための道具で、金型メーカーが求めるのは、型をうまく早く精度よく作ることができる技術者です。

しかし、それだけでは不十分です。金型技術を使って生み出される価値は何か、市場はどこにあるのかと考える人材も重要です。まさにそれが「創造性豊かなテクノロジスト」なのです。その育成のために、技術だけでなく、ものづくりへの考え方、学び続けることの大切さなどを教えることが重要だと考えています。また、職人が持つ技術を数値化し、技能伝承につなげることなども「創造性豊かなテクノロジスト」の役割でしょう。

日本の中小企業には、残念ながらこうした人材が少なかった。なぜなら、これまで、言われたものを作るだけでよい時代が長かったからです。しかし、今後は、技術を理解し、未来を見通せる人材が中小企業にも必要になります。採用や人材育成にも関係してくるからです。

一般的に大企業が就職先として人気がある理由の一つは、安定や安心という未来が見えているからです。中小企業であっても、今作っている部品が将来も必要なのか。この事業はサスティナブルか。こうした未来を提示できなければ、優秀な人材は入ってきませんし、育ちません。

「創造性豊かなテクノロジスト」の育成だけでなく、大学自身も同じような存在でありたいと思っています。例えば、金型メーカーさんに集まって頂き、みなさんの声を聞いたり、議論をしたり。その声をもとに研究開発の支援や、サスティナブルな成長を一緒に考えたいと思います。先が見通しづらい時代ですが、トンネルの先のかすかな光を示せる存在になりたいですね。

金型新聞 2021年7月10日

関連記事

ポートフォリオを再構築 畠山英之氏(キヤノンモールド社長)【この人に聞く】

「金型づくりへのパッションが強い」—。今年4月、キヤノンモールドの社長に就いた畠山英之氏が抱いた同社への第一印象だ。その情熱を武器に、超精密金型など同社でしかできない型づくりを進める一方、海外拡大や外販強化など「事業ポー…

黒田精工 黒田浩史社長「電動化の波捉え、 成長」

黒田精工(川崎市幸区、044・555・3800)は今年、創業100周年を迎えた。ゲージ製造から始まり、金型、研削盤、ボールねじへと事業を展開してきた同社。金型は戦後間もない1946年から製造を開始し、今に至る。近年は電動…

鳥羽工産 甦れ!往年の名車たち【金型の底力】

「コロナ禍で航空機など需要が落ち込み、試作車市場も変化している」と語ったのは鳥羽工産の傍島聖雄社長。同社は金型製作(プレスや射出成形)から量産(少ロット)まで一貫生産体制を強みに、これまで自動車の試作型や試作車の製作、航…

大型設備導入で生産体制強化 永井製作所が目指す新規開拓【金型の底力】

弱電部品やライフサイエンス部品、自動車部品など幅広い業種のプレス用金型を手掛ける永井製作所。ここ数年、積極的な設備投資を進め、生産体制の強化に取り組んでいる。昨年には事業再構築補助金を活用し、約1億円をかけてマシニングセ…

差別化できる設備投資、従来とは違う戦い方で次世代につないでいく 中村稔氏(日新精機社長)【鳥瞰蟻瞰】

当社は創業から50年間、冷間圧造金型一本で事業を続けてきました。しかし、10年後も同じように事業を続けていられるかというと、そうは考えていません。今ある仕事は相当減っていると思います。感覚的な予測になりますが、だいたい3…

トピックス

関連サイト