金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

31

新聞購読のお申込み

アイジーエヴァース 5軸+APCで稼働率向上

デジタル技術の進化で、相次いで登場する新技術。次世代の匠はそれらの技術を金型づくりにどのように活かしているのか。また、それら能力を習得するには、どのようなスキルや育成が必要なのか。本特集では、様々ある新技術の中でも、次世代の金型づくりで注目されている「自動化」、「金属3Dプリンタ」、「5軸加工」で、匠の技を持つ金型メーカーにその活用術やノウハウを聞いた。

「5軸+APCで稼働率向上」

サイズや材質が異なるワークをセットし、加工を自動化

「1台における年間の稼働時間が約2700時間向上した」と稲垣徹也社長。同社は冷間鍛造、プレス、樹脂など多様な金型や高難度なモータ関連部品を手掛け、「削りをモットー」をテーマに、同時5軸加工など高精度・高難度加工にも挑戦。2021年にはDMG森精機主催ドリームコンテストで同時5軸加工を駆使した『鷹視眈々』で技能賞を獲得、加工技術の強化を進めている。

IoTと独自システムでDX強化

近年、取り組んでいることの1つが自動化だ。深堀形状で高精度を要する歯形の冷間鍛造金型の仕上げ加工は従来、放電加工と磨き(ラップ加工)を行うが、稲垣社長は「人が作業することに違和感を覚え、将来の金型メーカーとしてあるべき姿を考えた」と理由を語る。工作機械が進化した今、複雑かつ高精度な加工が要求される金型加工の自動化を推進し、稼働率向上を目指した。

まずは前述の歯型の冷間鍛造金型の加工を同時5軸加工(磨きレス)に集約し、測定も含め6工程から2工程に短縮。原価・リードタイム共に、従来に比べ約30%低減したほか、型寿命や品質の安定を実現。さらに、6パレットのパレットチェンジャー式同時5軸加工機(DMG森精機製)を導入、夜間や休日をフル活用する自動化を進め、±5μ精度の金型加工や試作開発部品、モータ関連部品など多品種少量かつマルチなワークに対応する自動化システムの確立を目指した。

「自動化を進めるには数多くの課題を乗り越える必要がある」と稲垣社長。サイズ・材質・形状が異なるワークに対応した自動化システムを構築するため、初期は加工準備に技能者がワークの芯出し、軸のキャリブレーション、パレット中心位置合わせなどデータベース化も含め段取り時間を短縮し、パレットと工具のID登録、多様なワークに対応する治具製作、機上測定による自動測定、加工後のワーク清掃の自動化、さらに工具準備時間削減のため、焼き嵌めチャックからハイドロチャックへ変更など自動化に対する課題を解決した。「細かな点まで気を配らないと自動化は実現しない」と5軸加工機の担当者である岡本GMは語る。結果、平日の稼働率は単体機に比べ78%増加し、休日はさらに200%も向上。現在、自動化システムは3台稼働。単体機に比べ、3台で年間8000時間長く稼働し、受注・売上の拡大に貢献。

「自動化は予期せぬトラブルが付き物。夜間や休日はIoTと監視カメラで正常に稼働しているかを確認しており、担当者も気を抜けない」。今後は他の機械のIoTによる可視化の横展開と、独自生産管理システムとの融合でDX強化を図る。

会社概要

  • 本 社:愛知県刈谷市小垣江町本郷下55-1
  • 電 話:0566・21・3287
  • 代 表 者:稲垣徹也社長
  • 設 立:1960年
  • 従業員数:88人
  • 事業内容:冷間鍛造など多様な金型の設計製作

金型新聞 2022年2月10日

関連記事

オーテック AI活用し、製造現場を改革【特集:デジタル活用術】

自動車のエンジン部品や排気系部品などの製造を手掛けるオーテック。6~12ミリの厚板を切削レスで完成品に近い形へ仕上げる高い冷間鍛造技術を持ち、金型も内製化している。同社は2021年からデジタル技術の活用に注力。IoTセン…

【検証】変わる金型基金 新たな船出5<br>次世代への投資を

【検証】変わる金型基金 新たな船出5
次世代への投資を

 前号では、日本金型工業厚生年金基金の制度移行に伴い、年金を退職金化することで得られるメリットなどを紹介した。では、そうした場合に加入者にはどの程度の負担や効果があるのか。より分かりやすく解説するために、モデルケースをも…

金型業界でも浸透しつつある金属AM 大型化や新材料の登場目立つ【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】

金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…

【特集】金属3Dプリンタ<br>金型づくりはどう変わるのか

【特集】金属3Dプリンタ
金型づくりはどう変わるのか

▶︎▶︎採用目指す動き広がる ▶︎▶︎金沢大学古本達明教授に聞く 金属3Dプリンタの未来「将来不可欠なツールに」 ▶︎▶︎事例①日産自動車 ダイカスト部品で活用探る ▶︎▶︎事例②J・3D ハイブリッド構造でコスト抑制 …

関東製作所 渡邉社長インタビュー 【特集:営業ってどうする?】

デジタルマーケティングで見込客を獲得 近年は国内の金型市場が縮小しており、いかに新規開拓を行うかが大きな課題となっており、効率良く営業活動を展開するための仕組みやシステムの構築も求められる。年間の新規引き合い件数500件…

トピックス

関連サイト