金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

18

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】三条市立大学学長・アハメド シャハリアル氏 「創造性豊かなテクノロジスト」の育成を

技術とその価値を理解し
市場を創る人を育成
企業と共に未来考える場に

三条市立大学は、4月に開学した、技術とマネジメントに特化した一学部一学科で「創造性豊かなテクノロジスト」の育成を目的としています。その定義は、技術が生み出す価値を理解し、新たな市場を創り出すことができる人材です。そうしたイノベーションを起こしてこれからの高度なモノづくりをリードする人材を育成するとともに、地域の企業と一緒になって、持続的な成長を考えることが我々の役割だと考えています。

本学は、前市長の國定勇人氏と市の総合計画を議論する中から生まれました。三条市はものづくり技術の集積地として広く知られていますが、他地域と同様に技術者の育成や人材流出が課題でした。これは本当に根深い問題です。

これを解決するには、これまでと同じ教育で単に技術者を育成するだけでは困難です。特に今の日本の教育システムでは難しい。というのも、日本の大学は特定分野を追究する研究者の育成がメインであり、地域が求める人材を育成できていなかったからです。時間はかかりますが、地域の中小企業に必要な人材を育てることこそが、地域の持続的な成長につながるのではないでしょうか。

では中小企業に必要な人材はどんな人なのか。金型を例に考えましょう、金型の本質的な機能は量産のための道具で、金型メーカーが求めるのは、型をうまく早く精度よく作ることができる技術者です。

しかし、それだけでは不十分です。金型技術を使って生み出される価値は何か、市場はどこにあるのかと考える人材も重要です。まさにそれが「創造性豊かなテクノロジスト」なのです。その育成のために、技術だけでなく、ものづくりへの考え方、学び続けることの大切さなどを教えることが重要だと考えています。また、職人が持つ技術を数値化し、技能伝承につなげることなども「創造性豊かなテクノロジスト」の役割でしょう。

日本の中小企業には、残念ながらこうした人材が少なかった。なぜなら、これまで、言われたものを作るだけでよい時代が長かったからです。しかし、今後は、技術を理解し、未来を見通せる人材が中小企業にも必要になります。採用や人材育成にも関係してくるからです。

一般的に大企業が就職先として人気がある理由の一つは、安定や安心という未来が見えているからです。中小企業であっても、今作っている部品が将来も必要なのか。この事業はサスティナブルか。こうした未来を提示できなければ、優秀な人材は入ってきませんし、育ちません。

「創造性豊かなテクノロジスト」の育成だけでなく、大学自身も同じような存在でありたいと思っています。例えば、金型メーカーさんに集まって頂き、みなさんの声を聞いたり、議論をしたり。その声をもとに研究開発の支援や、サスティナブルな成長を一緒に考えたいと思います。先が見通しづらい時代ですが、トンネルの先のかすかな光を示せる存在になりたいですね。

金型新聞 2021年7月10日

関連記事

新春金型メーカー座談会
〜女性の活躍を考える〜

 製造業において、人手不足は深刻な問題となっている。困難な採用環境、熟練者の高齢化などに加え、働き方改革関連法の完全施行もあり、金型メーカー各社も対応に苦慮している。特に人手不足への対応は、生産性の向上はもとより、女性の…

【この人に聞く】アイセル社長・望月貴司氏 「面白い企業だと感じてもらえる環境をつくる」

リブランディングを実施 アイセル(大阪市中央区)はこのほど、リブランディングを実施し、企業イメージの刷新を図った。企業ロゴの変更やアイコンの作成、製品のデザインの統一といった対外的な部分での変更に加え、社内では改めてミッ…

【ひと】熊本精研工業企画開発部部長・越智 英二さん(59) カメラによる機上測定機を開発した

カメラによる機上測定機を開発した 放電加工した金型部品をチャッキングしたままカメラで捕らえ、タブレットに映し出す。原点や輪郭をズームアップ。十字線を合わせ、その位置を加工機の座標で捉える。加工部を複数ヶ所測ることで、ピッ…

ササヤマ 笹山勝社長に聞く コア業務に専念できる環境に【特集 攻める設備投資】

自動車のシートや骨格部品などのプレス金型を手掛けるササヤマは金型の競争力を高めるため、金型づくりのDXとベトナム子会社のデータ製作力の強化に取り組む。デジタル技術で金型づくりを効率化し、ベトナム子会社を同社グループのデー…

鳥羽工産 甦れ!往年の名車たち【金型の底力】

「コロナ禍で航空機など需要が落ち込み、試作車市場も変化している」と語ったのは鳥羽工産の傍島聖雄社長。同社は金型製作(プレスや射出成形)から量産(少ロット)まで一貫生産体制を強みに、これまで自動車の試作型や試作車の製作、航…

トピックス

関連サイト