自動車用プレス金型メーカーの富士テクニカ宮津(静岡県駿東郡)はロボットを活用し、金型の焼入れの自動化を進めている。自動化システムは、親会社である東洋鋼鈑(東京都品川区)グループ会社の鋼鈑工業(山口県下松市)と協働で開発。…
ササヤマ 本社に機械加工棟増設

自動車部品などのプレス金型を手掛けるササヤマ(鳥取県鳥取市、0858-85-3380)は、本社工場の敷地内に機械加工棟を増設する。真空熱処理炉や3次元レーザー加工機などを新たに導入するほか、古海工場の設備を集約する。デジタル技術による生産管理やマテハン設備の見直しにより中期経営計画の最終年度(2027年7月末)に金型製作期間の半減を目指す。EV化などで自動車とその金型を取り巻く経営環境が大きく変化する中、生産体制を改善し競争力を高める。
効率高め、金型製作期間半減へ
ササヤマは自動車のシートやボディ骨格などのプレス金型を本社工場と古海工場で工程を分担し製作している。しかし高機能化などにより金型が大型化する中、2拠点間の搬送の時間や手間が負担になっていた。


本社工場の敷地(約1万2800㎡)に増築(同約2260㎡)することで機械加工棟は現状の約2・2倍の広さに拡大(同約4110㎡)。ここに古海工場を集約することで搬送のロスやトラックの手配などの手間を削減する。
新たに導入する真空熱処理炉は、内製する金型部品の約70%の熱処理を内製化する。3次元レーザー加工機はテストプレス用板材の抜き加工を社内で手掛ける。これらにより外注する熱処理やレーザー加工の時間とコストを削減する。
このほかマシニングセンタ(MC)なども購入するほか、古海工場からMCや研削盤などを移設し、老朽化した設備と入れ替える。増設した機械加工棟に金型加工工程の全ての工程を集めて、生産効率を高める。
ササヤマはこのほど、来年度(2022年8~23年7月)からスタートする新中期経営計画「SAIM(SASAYAMA Autonomy and Independence Manufacturing)を策定した。来年度で設立50周年を迎え、外部環境が目まぐるしく変化する中、次の50年を勝ち抜くことを目指すものだ。
機械加工棟の増築はこの新中計の一貫。今後はデジタル技術による生産管理を高度化するほか、マテハン設備の見直し、ロボット加工設備の改造などにより、最終年度に金型の製作期間を半分に短縮する。それによりコストや納期などの競争力を高め、年間売上高1・5倍を目指す。
機械加工棟は今年1月、建設をスタート。6月に完成し8月にも古海工場から移設、本格稼働を始める予定。古海工場は閉鎖する。またササヤマは本社工場に隣接する土地約4520㎡も購入した。機械加工棟増築と土地購入の総投資額は7億円。
笹山勝社長に聞く 〜次の50年を見据えて〜

ササヤマは来年度、次の50年を見据えた新中期経営計画をスタートする。どういったことに取り組むのか、笹山勝社長に聞いた。
ウルトラハイテンなど金型技術磨く
EV化やカーボンニュートラルなど自動車とその金型を取り巻く環境はこれから大きく変わる。次の50年を勝ち抜くために何をするべきか。まずいま最も強みを持つ金型事業の再強化だ。
ただ、資本力の巨大な海外企業と設備力の競争は簡単ではない。そこでウルトラハイテン向けやハイサイクルの金型など高度な金型の技術力をさらに磨き上げる。
さらに、これまでに培ったノウハウを詰め込んだデジタル技術を活かし、他社が追随できない金型の品質、時間、コストを実現する技術を構築し、海外企業との競争に打ち勝っていきたい。
その一方で、金型以外の新たな事業にも挑戦したい。金型一本足打法から脱却し活躍のフィールドを広げたい。
金型新聞 2022年2月10日
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