金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

02

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】三条市立大学学長・アハメド シャハリアル氏 「創造性豊かなテクノロジスト」の育成を

技術とその価値を理解し
市場を創る人を育成
企業と共に未来考える場に

三条市立大学は、4月に開学した、技術とマネジメントに特化した一学部一学科で「創造性豊かなテクノロジスト」の育成を目的としています。その定義は、技術が生み出す価値を理解し、新たな市場を創り出すことができる人材です。そうしたイノベーションを起こしてこれからの高度なモノづくりをリードする人材を育成するとともに、地域の企業と一緒になって、持続的な成長を考えることが我々の役割だと考えています。

本学は、前市長の國定勇人氏と市の総合計画を議論する中から生まれました。三条市はものづくり技術の集積地として広く知られていますが、他地域と同様に技術者の育成や人材流出が課題でした。これは本当に根深い問題です。

これを解決するには、これまでと同じ教育で単に技術者を育成するだけでは困難です。特に今の日本の教育システムでは難しい。というのも、日本の大学は特定分野を追究する研究者の育成がメインであり、地域が求める人材を育成できていなかったからです。時間はかかりますが、地域の中小企業に必要な人材を育てることこそが、地域の持続的な成長につながるのではないでしょうか。

では中小企業に必要な人材はどんな人なのか。金型を例に考えましょう、金型の本質的な機能は量産のための道具で、金型メーカーが求めるのは、型をうまく早く精度よく作ることができる技術者です。

しかし、それだけでは不十分です。金型技術を使って生み出される価値は何か、市場はどこにあるのかと考える人材も重要です。まさにそれが「創造性豊かなテクノロジスト」なのです。その育成のために、技術だけでなく、ものづくりへの考え方、学び続けることの大切さなどを教えることが重要だと考えています。また、職人が持つ技術を数値化し、技能伝承につなげることなども「創造性豊かなテクノロジスト」の役割でしょう。

日本の中小企業には、残念ながらこうした人材が少なかった。なぜなら、これまで、言われたものを作るだけでよい時代が長かったからです。しかし、今後は、技術を理解し、未来を見通せる人材が中小企業にも必要になります。採用や人材育成にも関係してくるからです。

一般的に大企業が就職先として人気がある理由の一つは、安定や安心という未来が見えているからです。中小企業であっても、今作っている部品が将来も必要なのか。この事業はサスティナブルか。こうした未来を提示できなければ、優秀な人材は入ってきませんし、育ちません。

「創造性豊かなテクノロジスト」の育成だけでなく、大学自身も同じような存在でありたいと思っています。例えば、金型メーカーさんに集まって頂き、みなさんの声を聞いたり、議論をしたり。その声をもとに研究開発の支援や、サスティナブルな成長を一緒に考えたいと思います。先が見通しづらい時代ですが、トンネルの先のかすかな光を示せる存在になりたいですね。

金型新聞 2021年7月10日

関連記事

アクスモールディング 押出成形金型の設計簡易化【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

廃棄部分の再利用も可能に 高機能フィルムの製造に適した押出成形金型「Tダイ」などの設計を手掛けるアクスモールディング。同社は、今年の3月にソディックの金属3Dプリンター「LPM325S」を導入。押出成形金型の設計の簡易化…

【新社長に聞く】シー・アイ・エム総合研究所  富田 英史社長「現場と経営つなぐ司令塔に 」

とみた・ひでし1999年慶応義塾大卒。システム会社での開発経験を始め、日本ヒューレットパッカードや日本オラクルでコンサルティング部門の部門長を歴任。直近では政府系ファンド出資のランドデータバンクの立ち上げに専務執行役員と…

横田悦二郎氏

【プレス型特集】強みを維持し続けるには…
日本金型工業会 学術顧問 横田 悦二郎氏に聞く
プレス金型の強みと未来

ゼロベースで知恵絞る 得意な分野で連携を 顧客の生産技術をサポート  日本金型工業会の学術顧問を務める、日本工業大学大学院の横田悦二郎教授は、日本のプレス金型の強みを「他の型種に比べ、技術の蓄積が生かせる部分が大きい」と…

久野金属工業 金型・プレス・組立一貫生産【金型の底力】

プレス業界の活性化に ハイテン材など高張力鋼板や難加工材のプレス金型及びプレス加工を手掛ける久野金属工業は、次世代車向けのプレス部品の製造を強化するため、約30億円を投じ、愛知県豊明市に新工場を建設。金型からプレス加工、…

オギハラ 長谷川 和夫 社長<br>〜新素材の金型に挑む〜

オギハラ 長谷川 和夫 社長
〜新素材の金型に挑む〜

いかにトライ数を減らすか ―アルミ材用金型に取り組んだきっかけは。  「1988年にホンダのNSXに関わったのがきっかけ。オールアルミボディを採用した自動車で、当社では一部の金型を手掛け、量産はほぼ全てのアルミ部品の生産…

トピックス

関連サイト