金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

04

新聞購読のお申込み

【金型の底力】日本精機 金属3Dプリンタの技術や知見を蓄積

ダイカスト金型メーカーの日本精機は金属3Dプリンタを活用した金型づくりに本格的に乗り出す。7月に金属3Dプリンタ2台を導入した。きっかけはSKD61相当材で造形が可能になり、金型への適用領域の可能性が広がってきたこと。まずはインサート部品から始め、知見や技術を高める。将来は自らが金属3Dプリンタ技術の情報発信源となり、金型づくりを変える考えだ。

松原  雅人常務

製造子会社で貿易や金型のコンサルティングなどを手掛ける、ツーリングイノベーション(愛知県守山区)に、GEアディティブ傘下のコンセプト・レーザー社の金属3Dプリンタ「M2 cusing SL Series4」を2台導入した。金属粉末にレーザーを照射し造形していくレーザービーム方式のプリンタで、ほかにも後加工用に5軸マシニングセンタ(MC)や3軸MC、熱処理炉などと合わせて3億円以上投資した。

金属3Dプリンタで造形したワーク
3Dプリンタを導入した子会社のショールーム

これまでも一部の顧客から金属3Dプリンタを使ったインサート部品の製作を依頼されることがあったという。しかし、社内に設備を持たないため、協力先に依頼してきた。「金属3Dプリンタを使ったインサート部品のニーズは増えつつあり、いずれ必要とは感じていた」(松原雅人常務取締役)。

本格参入の契機となったのは、SKD61相当材で造形が可能になったこと。松原常務は「これまでマルエージング鋼が一般的だったが、SKD61相当だとインサート部品だけでなく、金型づくりでの適用領域は広がると感じた」という。

2月中旬にSKD61相当材の話を聞いて、4月には設備の導入を決断。「いずれ金型づくりに金属3Dプリンタが必要になるのは間違いない。その時に、後発になるのは面白くない。他社に先んじてノウハウを蓄積する必要がある」と即決の理由を話す。

2台導入した金属3Dプリンタ

今回導入した金属3Dプリンタは、SKD61相当材の造形に特化させる考えで、まずはインサート部品の造形から始める。その理由は「(複数の素材を扱うと)パウダーの入れ替えに手間がかかりすぎるのと、マルエージング鋼からSKD61相当材への置き換えを提案していくため」という。

導入の狙いは部品を作ることそのものではなく、設計領域への提案強化と、業界の構造変化につなげることにある。松原常務は「今の金型づくりで最も重要なのは設計の領域。金属3Dプリンタで作った部品の採用が広がれば、金型全体の設計から見直す必要がある。造形に関する知見と、当社が持つ金型技術と融合できれば、設計領域に提案できる」と話す。さらに「設計だけでなく、加工、熱処理、解析までトータルで手掛ける必要がある」とし、熱処理や5軸MCなども合わせて導入した。

「これまでの金型づくりでは顧客ニーズありきで、金型メーカー発信の技術開発は難しかった。金属3Dプリンタの技術や知見を蓄積し、自らが発信源となることで、金型のつくり方や業界の慣行など色んなものを変えていきたい」とし、金属3Dプリンタの技術をベースに、業界のゲームチェンジャーを目指す。

会社概要

  • 本社  :  愛知県名古屋市守山区中志段味2799
  • 電話  :  052・736・0611
  • 代表者 : 辻村 正稔社長
  • 創業  :  1920年
  • 従業員 :  60人
  • 事業内容:  ダイカスト金型の設計製作及びメンテナンス、金型部品製作、金型コンサルティング、航空機部品製作。

会社の自己評価シート

自社のどんな「力」に強みを感じ、どんな「力」をウィークポイントと感じているのか。10種類の「力」をそれぞれ10点満点で自己評価してもらいました。

金型新聞 2021年8月10日

関連記事

日本金型工業会 事務局長 川田 明美さん(58)
〜ひと〜

会員の声をカタチにしたい  昨年、金型メーカーで働く女性が現場の課題などを話し合った「かながた小町」を企画した。金型メーカー約420社が参加する日本金型工業会の行事の多くは経営者やマネジメント層が対象。「金型メーカーで働…

国内事業を再整備 森久保哲司氏(パンチ工業 社長)【この人に聞く】

パンチ工業(東京都品川区、03・6893・8007)は今年、2025年3月期までの中期経営計画を発表し、最重点施策として「国内事業の再整備」を掲げた。販売拠点の統廃合や、連結子会社の解散などによる経営合理化を図り、特注品…

AI活用や形状認識による設計支援 塩田聖一氏(C&Gシステムズ 社長)【この人に聞く】

金型向けのCAD/CAMから生産管理システムまでを手掛けるC&Gシステムズ。2021年に「研究開発部門」を設けるなどソフトウェアの開発体制を強化している。そこではAI(人工知能)の活用や、形状認識による設計支援な…

冨士ダイス、生産性向上へ自動化を推進 輪竹生産本部長「2030年までに30~40%省人化」

超硬合金の素材や金型などを手掛ける冨士ダイス(東京都大田区、春田善和社長)が自動化・省人化に注力している。同社は2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画(中計)で「生産性向上・業務効率化」を掲げ、今期だけで…

「計測、CAD/CAM、CAE技術生かし、DX化を推進」Hexagon先端技術開発室・立石源治室長【この人に聞く】

Hexagon(東京都千代田、03-6275-0870)は、計測やCAE、CAD/CAM技術を生かして製造プロセスのDX化を推進する「Smart Manufacturing(スマートマニュファクチャリング)ソリューション…

トピックス

関連サイト