金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

04

新聞購読のお申込み

O2 代表取締役社長CEO ・松本 晋一氏 「疎連携」で個社を成長

IBUKI を売却
大企業の足りないパーツに
成長を加速し100億円企業へ

7年前に買収したプラスチック金型メーカーのIBUKIを昨年、自動車部品メーカーのしげる工業に売却しました。売上利益ともに過去最高の予測、中国企業と基本契約した、成形数に応じてロイヤリティを頂く金型のサブスクリプション(定額課金型)ビジネスも概ね合意に至っています。それでも売却を選んだのは、IBUKIの今後の成長を考え抜いた結果です。

私の夢は地方に100億円規模の企業を多く作って、日本経済の活性化につなげることです。その一つの挑戦がIBUKIでした。7年間で売上高は倍以上の10億円強になりましたが、このままコンサルティングを手掛けるO2傘下で100億円を目指すのは時間が掛かりすぎることも明らかでした。

そこでO2が親会社でなくても、成長できるシナリオを考えました。真っ先に出た案が量産を視野に入れた新しいビジネスです。ただ、金型メーカーが量産参入時に課題となるのは、設備力(資本)と安定した受注量の確保です。その両方をカバーするには大手企業の支援が必要になります。

加えて、売却を検討する際に重視したのは、売却先企業の戦略的なパートナーになりえるかどうかです。もっと言えば、売却先の企業にとって自社がその足りないパーツを埋めることができる存在になれるかどうか。部品メーカーには成形技術を重視するタイプと、金型技術が重要とする二通りがあると思います。後者の企業にとっては、金型技術は必要不可欠ですし、手に入れた金型企業は単なる金型部門にとどまらず、成長のためのエンジンになりえます。

そうした考えを検討した結果、IBUKIをしげる工業に売却することになりました。しげる工業はIBUKIを傘下にしたことで、国内回帰や内製強化、IBUKIに成形事業の一部を移管することを検討するなど、戦略的パートナーとして成長戦略を描いています。IBUKIとしても、それらの仕事を請け負えれば、O2の傘下でいるよりも早く、100億円企業に近づけます。

特定の部品メーカーの傘下になると、その企業の「色」が付き、他社と取引しづらくなるというマイナスもあります。それも検討しました。しげる工業はSUBARUの仕事が多いですが、独立系ですし、許容範囲のマイナスだと判断しました。それ以上にIBUKIの社員が今後の展開次第で成形技術を学べることのメリットのほうが大きいと考えました。また、しげる工業からは正田敦郎社長が代表権のある取締役に就くほか、役員が1人派遣されますが、社名変更も中東秀喜社長の交代もありませんし、独立を担保してくれています。

一方、O2とIBUKIは、資本関係はなくなりますが、業務提携先として「『疎』連携」の形で協力していきます。「疎」というのは寄り添うのではなく、離れていても、個々で成長する力を持った上での連携という意味です。

こう考えたのは自身への反省もあるからです。これまでIBUKIやAI企業のLIGHTzなど「ワンO2」として「『蜜』連携」を進めてきました。この関係には良い面もあったのですが、「グループが成長すれば個社の成長が小さくてもいいや」という甘えがあったことも否めません。これではダメで、個社がそれぞれ成長しなければ、全体の成長もあり得ません。

だからこそIBUKIとは疎連携を維持しつつ、O2も改めて単独で成長を加速させる考えです。これまでのコンサル事業やDX支援などを強化し、2024年に上場を目指したいと考えています。

金型新聞 2022年3月10日

関連記事

デジタル技術を活用し工法の最適化、人材育成、新製品開発に挑む熱間鍛造金型メーカー【金型の底力】

伊藤製作所(愛知県弥富市)は熱間鍛造金型やダイセットを主力とし、クランクシャフトなどの自動車向けや建機・重機、免振装置、航空機といった幅広い市場で活躍する。特に大型の金型やダイセットが得意で、ダイセットは500~6300…

「大型レーザーや自動化に注力し、生産性向上、現場改善を提案する」 木元武一氏(ALPHA LASER JAPAN取締役COO)【この人に聞く】

独・アルファレーザー社は1994年に設立されたレーザーシステムメーカー。世界で初めて移動式レーザー溶接機を開発し、肉盛溶接現場に革新をもたらしてきた。近年では高出力モデルの開発や、3Dプリンタ事業などにも注力する。日本市…

特別インタビュー 進恵技研 佐藤 倫幸社長
特集 僕らの展示会

先を予測し恐れず投資  自動車のボディやフレーム向けプレス金型を手掛ける進恵技研(栃木県足利市、0284-73-2135)は、ハイテン材(高張力鋼板)用の金型を得意とし、年間約600型を生産する。創業1987年という後発…

【金型の底力】エフアンドエム 5軸機導入をコンサル

企業間連携でフィールド広げる 自動車骨格部品などのアルミ押出金型を手掛けるエフアンドエムは今年1月、5軸加工機の導入コンサルティングサービスを始めた。長年運用してきた経験やノウハウを活かし、金型や部品メーカーのニーズにマ…

【特集】リーダーの条件

 昨秋、日本金型工業会は6年ぶりに改訂した「令和時代の金型産業ビジョン」で、金型メーカーはこれまでのように単に言われたものを作るだけの「工場」から、顧客に価値提供する「企業」への変革が必要だと指摘した。これまで続けてきた…

トピックス

関連サイト